Ilice's Review (3)
LOVE ME TENDER
artist:LEILA
label:DELTA
実を言うと私Iliceが最も好きなユーロと問われればこのLOVE ME TENDERと答えるのではないだろうか。
この頃の打ち込み中心のユーロの中において実にシンプルなイントロはびっくりする。過去打ち込みのためにR3嬢に耳コピで楽譜に起こしてもらったのだが、同時に発注したMUSIC GO WILDに比べ音数が実に少なかった。ドラムは単純なキックでベースもコードもユーロに忠実な展開、それだけイントロやメロディーの一音一音が重く聞こえて印象に残る。それを補完するかのようにギター音を組み込むのだが、これも気持ちいいぐらいマッチしている。正に音の魔法といっていいだろう。歌の方も哀愁味の溢れる曲をしっかり歌いこなしていて(おそらくはクララだろうが)ユーロビートにおける歌の重要さを存分に堪能できる。
イベントなどでもアナログで出る前からCDでかけていて、特にSEBを買ってないお客さんに「きれいな曲ですね」と何度か尋ねられたものだ。こういう質問うけるのもNONSTOPの方が売れるSEBの特色ともいえる。しかしアナログが出るとまたびっくりした!入っていたのはEXTENDED MIXとBIG HOUSE MIX。後者はなんとBPMを落としたイタロハウス風のサウンドでただでさえリスニングに使えるのがもっと使えるというすばらしいミックスだ。前述の音の少なさに加えBPMも遅いので、80'sユーロいわゆるハイエナジーとミックスしても全く違和感がない!こういう風なミックスが出ると昔の資産にも使い方の幅が増えておもしろいものだ。
余談ではあるが私は色々な場でこの曲を薦めていた所、当時ライナーを書いていたH.SAKAMOTO氏に大いに共感して頂き形に残ってしまった。
SEB100のこの曲の解説にある「GROOVERなY氏」、僭越ながら私のことである・・・。
HIGHER & HIGHER
artist:LOLITA
label:A-BEAT-C
LOLITAといえばTRY MEが最も有名なのは誰もが認めるところ。最近ではゲームのビートマニアIIDXに入った事からROMIO & JULIETも知られる事となった。今回はあえてそれらを避けこちらとしたが、この曲もそれらと比較しても全く遜色のない名曲HIGHER & HIGHERだ。
聴くと分かるのはA-BEAT-Cらしい哀愁色とイケイケ色の中間のアプローチのサウンドだ。よってDJユーズにも耐え且つリスニングとして聴いても全く問題ない。またA-BEAT-Cならではの泣きのギターサウンドも外せない。実際ではアナログを最後までかけることはまずないので、リスニング用と思いがちだが、A-BEAT-Cの総帥デイブ・ロジャースは誰よりもライブに熱を上げるのを忘れてはならない!何かしらのイベントのときライブをしかけるが毎回アツイ。そういった意味でも打ち込みだけでなくギターサウンド組み込むにも納得がいく。ただSEB78に入っているのはギターの後そのまま終わりだが、アナログではその後もう一回サビの歌が入るので聴きこめる。ない人は編集しても違和感なくいけるのでmixの基礎としてオススメ。
またこの曲は両A面で(こちらはAA面)、うらはBECAUSE I NEED YOUという曲だ。こちらは実はしばらくお蔵入りとなっていてSEBに収録されたのはかなり後になる。なぜならBECAUSE I NEED YOUはMAXがカバーしているため、オリジナル性を出したかったらしいそうだ(聴いてみるとかなり酸っぱい・・・)。 ちなみにHIGHER & HIGHERもカバーされているのだが・・・泣かず飛ばずであった・・・。
STAY
artist:VICTORIA
label:TIME
今回とりあげたVICTORIAのSTAYは聴いた当時なかなか衝撃的だったのを今でも覚えている。このころTIMEは全くといって良いくらい元気がなかった。A-BEAT-C、DELTAのレーベルとは人気度でいえばグンと差があり、リクエストも少なく、曲調も似てしまうので、どうもかけるとなると敬遠し昔の名曲で安全パイ(DANCING IN THE DARKやLONLY NIGHTなど)をとりほとんどオカズ程度にしかかけなかったが、このSTAYには痺れた!リクエストのほうも上々で女性客のリクエストが多かった。
まず、曲にドラマ性が出て盛り上がる音使いになった。打ち込みで音を使い古した感など全くない爽快なイントロは正に変わったと思わすには十分なはいりだ。歌の勢いも強く一気にサビまで持っていくさまはユーロをいい意味でうらぎってくれた。昔ANNALIESがUP ALL NIGHTという曲でラップをいれドギモを抜いたが、今回はそれこそ爽快に突き抜けたというあたりEPIC HOUSEのアプローチに似ていたと私は捉えている。
また上のジャケ(通称黒パンツ)もなんとも昔のユーロのらしいキャッチーなジャケだが制作はどうもAVEXがやっているらしく作りやミックスが手抜きそのもの、STAYもアナログの利用価値的にみればCD(SEB)より長いのでまだいいが、中には四曲入りでCDのままの長さというのもあった。しかも当然ミックスなど存在しない。コレはいただけない!
