Ilice's Review (11)
Nagasaki Badger
artist:Disco Citizens
label:Xtravaganza
今回はDisco CitizensのNagasaki Badgerをご紹介。「また古いな〜」といわれそうなのだが実際リリースは1998年とやっぱり古い。Disco
CitizensはChicaneの別名義ということが知られているが実際にはDisco Citizensの方が名義としては古い。どちらもNick Bracegirdleのプロジェクトと今はなっているが元はLeo Elstobとの共同プロジェクトであった。ただChicaneと名前を変えた時Leo Elstobは音楽性の違いから去っていったので余り知られていない。これはDisco Citizensのデビュー曲(Right Here Right Now)にクレジットされているそうだ。よって結局の所はこの曲もNick Bracegirdleの単プロデュースとなっている。またジャケだがなんとイラストとなっていて中国字で「探偵物語」と書かれている!はっきりいって怪しい…そもそもタイトルがNagasakiなのも十分怪しい。ではMIXを見ていこう。
まずはOriginal Mix。最初に言ってしまうとバレアリックハウスにブレイクビーツの要素をいれた面白いMIXだ。そう、Original MixなのにいやにギラギラしたMIXになっている!ポイントを上げて行くと最初のブレイク後はドラムシンバル音がフェードで入ってくるビッグビートなどで見られる手法だ。その後はトランス的なシンセが入ってくると思えばドラムが不規則になってアンビエント的なピアノソロが入ってくる。かとおもったら一気に音が硬くなってきてオーラスに向かう…DJ側としては非常に使いづらいが通して聞くとNick Bracegirdleの懐の広さを感じるMIXだ。ではDJなら何を使うかというとChicane Remixが用意されている。こちらはOriginal Mixのトランス的な音を中心に再構成した感じのMixとなっていてベースラインも四つ打ちで使いやすい。なんといってもポイントは美しい上物のピアノラインが印象的だ。ブレイクはあるが盛り上がるようなフレーズはないので朝方にはもってこいだ。それをねらったのか終わりはぴったりちょうど良く終わる。つないでつないで最後に持ってくるのが最高の使い方だ。今回はChicane Remixの試聴を作ったので参考にどうぞ。
こうしてみると単プロながらDisco CitizensとChicaneでは曲に対するアプローチがだいぶ違うことが手に取るようにわかるはずだ。DJは別名義を良く使うが、ひとつの殻に閉じこもらないことの表れといえる。
Beatiful Child
artist:Madelyne
label:tempo music
今回はMadelyneのBeatiful Childをご紹介。Madelyneの曲では一番世の出ているのではなかろうか?R3嬢のリストにもある通りXtravaganzaからも出ているくらいで今でも手に入れやすい。今回はtempo musicのREMIX集で曲調の違うMIXが三曲はいっている。ずばり言ってしまうとCDSだと大体入っているのでそちらがお勧めだ。また、シングルだとA Deeper Loveが出ているはずなのだがまだ店頭で見たことがない。コンピレーション等で聴いた限りではこちらもなかなかなので見てみたいものだ。ではMIXを見ていこう。
まずはMike INC Remix Extended。オープニングは普通に始まるが大体一分弱でヴォーカルが飛び込んでくる。曲全体が五分なので、よってこの一分の間にしっかりつながなければいけないため前後の展開を考えつつ入れて行きたい。ヴォーカルがなかなか伸びやかで聴きやすいのがポイント。このMIXはヴォーカルをさらに前面に押し出した音使いなのでトランスだけと言わずダンスポップに混ぜても面白い。FRAGMAのEverytime You Need MeのORIGINAL MIXにアプローチは似てるといったほうがトランス好きには早いだろう。次に4 Strings Vocal Remix。4 Stringsによる今回のメインともいえるMIXでバレアリックサウンドを前面に押し出した心休まるMIXだ。特に中盤で入ってくる単打ちのピアノが気持ちよくここからフェードで入れるか最初からたっぷり使うかキューイングで遊ぶか、などと使いどころがたくさんの良MIXだ。そしてHiver & Hammer Remix。リミキサーは上げて行く曲が好きな人に絶大な支持を得ているHiver & Hammer、おのずと曲調と使い方はわかってくるのではないだろうか?前半はらしいオープニングとイントロ、としかしブレイク近くは割と音使いは大雑把なので回し飛んだ(45Rpmを33Rpmで回すこと)感じがしてしまう。ただその後は押し寄せるブレイク明けが待っているので全部を使うには少し勇気がいる。まぁこちらはヴォーカルよりトランスリフがメインなので盛り上がりの持続にブレイク後だけ使うのが相応の使い方ではなかろうか?
