Ilice's Review (9)



Tales From The Krypt


artist:Maddox & Kaye
label:SYNAPSE



 今回はMaddox & KayeTales From The Kryptをご紹介しよう。新しいレーベルSYNAPSEからのリリースだ。SYNAPSEはTIDYの傘下でハードハウスやハードトランスにとらわれず曲をリリースするようだ。ただ、まだ二曲しか出ていないため深いことはいえないが…。今回のこちらはMIXによってタイプの違う曲で面白い。では早速MIXを見ていこう。
 まずはOriginal Mix。どんなの来るか?と楽しみながら聞いてみると割とシンプルな四つ打ち。それに妖しい声と妙なノイジーなギターがエグめに襲う、そこに妙に軽いピアノと割とごちゃ混ぜ。ビッグビートというには早い…どちらかというとハードコアとサイケサウンドを合わせた感じ。こういった感じの曲はまだそんなになく今のところ使い道に困る。おそらく時間がたてば大化けしそうだ。逆に今回しっくり来るのがINGO Remix。上物などを上手く使いつつ再構築して一つのアシッドベースを入れた構成だ。音は結果的にゴアトランスとなってフロアを蹂躙する!今までのゴアよりキックが硬めで硬派なサウンド!ハードハウスでは有名なリミキサーであるINGOが作り出したゴアは実に新しい!最近のビートマニアIIDXの衝撃L.E.D.の「GHOST REVIVAL」に匹敵するだろう。今回はこちらINGO Remixの試聴を作ったので参考にどうぞ。
 しかし、R3嬢の言葉だが、ここまでTIDYに頼っていいのだろうか…まぁ、骨抜きにされている私が言うのもなんだが…。
1200 Micrograms


artist:conpiration
label:TIP.WORLD



 今回はゴアトランスの大御所TIP.WORLDのコンピレーション、1200 Microgramsについて触れていこう。元々TIP.WORLDというレーベルはRaja Ramが作り上げたTIP.Recordsが2000年代になって名称を変えたレーベルだ。ゴアトランス界のレーベNo1君臨しているわけはこのコンピレーションシリーズによるところが大きい。R3嬢のリストにもあるとおり、自レーベルの曲オンリーのコンピをCDでもアナログでも出していることだろう。リスナーはCDなら気軽に手を出せるし、DJ側としてもアルバム一枚そのまま使えるとなれば嬉しい。
 まずは曲名を見ていただこう。Ayahuasca, Hashish, Mescaline, LSD, Marijuana, Ecstasy, Magic Mushrooms, Salvia Divinorum…お分かりだろうか?全て幻覚系ドラッグの名称となっている、今回これはジャケ買いならぬ曲名買いであった(笑)。どの曲もそれにたがわぬヤバめのトラックなのだが…今回はMIXの紹介は控えさせていただく。なぜなら、展開としてみればさすがにどれも同じでさすがに八曲分言葉かえるのでは芸がない…ので。
 また試聴はTIP.WORLDの正規の代理店で聴けるので危ない世界に足を踏み入れたいなら検索してみてはどうだろうか?中毒症状になっても当方は責任もてないのであしからず…。
Far And Away (EP)


artist:deedrah
label:Hadshot Haheizar



 今回はdeedrahFar And Way (EP)をご紹介。まずは(EP)というだけあってもともとは同名アルバムの先行シングルカットとなっている。後日R3嬢が見つけてきたがやはりシングルカットされているだけにアルバムの中での存在感は非常に高い。またジャケはEPは青基調に対しアルバムはオレンジ基調になっているのもポイント高い。では曲の方を見ていこう。
 まずはA面Reload(GMS REMIX)。アンビエントなオープニングから始まり割とシンプルなゴアのフレーズがノリ易い、しかしこのMIXの本質は非常に意欲的のところにある。クラブミュージックの展開のひとつに少しずつ音を足していく展開がある。ASIDでも初心者はこういうつくりから始めるなるはずだ。しかしこの曲はなんと新しい音を足すときには一旦新しい音だけ流し次にベースラインを追加していくという独自の展開が面白い。特に中盤のアンビ系シンセパッドが入るところなどは一瞬世界が変わる気さえする。強引且つ印象強い革新的なMIXだ。次にLIQUID SKIES(GMS REMIX)。SKIESとくるとどうしても文語的表記からミスティックな印象の曲が多いのだが、もちろんこちらもアンビエント要素ふくむ曲だ。しかし根幹はゴアなのだが不思議とアンビ系の音ともしっくりくるこの辺は正に職人技!こういうつくりをするとジャンルオタクがなんだか難癖つけるのが最近(イヤだなぁ…)だがこの曲に関してはゴアといわざる得ないだろう。ベースラインがしっかりしてればクラブユーズにまったく問題はないからだ。そして表題のFAR AND AWAY(LOW-END MIX)だがこちらはどちらかというとサイケデリックトランス的な音使いの上ものが印象的だ。前半はアンビ系シンセで後半はお約束のハードなアルペジオと後ろに向かってハードになっていくというおいしい展開。だがそれとともに妙に重いキックがいいこれが生きてきて展開的としては全体をとうして聞くと派手目のテクノのようだ。ただ個人的には前二曲ほどのインパクトを感じない。今回はReload(GMS REMIX)の試聴を作ったので参考にどうぞ。
 しかしこれはジャケ買いであったのだが当りを引いた…。
The Orange Theme