YOU CAN LIGHT MY FIRE
artist:MADISON
label:DELTA
今回もユーロビートだがついついDELTAレーベルが多いのがわれながら気になるところだ。しかし、私としてはこの頃(SEBでいえば80〜90くらい)がもっとも円熟していたと思う。なかでもやっぱりDELTAはハイパー路線も哀愁路線もうまく出していたと思う。他のレーベルも追随するようにクオリティが上がりじつに面白かった。
そんな中お気に入りの一つがこれYOU CAN LIGHT MY FIREだ!確かに哀愁ユーロという位置づけがなされているが、実際には意外とリズミックで使われやすいといえた。事実AVEXの公認ビデオでもこの曲のパラパラが紹介されている。ちなみにわたしはなぜかDVDもっているがさすがに練習するに至ってない、更に暴露するとゲーム“パラパラパラダイス”も所有しているが現実練習には至ってない。そのあたりのメディアに出れるように初めて聴く人でも実に聞きやすい、ある意味イージーリスニング的なユーロビートといえる。言い換えれば80'sにそういうユーロビートが多く、いまだに残る曲が多いのだがこの曲もそんな後に残る一曲といえる。
また、この裏面は同じMADISONのMISSING YOUとなっておりこちらも非常にオススメだ。ただ残念なのはどうしてもノンスットップに入っているのはテンポアップされており、オリジナルのテンポで聞けるのは少ない。パラパラパラダイスのサントラはみじかい・・・どうしたものか…。
HEARTBEAT
artist:NATHALIE
label:DELTA
今回からは私Iliceの源流とも言うべきユーロビートについてレビューします。しかしながら既にユーロビートはやめており古いものしかないので思い出浸りの感もありますが・・・。
今回のHEARTBEATは見て解るようにジャケが二枚ある。いつものとうりにライセンス若しくは海賊版と言いたい所だがどちらも違う。れっきとしたDELTAの正規版である。左がEXTENDED MIXのある一般盤で右はMIXのみの企画盤で日本人のDJがミックスしている、この辺が日本贔屓いや実際はユーロビートは日本でしか使われないとの現れだろう。では「通称女の子のスカートの中は秘密よ♪」ジャケのEXTENDED
MIX。ドンドン!と心音のようなオープニングで幕をあけるがメロに入ると一転印象的な哀愁のメロが一気に押し寄せてくる。このころのDELTAらしい入り方で私などは好んでフェードインで使いプレイの引き立てにしたが、パラパラ軍団はそんな事お構いなしなので、かけてる方は客相手とはいえかなりヘコむ・・・しかしながらそこは名曲の勝ちか、かのスーパーユーロビートのキリ番のリクエストシリーズでは大概上位に食い込んでいた(もっとも中には組織票もあったらしいが)。後半のパートにはイントロにストッピングなどの技法も使われていて最後までテンションの落ちることのない作りはダンスとしてもライブとしても実に使い勝手はよい。
また右のミックス盤はユーロのミックスはどれも大体サビとメロが逆転とかが多い。もちろん音自体変えた秀作もあるが今回はそんな感じなのでパス。ちなみにこの裏面はあのNIGHT OF FIRE。このアナログもなかなか手に入らないらしく、金つんで買おうとするオタクDJが後を絶たないらしい。
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