第十四回 HDD内蔵型 PlayStation 2

 




 今回は面白い物としてHDD内蔵型 PlayStation 2の使用感を見ていこう。PlayStation 2のHDDは元はプロバイダを通じて買うしかなかったが、最近店頭販売を始めたのは記憶に新しい。折りしも私の初期型PS2が不調をきたしたので思い切って「BBPACK MIDNIGHT BLUEセット」を買ってみた。しかし箱を開けてまず思ったのは初期型とは大分違う。気になることも多いので見ていこう。
 まず、上の写真ではわかりにくいが全体はブルーというより紺のシースルーで専用の縦置きスタンドも材質的には同じ色合いだ、ただ正直遠目では黒にしか見えない。私はすごく好きな色なので問題は感じないし、正直結構気に入っている。ただ、初期型のようにスタンドと縦置きしても色が同じなので存在感があまりない。スタンドは昔の使ったりすると色合いもいい気がした。でも現在横置き環境なので当方では正直意味無し…横置きスタンドは友人に売ってしまったのが悔やまれる。

 では外見からみていこう。とりあえず気になったのは通風孔!細かいようで由々しき問題だ!
 左の写真を見ていただきたい。新型は通風孔から内部が見えるのがわかるだろう、それに対し旧型は内部が見えない。実は旧型PS2には通風孔にフィルタが貼ってあり中に埃が入りにくくなっているのだ、その点新型はちょっとした事で埃が入ってしまう。これはなかなか頂けない!では最近売っている埃防止フィルタを買えば良いと言う話だろう。私もひとっ走り買ってきて装着してみたがココでまた大きな問題が発生した!フィルタを付けると通風孔の内部に見えHDDのアクセスランプが見えなくなってしまう!パソコンユーザーなら大抵心得ているが、HDDのアクセスランプ中に電源を切るのは当然タブー!無論このHDD内蔵型 PlayStation 2も例外ではないのでこれは重要。そういう考慮をしたところにHDDのアクセスランプを付けて欲しかった。
 次に気になったのはi link端子が消えている。今までも使ったことがなかったがPS2にはIEEE1394の4ピンタイプがついていてPS2同士はカスケード接続で六台まで繋げた。代表はグランツーリスモだが二、三台までは何とかウチでも出来そうだが六台となると一般家庭ではまず無理なので殆ど使用したことをある人はいないだろう。ただ、今の段階で消していいものかは少し疑問が残った。後述するが今回のPS2ではデジタルカメラの取り込みが出来る。そうなるとデジタルビデオもやろうと思えば出来るに違いない。そうなるとi link端子はあっても不思議はない。削減の理由の9割はコスト削減だと思うが、ならばUSB2.0を搭載すべきだったろう。年末に出ると噂されるPSXにはUSB2.0が搭載されるそうだがそうなるとデバイスによっては作動しない可能性あるのもゲーム機としては致命的ではないだろうか?

 では後ろ面を見てみよう
 新型においてまず目立つのは当然BBUnitと呼ばれるHDDとイーサネットアダプタのパーツ、買った当初からこの状態で入っており別段組み立てる必要はない。大ネジで固定されており10円玉などだと取り外し易い、HDDは3.5インチのIDEのハードディスクに専用のマウントラックが乗っている。フォーマットが違うためPC用のを流用は不可だが、仮にHDDが死んだ時に別売りのHDDを交換すれば良いというのは実に良い!HDDというと当然X-BOXが浮ぶがこちらは分解、交換不可なのでその点で将来的にやさしい。ただ正直な所HDDの寿命を三年〜五年と仮定してもその頃には絶対新しいハードが出るか、本体が死ぬので交換する人は容量不足で交換が妥当か?次に初期型にはこれまた結局使うことのなかった拡張スロットがあるが、新型にも実はある。ただイーサネットアダプタで使われているので今後もこれ専用と思って間違いない。そしてもうひとつ注目すべきはファンの形状だろう。新型は従来の物より動作音が格段に静かになっている!小さいことだが重要なバージョンアップだろう。これを経験すると初期型の音はかなり気になるはずだ。もっとも最後の方は動作音もかなり以上を来していたのだが…。音声デジタルアウトもあるので当然接続するべきだろう。これだけでリスニング環境は格段に上がる。特に新型のOSでもあるPlayStation Navigeterには音声にレイテンシーが確認されている。私も実際に試してみたがアナログアウトとデジタルアウトでは明らかにズレを感じた。ディレイにしては露骨過ぎるレベル。これはまずいのではなかろうか?ゲームする分には感じなかったが、仮に音ゲーなんかでこれが起きたらゲームにならないと思う。

