第十七回 PCハードディスク録画

 




 今回は構築してしばらくたつHDDによるTV録画をご紹介。昨今デジタル家電でもっとも認知されているのはPSXを初めとしたハードディスクレコーダー(以下HDDR)であると思う。大手電気店でもしきりに売り出し中のHDDRであるが元々はPCにTVチューナー&キャプチャーボードを組み合わせた物を家庭用にしたものと思っていい。色々な雑誌などでも多々比較されているが今回は自分の使用感を優先にして見ていくので参考にしていただければ幸いだ。
 今回私が手に入れたのはカノープスのMTV1200FX。R3嬢の使うMTV800HXにドーターカードを加えハードウェアエンコーディングに対応し、圧縮録画DivXに対応した物だ。生産終了のため¥16800で売られていたのをゲットした。カノープスの製品の中でもエントリ向けと位置づけしてあり、上位機種に比べ三次元Y/C分離、ノイズリダクションは搭載してないがゴーストリデューサーは搭載している。入力はTVチューナーが一つと入力ピンジャックがついており、特にコネクタなくてもVHSビデオやゲーム機などつないでそれらも視聴してキャプチャ、無論録画も出来る。では、実際導入するのだがまずボードをPCIスロットに差し込むのにかなり苦労する…ハーフサイズとはいっても二段構成の基盤になっており、下手するとグラフィックボードよりデカイ!PCのリファレンスにあるようにサウンドカード、キャプチャーボードはPCIスロットの一番下に配置するのが実際は望ましい。だが私のマザーボードには一番下のPCIの近くにUSBなどのピンコネクタがあり、このボードと物理的に干渉してしまい挿せなかった。よって下から二番目のPCIスロットに挿した、ちなみにR3嬢も同様に干渉してしまっている。さて、続く問題がTVのアンテナ線をどうするかということ、私の部屋のようにTVもある部屋の場合は分岐を作りアンテナケーブルを増やさないといけないのだ。分岐も作りすぎると電波が減衰して画像が悪くなる。そういう場合は大元のアンテナから引くなどの工夫も考えねばならない、その場合は屋根まで上り作業するなど度胸と知識が必要だ。部品自体は電気店ならどこでも手に入るが、作業自体が下手すると個人が出来る範疇ではなくなってくるので電気店に依頼するなどの措置も必要だろう。次にケーブルの先端にも注目したい。よくTVの接続にはメジャーなL型コネクタではなく右の写真のようなF型接線という同軸ケーブルを直接加工するものを使わなくてはならない。L型コネクタでも理論上使えるのだがコレだとPC背面に何故だか上手くつかない場合が多いので加工が必要だ。結構手先を使う作業なので無理なら同軸ケーブルがF型接線になってるのを買うなど更なる工夫が必要だ。

 さて続いてソフトウェアのインストールをする。こちらは割と楽で順番に沿ってやっていけば出来るので問題はない。インストール後地域の設定をすればすぐさまTVの視聴は可能だ。さて早速録画をやってみよう、録画の設定はビデオのタイマー録画の数値入れをウィザード形式にやるのだが、実際はインターネット番組表のipegを開くとあっさり出来る。しかもタイトル、内容の紹介などのデータも同時に書き込んでくれる。Gコードも楽だと思ったがこちらは更に楽!これが一度やると止められない理由の一つといっても過言ではない。Gコードだと野球が延長すると録画が出来ないため結局は個別にやらないといけない欠点があったが、ipegは延長設定を入れればその分余分に取ってくれるのでコレも便利だ。さて録画の時はどうするかというと当然PCは起動しておかなければならない。普通に起動しておけば時間が来れば録画ソフトが起動して録画してくれる。そのほかにも設定すればスタンバイ状態、休止状態でも起動して録画してくれる。ここでの最大の問題点はメモリ常駐ソフトの相性による、特にウイルスソフトの相性には注意が必要だ…自分も一回引っかかりうまくPCがが休止状態から起動せずに録画失敗に終わることが多々あった。しかしそうは言ってもCATV環境ではウイルスの混入も例がありアンテナ線でも油断はできない。そのための常駐ウイルスソフトではあるのに、もういっぽうをオシャカにしてくれるとは○ー○ネ○ス○(自主規制)もやってくれる。ちなみにウイルスバスター、ノートン、マカフィーなどでは成功したので安さには惑わされてはいけないのを身をもって痛いほど知った…。尚、録画が終われば自動的にシャットダウン等のオプションも選べる。ただ、連続で録画する場合もあるので休止状態が一番ベターではなかろうか?ちなみに休止状態だとウインドウズの復帰まで少し時間がかかるので三分ほど起動マージンを取るなど、その辺の設定もしっかりしないといけない。拡大コピーのように二、三回は失敗しないといけないといえる。
 前述のとおり、外部機器からの画像キャプチャにももちろん対応している。昔のビデオテープをDVD化したりゲームのプレイ映像を録画したりも出来る。ただ気をつけないといけないのはレンタルビデオを借りてきてそれをDVD化できるかというとそれが無理!正確に言うと出来たり出来なかったりする。出来ない物に関しては、DVD同様に映像の途中で出来ないようなフィルタがかかっており途中で録画が停止してしまうのであきらめた方がいい。
 そんな感じで出来上がるファイルだがデフォルトの設定ではMPEG2形式で出来上がる。DVDで広く使われる形式で実際の画質を言うと普通ビットレートでVHSの三倍以上標準以下高画質で標準とほぼ同じと思っていい。だから市販で売ってる物と同様の画質はまず望めない。特に動きが速い映像はうまく録れない所もある(スタッフのテロップなど)。そして解像度の高いモニタで見るため画像を引き伸ばすとどうしてもブロックノイズが目立つのも仕方はない。コレはエンコードの限界ともいえるのであきらめるしかないと思う…。では録画した物を見るのだがこれがテープに比べて遥かに便利!頭だしはファイル単位なので当然不要、無論タイムラインでサーチも出来るのだが当然テープのように時間は不要。この待ち時間が消えたのが何より快適だ。これが本当にやり始めると止められない!テープよりDVDのほうが場所取らないというのを良く売りにしているが結局DVDにするのは焼かないといけないので一見物をわざわざ焼くのは面倒くさい。「パッと見て消す、管理する時間はほとんどなし」なのが一番の売りだ。そして取っときたいのはDVDに焼けばよい。そういう使い方が一番使い易い。

