第五回 ableton “LIVE”(1)
今回からは2001年の年末に登場したドイツのableton社のループシーケンサー、LIVEについて徹底的に紹介していこうと思います。今回はズラッと機能の紹介に留め、次回以降デモ曲を含めて私なりの作り方を紹介しようとおもいます。
まず左の画面がLIVEの画面です。よくメディアにとりあげられるように、とてもシンプルなデザインです。白い画面でいかにもMacナイズですが普通にWinで動きます。ちなみに、発表はないですが私が確認した限りではXpでも動きます(CPU1GHz、メモリ512MB)。さて、画面はシンプルなだけでなく、非常に機能的です。まず三つに分けた画面の左上に当たるのが“ブラウザビュー”と呼ばれるエクスプローラ風のファイルをみる画面。便利なのは音楽WAVファイル以外はすべて認識しないので、非常に便利そのもの!また1クリックでその場で音ネタの試聴が出来るのも便利。
次にこのLIVEの最も特徴ともいえる右上の一番広い画面“セッションビュー”について触れましょう。左で見るとよくあるミキサーの如く縦に区分けされてトラックが出来てます。更に上部はマスに区切られているところに色がついているのがわかるでしょうか?そう!この色ついたのこそ音ネタがのっかってます。このマスに音ネタを持ってくるのにはブラウザビューからドラッグ&ドロップするだけ!他のシーケンサーのように別窓で開く必要がないのは楽です。もちろん、マスに持ってきたのを再生すればループが始まり音は自動的にアシッダイズされテンポを変えても音程は変わらない。CDJではナチュラルモードと同じ。“ASID”シリーズを触った事ある方ならわかっていただけるでしょう。とりあえず、トラック1をドラムネタ、トラック2をベースネタ、トラック3をメロディーネタにして再生すると、なんとそれなりの曲になってしまう!この間五秒弱(笑)これこそがLIVEの名前のゆえんで速攻で使えてしまう。もちろんトラックも無制限なので深い音も作れる。ただこれでは、まえに紹介した“DEPTH”の超豪華版なだけ。もちろん曲として仕上げられる。
先ほど再生するついでに録音ボタン(画面上部再生の横)をクリックしておくと、おとを停止するまでLIVEに記録される。記録されたものは右画面のように“アレンジャービュー”に記録される。アレンジャービューはボタン一つでセッションビューからチェンジする。意地で別窓で開く気はないようだ。こちらのアレンジャービューは言ってみればシーケンサー部だが音楽知識はほとんどいらない。音の端っこにポインタを置くと“]”の形になり、ドラッグすると伸ばしたり縮めたりできる。更にブラウザビューから新しい音を持ってくることもできます。音によって色が違うのでお絵かき感覚でアレンジできます。もちろんこの場では当然カット&コピー&ペーストなどの基本は使えるので他のアプリと同様違和感なく使えるはず。ここでだいたいの曲構成が出来たら本格的にアレンジをしていきましょう。
音ネタの一つをクリックすると、左の画面の下の波形のビューが出てきます。これはセッションビューとアレンジャービューどちらでも使える。つまりは音のアレンジはいつでも出来る。ゲインコントロールやこの音ネタのタイムスライスピッチコントロールなどがリアルタイムに出来る!まさにLIVEたる所以です。ここでとにかく便利なのは音ネタを半分に縮める機能。ドラムでやると簡単に連打が作れます(盛り上がりで使う「ダンダンダンダンダダダダダダダダ・・・」というフレーズ)これを一瞬で出来るのはありがたい!このあたりは全て非破壊式で行われるので、もとは残るのでこれまた安心して使える。元のデータを変えたい時はここから手持ちのウエーブエディタを起動できる。ここで初めて別窓で開けるのでどんなものでもOK。やってカットくらいしかしないので軽くて、単純なものをプリセットしておくといいでしょう。
次にエフェクトだが、これが今までにないやり方で、まず、かけたいトラック番号をアサインすると、下(波形のところ)が空欄になります。次にブラウザビューにエフェクトの欄があるので選んだら、それをなんとドラッグして放り込むとエフェクターが作動します(右の下の所です)。この間やっぱり五秒。エフェクター自体も最近使われる視覚的なもので分かりやすいのも特徴。またVSTプラグインエフェクトにも対応しているのでよいものをドンドン取り入れておくのも面白い。LIVEのエフェクトだけではリバーブとかはないのが不満だが、VST使えれば全く問題ないといえます!
こんな感じが曲作りの流れですが、本当にライブで使えるくらい即興てきな作りが出来るのが特徴ですね、ほかにもセッションビューでは音ネタをMIDIキーボードやキーボのショートカットにアサインできるので、リズムマシンやアナログシーケンサー、のように遊ぶことも出来る。ほとんど生でビートマニアをやる感じでゲームから入る人でもすんなりいけそうだ。そして、最終兵器となりうるのがRE-WIRE規格に対応していること!かのREASONと同期できるのはおもしろい。体験版で試してみたが操作が簡単なLIVEでREASONの豊かなシステムを使えるのはすごいの一言だ!
では総合的な評価をずばり書きましょう。とにかく長所として挙げられるのは、まず述べたようにとても解り易いシステム&インターフェイスと拡張性があげられれる。そして、プログラムがとても軽いのも外せない。うちのシステムだとCPU占有率がムリしてもなかなか20%いかない。つまりはフリーズしにくく、ノートパソコンでも十分使えるモバイル性の高さも良い点といえる。
逆に短所としてはBPMの変更命令が出来ないのは痛い。手動のタイミングで変えるのはちょっとキツイ。次に音ネタをセッションビューにもって来る際にはハードディスクにコピーしておかなければならなのでどうしても大容量の物がいる少なくとも10GBは欲しいところ。そして、日本語版の発売予定がなく、日本代理店のハイリゾリューション社付属のマニュアルがとんでもなく解りにくいのも悲惨だ!社のHPでもリファレンスはちっともないので古文書解読クラスの根気がいる。またMIDIトラックがないが、WAVでつくればいいだけなので、余り問題ではなかった。
次回は一曲作りながら機能を詳しくみていくつもりです。
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