 さて起動してみよう。個人情報が入っている所もほんの少しあるため起動中の画面は割愛させていただくがご理解いただきたい。詳しいメニューなどはPS2のホームページに出ているのでそちらを参考にしては欲しいのだが、正直長所と短所が程よく混ざった微妙なシロモノとなっている。少しずつみていこう。電源を入れるとまず気になるのが起動が遅い電源→立ち上げ→バージョン確認→起動終了と一分くらい待たせてくれる。それからディスク入れてゲームなど起動なのでこれは厳しい!最初から内部にディスクが入っていれば優先的に読み込んでくれるが他のゲームやるためにはどうしてもこの起動をしないといけない…(ディスクトレイ空けても電源が入るため)。次にDVDを見てみよう。DVDプレイヤーとしてみるとかなり性能上がっている!まずは初期型と違いメモリーカードではなくOSにプログラムが組み込んであるのでめんどくさくないのが良い。だが、何よりすごいのはDVDの規格のうちDVD+RW/R、DVD-RW/Rと四つの規格が読み込めるので自作のDVDが読めるのは正直嬉しい!私もPCで焼けるので実際に試してみた。四つのディスク全て持ってるわけではないので試してみたのはDVD-RとDVD+RWだけだがどちらも普通に読めて再生できた。特にDVD+RWは抜群の利便性を誇るDVD+VRで編集したのも読めてしまうのは強みだろう。ただどの場合もオーサリングしてエンドトラック作らないと「ディスクが破損している」などと出て再生は出来ない。そう考えるとビデオテープよりはめんどくさいのでむりにDVD作成デッキ買うならビデオデッキの方がわかり易い(身もふたもないが…)。

 次にはるかに進化したのはゲームのデータ管理、これが大幅に良くなった。今までは「ブラウザ」コマンドにてメモリーカードの管理ができ、メモリーカード二枚使ってデータの転送やコピーができた。今回もちろんHDDにより単体でデータ管理ができるようになった、これは正直大きい!しかもフォルダを作成して種類によってデータ管理ができる。例えばPS1とPS2のデータでフォルダ作り分けしたり、ジャンルで作り分けしたりもできる。これによりメモリーカード一枚あれば下手するとこれでいい。古いデータといえど、持ってるゲームのデータを消すのは忍びなく、PS1の時はメモリーカードが16枚まで増えた…PS2ではメモリーカードの容量が増えたので2枚ですんだがもう一枚買おうか迷っていた所だった。セーブ用にHDDを1ギガバイト取ったとしてもメモリーカードにして125枚分…十分だろう。ただ、問題もある、まずは管理画面が遅いこと!データの認識するのにかなりの時間がかかる…やはりこれは痛い、フォルダ内のファイル見るのに一分くらいかかるので古いデータはなかなか出てこなくて非常にイライラする。特にPCと比べると遅いことこの上ないのでやってて飽きてくる。HDDの性能はATA66とはいえノーマルPS2のブラウザに比べてはるかに遅いのは納得がいかない。また、まとめてフォルダに送るといった作業ができないのもデータ管理としては致命的だ。DVDプレイヤーのようにショートカットキーの割り当てをするなど改善して欲しいところだ。

 割と面白いのがデジタルカメラの写真管理がなぜかできる。もちろんUSBを介してデータをHDDに取り込める。仕様では.jpgファイルなら読み込めるようだ。.raw、.bmpファイルなどは無理みたいだ。やはり推奨のデジカメはソニー製が中心だが実際私の京セラ製S3Lで試した所問題なく読み込めた。携帯電話のJ-SH52のデータも読めた辺りからDOCMに準拠したカメラなら問題なく読み込めるのではないだろうか?ただ実際の所プリンタ繋いで印刷できるわけではないのでそもそも無駄という話もある。また当然プレビューは死ぬほど遅いのでPCでやったほうが手っ取り早い…。

 PlayStation Navigeter3.0についたのがメール機能だ。当然プロバイダの接続情報を元にメールができる。メールを打ったり設定をしたりするのにあったほうがいいのがキーボード。ドリームキャストやゲームキューブでは自分には合わないのにかなり高い物買わないといけなく、オンラインゲーム中でも明らかにコミニュケーション弱者が生まれてしまうのは有名だ。その点PS2ではUSBキーボードならどんなのでも良いようだ。私も昔間違えて買ったUSBキーボード(価格¥880)を挿して使ってるが問題なく使える。自分に合うものを探して来れるのも非常に大きなポイントだ。しかし余談だがPlayStation Navigeter3.0以前でメールができないというのは大きな問題ではなかったろうか?オンラインゲームには接続パスワードを登録後に自動返信するものも多い。つまりはPS2スタンドアローンになりえないというのはエンターテイメントとしてそもそも間違えてる。メール機能の追加は当然といえば当然だ。