やはり特筆すべきは3つのMIXともに曲の雰囲気が違うためその場その場のシーンに合うことだ。大分前のPOSITIVAなんかはそうだったのだが今は一辺倒なのでもう少し気を使って欲しいところ。
black hole special collector's edition
artist:V.A
label:BLACK HOLE
今回は久々にコンピ物をご紹介。前回に引き続きBLACK HOLEでblack hole special collector's editionだ。こちらは純正オランダ製でスペシャルと銘打っているだけあって豪華メンバーによる四曲構成だ。二枚組みになっており、一面づつ四曲入っているのも使いやすくて嬉しい。ではそのアツい中身を詳しく見ていこう。
まずはtiesto,montana&stomeのbleckentrommel。このクレジット…それだけでも身の毛も立ちそうだが、大方が期待するようなトランスではなく重いキックのハードなミニマルテクノになっている。非常にトライバルなサウンドでもありドラムロールの続く浮揚感はたまらない!!一発目から「BLACK HOLEはトランスだけのレーベルではない」という挑戦的な姿勢が感じられる。次にKamaya paintersのendless wave。こちらはバレアリックハウスになっており全体的におとなしめのつくりになっているのがポイントだ。オープニング後に出てくるアルペが中心となっており、そこに絞ったシンセパッドやドラムロールがおいしく入りチルアウトするには絶好の一曲だ。最近派手なトランスを控えてバレアリックサウンドを中心とするDJなら入れておいて損はないだろう。そしてariaのdido(armin van buuren's universal religion mix)。リミキサーからもわかることからこちらは壮大なトランスになっている。まずは雨の音から始まるストーリーを感じさせるオープニングは二分以上にも及ぶ。もちろんそれから四つ打ちのドラムが入ってくるのでDJユーズにはぶっちゃけいらない…この辺の要る要らないはリスナー側とDJ側では捉え方が違うはずだ。そして、そこから始まる音は一転して派手目な音のエピックトランス!やっぱり待ってましたの展開ではなかろうかオープニングを意識させるボイスも相まって序盤からヒートするMIXに仕上がっている。ブレイクあけもなかなか鳥肌の立つので是非ともピークタイムにはもってこいの一曲だ。最後にvimanaのwe come。入手したのはこれ目的と言う人が多いと思う。クレジットを見ると間違いなくdj tiesto,ferry corstenと書いてある…初代Gouryellaではないか!!ベースラインのパートを聴いてみると正にGouryella!特に1999(Gouryella Mix)の音に近いか。とにかく感じるのは音が重いことだが上ものの使い方の上手さも光る!パッド系のアルペとキャンディー系の音を使い分け9分弱の曲を飽きることなく聴ける。今回はこちらの試聴を用意したので参考にどうぞ。
総評として、「四曲ともタイプの違う曲をバランスよくまとめた珠玉のレーベルコンピで、これからのプレイの主役になり得るマストアイテムである」としたい。
Angel
artist:Drax & Scott Mac
label:BLACK HOLE UK
今回はDrax & Scott MacのAngelをご紹介。私のレビューも亀の歩みながら前回で50枚目だったのだがいまさらながら人気レーベルBLACK
HOLEの登場である。まず注目はジャケ、僭越ながらなんとも当方のHPの思い描くイメージぴったりのジャケか!!(もっともBLACK HOLE UKは大体このジャケ)。そのためだけにクレジットも見ずに即買いだったのだが中身はと言うと…久々に突き抜けるようなエピックハウスに感動!!早速MIXを見ていこう。
まずはOriginal Mix。オリジナルなのにねちっこいドラムが曲者、その後美しい伸びやかなヴォーカルが飛び込んでくる!綺麗にかかったエフェクトもマッチしたそれは聞くもの全てが癒されるだろう!そしてその美しいヴォーカルが心地よく続いたところで醍醐味ともいえるシンセが徐々に入ってくる。最近の曲には珍しくブレイクと言えるところがないのでいい感じにチルアウト出来る。どちらかと言うと初期のトランスに近いので長くトランス聴いている人ほどはまれるだろう。次にMagik Muzik Remix。Magik Muzikは当然TiestoのMixチームだけあり出来は格別だ。こちらは展開こそ同じだが上物にシンセのリフがのった正統的なリミックスになっている。そういうわけで後半はゾクゾクするようなシンセリフが乗っかるため完全なフロアアンセムとしてたまらないつくりになっているのだ。またレーベルのページには新たなREMIXが乗っており全て試聴可能になっているので参考にしてみてはどうだろうか?
是非ともYet Another Dayに引き続きMIX版を入手して追記したいところだ。
Yet Another Day
artist:Armin Van Buuren feat.Ray Wilson
label:UNITED
今回は当BBSでも話題になったArmin Van BuurenのYet Another Dayをご紹介。今回は男性ヴォーカルのトランスとなっている。Soul
on Soul以降男性ヴォーカルをフューチャーした曲がよく出てきた。これはトランスのみならずハウス、ユーロ全体にいえることだが女性ヴォーカルはメロディックなイメージに対し男性ヴォーカルはリズミックなイメージが強い。これにインスト物をうまく組み合わせたプレイを考えられるとDJプレイが実に面白い物になってくる。今回あったのはUNITED盤でジャケもシンプルなら内容もシンプルなものになっている。MIXは二曲だけだが見ていこう。
まずはOriginal Mix。シンプルながらに重いキックそしてすぐにお待ちかねのトランスシンセがベースラインに先行して入ってくるのがニクイ作りだ。これにより前にかけていた曲のラストとドラムを重ねて楽につなげられることが出来る。前述のように男性ヴォーカルが入りそのバックトラックはバレアリックサウンドが色濃く出ているのが印象的だ。おそらくはCHICANEを意識したのでは?と思うくらい、いってしまえばCHICANEの音が好きなら無条件で気にいる曲なのは間違いない。ブレイク後はヴォーカルが控えめになりその代わり押し寄せるようなシンセフレーズが来るという正に盛り上がり必死のナンバーだ!!最初から最後まで使えるので初心者のDJはこの曲を中心にした構成でMIX作ると良いかもしれない。次にSunday 5 Pm Mix。全体的にインストが増えたが…実は正直あまり変わらない。確かにシンセのフレーズとかは変わっているが正直劇的な変化ではない。Original Mixと交代で使うと良いかもしれないが、ここはいっそ後発のREMIXに期待したい。つまり二枚使いをするのだが…一気にDJスキルも跳ね上がるので練習は必要になる。
しかし最近はなんかMIXが二曲だけのアナログが多い気がする…そろそろ本気でREMIX作っていかないとツライ。
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