 実際の所連続ドラマや一週間ある程度とって見るにしろ大事なのはHDDの容量&性能といって過言でない。ちょっと使えば20GBくらいは軽く吹っ飛ぶ!またデータで使っているディスクにアクセスすると再生がもたつくことがあった。音楽用に用意した120GBのハードディスクも気がつけば40GBくらい使用していたので思い切って専用HDDを増設してみた。幸いマザーボードにATA133RAIDが余っていたのでMAXTORのATA133、8Mキャッシュの160GBのHDDを二台導入してRAID0を構築してみた。容量約320GBの巨大ドライブ(実際には計算上305GBまで落ちている)が完成した!使用感から言うと明らかに快適となった。早送りした時なども今まではコマ送りのようになったが改善されてスムーズに見れる。更に再生までの時間が短く使い易い。更にデータが隔離されているためデータの膨張によるパフォーマンスの低下もなく文句なしに使い易い。各社の出しているHDDRがHDDの増設は殆ど出来ないのに対しこのように手軽に増設できるのが自作PCの強みだろう。増設自体もベイに空きがあればそんなに手間はかからない、ただ右の図のようにドライブが増えてくるとむしろ必要なのは知識以上に大容量の電源ユニット!最低でも350Wできれば400W以上あるといい。今回のボードは別途電源が不要だがハイエンドボードの中にはボードに電源コネクタを挿さないといけない物も多いので電源容量は多いに越したことはない。
 今回のMTV1200FXはハードウェアエンコードなので録画中にほかの作業したりも出来るが更に他のファイル形式にエンコードする機能も備えている。その中でも今回の売りはDivXとなっている。音楽でいうMP3のような存在で画質的にはVHSの三倍よりちょっと悪い。だがどうして話題になるかというとそのファイルサイズ。MPEG2形式が30分で1.1GBに対して300MBになるので評価はできる。CDRに焼くことができ焼いた際にプレイヤーも焼けると言うことでプロモーション的な配布にも適している。最近では対応のDVDプレイヤーも出てきているため三倍モードでドラマを総ざらいで録って置くなどの使い方が主なる使い道ではなかろうか?また気をつけないといけないのはハードウェアエンコードだからといって全てが良いとは限らないのがチューナーボードの事情ということを忘れてはいけない。最たる例が録画した物を再生する時!実際はHDDにアクセスして再生するだけなので純粋にCPUとメモリのパワーになってくる。再生している時にタスクマネージャを見ていると常に30%ほどのCPU使用率と300MBほどのメモリキャッシュを確認できる。そして画像編集などしたときにはCPUをフル稼働させないとおぼつかない。結局の所画像編集まで考えると2GHz以上のCPUと512MB以上のメモリ最低限必要な計算だ。MPEG録画だけをするなら安価なソフトウェアエンコードボードでも十分戦力になることがわかる。
 音楽を扱うのに十分な構成の自作PCであったが映像を扱うとなるとまだ十分とは行かない感がある。映像を余裕で扱うスペックが手ごろになる日はいつだろうか?だが、その頃には新たなファクターには足りないスペックなのだろう…。
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