 更に細かい所だとPS2から接続ルータの設定ができる。実の所ゲームキューブのファンタシースターオンラインではルータの設定ができないので、PC持ってないのにADSL契約したはいいがプロバイダのTCPポートがクローズになっているため全くできないというほんとにシャレにならない事態に遭遇したプレイヤーもいるようだ。その点でもPS2のためにADSL他ブロードバンド契約しても何とかなるのは助かる所だろう。設定はIEに似たブラウザでできるのでPCベースでできる。と、ココである疑問が…ルータの設定はhttpのプロトコルでやる…ならば普通にWEBページ見れるのでは?
 おもむろに「EURO-HEAD」のアドレス打ち込んでみたら見れました!解像度がTVだけあり640×400なので巨大なトップ絵となってしまった。サーバーとしてはIEのバージョン違いと認識するため、裏を返せばほとんどのページが普通に見れることになるだろう。大体のページは閲覧可能だが、ファイルのダウンロードなどはさすがにできなかった。またページの閲覧はADSLなのでストレスなく見られるし処理速度も悪くはない。考えてみればPS2自体のスペックは初期ペンティアム3搭載PC並みなのでWEBの閲覧くらいは問題ないのだろう。全体的に裏技っぽいので正式にWEBページが見れるブラウザを搭載してもいいと思う。そう考えるとドリームキャストほど完成してないネットワークマシンという位置づけだと思うのが私の感想だ。ただHDDだけありプログラムのアップデートは可能なのでドリームキャストを完全に追い抜くのは時間の問題だろう。ただ派手に対応するとウイルスが出る危険性も無きにしも非ずなのでこの後の対応は気になるところだ。

 では、ここでHDD対応ゲームを見ていこう。
 とはいってもFF11やみんゴルオンラインなどは持ってないしやる気おきない…しかしこれでは全く意味ないのでHDD対応ゲームを手持ちから探してみると…あった!「beatmania IIDX 5th style」パッケージにもHDD対応としっかり書かれている。早速ゲームを立ち上げインストールしてみた。当然インストールには時間がかかる。のんびりまっていると終了する。タイトルでもHDDが選べなくなり(でももう一回起動するとHDDが選べる辺り作りの粗さが見える)それ以降はHDDにアクセスしつつゲームすることとなる。結局どうなるかというとゲームが全体的に早くなる。ほぼロードレスといってもいいのではなかろうか?
 例えば曲選択をすると選んだエフェクトが出るのだがボタン一発で飛ばせる。また、エキスパートでノンストップモードが選べる。これは曲終了毎の結果表示をなくし曲が終わり次第、次曲紹介が出てる時に進行メーターが戻り連続でできるというもの。結果表示については最後にまとめて集計結果が表示されることになる。私のようなライトユーザーは別に一曲ごとのGREATの数やランクなんて気にしないのでストレスレスにできることのほうがはるかに重要だ。最も一番の恩恵は曲練習のフリ−モードがロード無しでできるので効率が良い。…ただそれ以上に疑問点がたくさん出たので攻めていこう。まずそもそも「エキスパートでノンストップモード」というのは「beatmania IIDX 6th style」で選べるので曲の好みがなければそちら選んだ方がいい。またトレーニング、ドリルモードでは恩恵はないので繰り返しやることの多いこれらで出来ないのはダメージ以上にほぼ無意味。更にインストール容量は650MB使うのだが、これから導かれるのはそれしか使ってないのなら実はもっと曲数入るのでは?PS2のディスクの最大は9.4GBも入るのでやろうと思えば200曲くらい楽勝で入る計算。しかもゲームシステムは全然変わってないので「7th style」が出ないと嘆くくらいならこれをキーディスクにして曲ダウンロードさせれば?などと考えるのだが、所詮は小出しにして売れなくなくなったらお終いという大人の事情が見える。

 総評としてHDD内蔵型 PlayStation 2はどうだかというといまいち手放しにほめられるハードではないと思う。ゲーム専門家の中には「こんな物買わずPSXを待つべき」との声も多いがそれも間違ってはいないと思う。だが私は全く後悔してない!これは私の環境にPSXはいらないと判断したためだ。PSXの特徴はPS2に加え120GBのHDDにテレビ録画とDVD作成だがそれをPCで出来る環境があるので別にいらない。そう私にとってのPS2はあくまでゲーム機&DVDプレイヤーなのでそれ以上のものはいらない。音楽のジャンル同様エンターテイメントのデバイスも多種多様だ、今回のHDD内蔵型 PlayStation 2は人それぞれに合う物が出る時代の幕開けとなるデバイスなのかもしれない。
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