artist:CYGNUS X
label:Hooj choons



 今回はCYGNUS XThe Orange Themeをご紹介。ゴアをやるといっておきながらトランスではあるがしっかりとした理由がある。今回のこちらにはMIXでMAN WITH NO NAMEが参加している。こちらのアーティストはもともとゴアトランスを中心に活躍していたが、エピックトランスが全盛期になるとそちらも出してきた。いわゆるUKでのトランスのシーンを時代時代で見てきたキャリアがあるので信頼おける。今回はHooj choonsのDisk 1で残念ながら手元に2はないが二つとも即フロアに投入が可能なキラートラックだ。ではMIXの紹介。
 まずはSoler Stone Remix。エッジの効いたベースラインが実にいい。全体的に雰囲気を崩すことなく展開が進み、ブレイクではシンセパッドこそ加わるが展開は変わることはない。当然使い方はプレイの前半がいいだろう、バレアリックサウンドをメインに考えるなら是非とも押さえておきたい曲だ。次に今回のメインのMan With No Name Remix。ぱっと効いた感じでは先ほどのMixとは随分趣が違い音全体がハードなつくりになっている。使われている上物はゴアのシンセとは違うのだが、キラキラ…というよりメタリックな音使いになっているのが特徴だ。しかしながらそのシンセの展開はゴアサイケそのもので音色が違うだけでこうも違うのを実感させてくれる。ずばりプレイするならどちらのパーティーで使っても面白い。
 レイヴサウンドから派生したといわれるゴアトランス、テクノから派生したサイケデリックトランス、そしてハードハウスから発展したエピックトランスと使い分けが出来ればプレイスタイルが広がることはもはや常識と思えるトラックだ。
vektor / hyperfocus


artist:noosphere
label:Spirit Zone



 今回からはゴアトランスやサイケデリックトランスについてレビューしていこう。
 今現在、トランスと一口に言うとユーロトランスやエピックトランスなどをいうのは当然だ。しかし1995年前後ではトランスというとゴアトランスやサイケデリックトランスを指していた。もちろん大箱、小箱問わずかかるのは今のトランスと同じで聞いてみるとそのハードかつキャッチーな音にはまる人は多い。ではこのゴアトランス、今はどう扱われているかというとパーティーの中で前座的に使われることが多い。22時開始のパーティーなら0時くらいまでか?
 ゴアトランスやサイケデリックトランスを嫌う人の大半の理由は「展開が同じ」だそうだが、実に浅はかだ。その展開にハードハウスやNu-NRG、プログレッシヴハウスなど組み合わせると恐ろしいほどのバリエーションが生まれてくる。よって、DJの真の実力がわかるのもこの辺をどう料理するかにある。またパーティーの前座時間は新人DJだけでなくレジデントが回したりするのも最近の傾向だ。そのため、前座時間の空いてるダンスフロアで思い切り発散するクラバーも多い。
 前置きが長くなってしまったが今回はnoospherevektor / hyperfocusをご紹介。ゴアトランスの基本が十分に詰められており、どちらも非常にかけやすい。私も前にフロアで聴いたことあるがどちらもプログレやハードハウスとうまく重なり合わしてあった。どちらも詳しく見ていこう。
 まずはvektor。軽いオープニングの後音が一瞬止まり一気に本番に入るこの一瞬止まるのが切り返しには非常に楽な作りになっている。タイミングさえ合えば雰囲気を崩すことなく次の選曲を選べる。曲自体も後半はシンセが入るなどエピックトランス的な音使いもあるので乗り換える人も聞きやすいはずだ。次にhyperfocus。こちらの方が若干おとなし目だ。ブレイク近くはアンビエント的な大気音があるあたりも面白い。ゴアトランスからプログレの飛び道具として使うと気持ちよくトリップできる曲だ。
 今回はvektorの試聴を作ったので参考にどうぞ。
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