第二十二回 E-MU 0404

 




 今回はオーディオインターフェイス「E-MU 0404」について、その使用感と感触をみていこう。E-MU自体はクリエイティブメディアに買収され、その製品群はサウンドブラスターとは別枠の製品として位置づけられることになった。実際は本家E-MUが作っているので悪くない。だが、クリエイティブメディアがOME供給会社のため価格が下がったのが一番のポイントと言える。こちらも結構な性能であるにもかかわらず10000円を切っている。ではインストールポイントを中心に見ていこう。

 まず、PCIスロットに挿す。上の図一番下に挿してあるの注目していただきたい。これで分るとおりグラフィックボードのようにフルサイズではないがハーフサイズの大きさは結構大きい。本来ならいずれ別売りのドーターカードを挿したいので、下から二段目に挿したいが、コンデンサなどが物理的に干渉しており一番下に差した。実際、自分ではリサーチしていなかったので挿す際に気がついたわけだ…。こういう凡ミスは避けたいところだ…。続いてはコネクタの接続(左図)。シリアルケーブルに近い独自仕様になっている。どうもPCに尻尾が生えたようだ…私のところは床においているのでだらりとなってしまう。4IN 4OUT構成だが重複は無い。こちらは「Proteus X」版なのでアナログ接続端子がヘッドホンなどで使うフォーン端子となっているエントリー版はピンプラグの違いだ。当然場合によっては変換のため出費を覚悟しなければならない。ケーブル自体はしっかり挿せるので品質は悪くない感じだ。相互ノイズも今のところ気にならない。まぁ纏めやすいといわれる外付けだとアダプタが必要な場合もあるし、直接挿すのだと取り回しで後ろに手を回すのも結構たるい。どうも、一概にプラスもマイナスとは言えないと思う。
 続いて、最大の特徴としてこのサウンドカードはアプリケーション「PatchMix DSP」(右図)をインストールしないと、うんともすんとも言わない。つまりソフトベースでの管理が必要である。ポイントは常にメモリに常駐させる必要があるため、最低でも512MBのメモリが必要となっている。推奨が1GBを求められる時代である。しかもデュアルモニタ対応を謳うあたりあたりはグラフィックカード用意して、メモリをいっぱい空けろといいたいのだろう。インストールすると起動がやはり遅くなる…もっとも、一度起動すれば当方のスペックだと全く遅さは気にならないレベルだ。
続いての問題はこのソフト自体である!そのまんまミキサーなのだ!音声の入力、出力はミキサーのSENDで指令を出さないといけないのでミキサーの知識が必須である。多数のプリセットも用意されているが、自分の希望にそぐわないとやはりは作るしかない。最初のうちはマジで迷う…特にミックスダウンがなかなか融通利かず迷った。初心者は曲を作ったはいいがそれっきりもありうると思う。もっとも慣れてくると場合によってプリセット変えれば良いだけなので慣れてくるとこれはこれで面白い。その辺のサウンドファイルやゲームの音にエフェクトかけて遊べるのはなかなか面白い。当然VSTプラグインエフェクトも使えるが、やっぱり設定は面倒なため、ここまでやる必要は本当に無いと思う。ミキシングならバンドルで入っているソフト使ったほうが当然早い。ソフトは英語だがマニュアルは完全日本語なので、読み解けばオーディオセンドもミックスダウンもしっかり載っていた。実際としてはシーケンスソフトはASIOで鳴らし、「PatchMix DSP」のメインインサートを「WAVE L/R」に設定。ミックスダウン用の波形編集ソフトのオーディオドライバ設定を「E-DSP WAVE」にすれば、PCベースなら簡単に出来る。外部音源を使うと少し厄介だが、INした音をそのままマスターに送ればよい。まぁ、色々試して成功したのを必ずプリセットで取っておけば次回は困らない。 どうしてもダメなら(趣旨からずれるが)もう一台パソコン使うのが負担も少なく早い。

 さて、問題は音質そのものにあるといいのだが…これも10000円なら及第点以上の音はする。全体的に低音が効く感じでダンスミュージックやるには好都合だ。マザーボードのオンボードオーディオはインテルHDオーディオだが当然エッジの鋭さなども全く問題にならない。当然デジタル出力で聞いても差は歴然だった。これとASIO2.0を考えるだけでも十分な当り製品といえると思う。もちろんゲームの音楽にも使用できる!ヨーグルティングのオープニング音(かなり好きな曲)ではその違いについ声が出てしまったくらいだ。「PatchMix DSP」でエフェクトかけて音遊びなどありはあり。サラウンドを考えないが、オンボードを抜け出したいゲームユーザーのチョイスもありだと思う。無論、昔使っていたサウンドブラスターLIVEも問題にならない音だった。
 そして注目はそのバンドルソフト。中でもおいしいのは、Steinberg Cubase LE、Ableton Live Lite 4.0 for E-MU、Proteus X LE VSTiの三つを上げたい。どれも本物製品のLite版なのでその気になればアップグレードも可能となっている。そのまんま製品買うより、サウンドカードの分おとくなクーポン代わりにも使える…。フリーの良質VSTiはSynth1、JX10、DX10などたくさんあるので、それとProteus X LE VSTiを組み合わせるだけでソフトシンセを堪能できる。Liveは4.0から更にDJライクになった!これあればトラクターDJ買わなくても良いのでは?というくらいのレベルといえる。
 総評としては中級向けのステップアップパッケージという位置づけとしたい。どうしてもミキサーを使うので、最低限以上のDTM知識が必要だからだ。 やはりここはフリーソフトとオンボードで曲を作っていたユーザーや、数年前のサウンドカードの買い替えを考えているユーザーにお薦めしたい。しかしながら、ハードウェア的に見てもどう考えても自作PCレベルの拡張性がないと使用は難しいのも事実。インテル鉄板でPC作る余裕と腕があって初めて生きるカードの気がした。

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