Ilice's Review (17)



Play


artist:Stimulator
label:tidy two



 今回は9曲目に使ったStimulatorPlayを満を持してのご紹介。どうも私は最近TIDY TWO無くてはMIXの出来ない人間に落ち着いている。とはいっても毎月新譜を買うたび音作りの面白さと展開のかっこよさ、沁みる哀愁系サウンドに心抜きにされてしまう。Artemisを皮切りとして一月一枚ペースでMIX作っているがどうしてもTIDY TWOが入ってきてしまう…コレではいけないのだが納得の行く出来を出すのもTIDY TWOであるのも確か…。その納得いくMIXを見ていただこう。
 まずはOriginal Mix。オープニングはまんまハードハウスなのだがすぐに疾走感ある上物が入ってコレ中心で進行する。コレだけで持続にも盛り上げにも使える万能フレーズ!それからウォームなシンセパッドが入りブレイク、そして明けるとメインフレーズが襲う。そこ自体はサンプリングを散りばめたピークタイム絶好の音だろう。またとにかく感心させられるのがアウトロの構成。音自体イントロと同じので二枚使いによるJETが楽に出来る。よって持続にも盛り上げにも万能で使えるわけだ。次にPaul Maddox Remix。こちらはハードハウスのMIX。一昔のTIDYを髣髴させるMIXでコレがマジでカッコよすぎ!!Original Mixのフレーズはブレイクビーツとして各所に挿入、それに彩を添えるようなピアノフレーズが太いベースラインと合わさり気持ちいい。ブレイクも無音でフレーズだけ流すという無機的且つ印象に残るやり方。明けこそ地味だが前半系ハードハウスなので使い方考えるとかえって使い易い
 さて、大体この五曲あたりがArtemisでのポイントだと思う。こうみても今のシーンは新しい物と古い物を組み合わせれば組み合わせるほど幅が出るし面白い。新譜だけではダメ、中古だけでもダメの難しいシーンだ。きっとこれらの曲も少したてば使い方も変わるかもしれない。
Gloria


artist:Lovechild
label:48k



 今回は13曲目にチョイスしたLovechildGloriaをご紹介。48kはジャケを見れば一目瞭然Perfectoの関係である。時代と共にPerfectoはジャケとスタイルを変え確実に進化してきた。特にこの辺の曲はライセンス物も多く非常に評価が高い。今回のこちらも出所はなんとPurple Eye傘下のTremolo!まだその頃は力が無くリリースを出来なかった曲を上手くディストリビュートした結果といえる。その後LovechildはTremoloからLiberta、In My Dreamsなどの名曲をリリースしていることからも先見の目があったといえる。ではMIXを見ていこう。
 まずはExtended Mix。心地よいオープニングに絡む甘いヴォイスとリフレインが印象的だ。上手く重ねるといい感じに使えると思う。しかしブレイクあけは転じて、かなり襲い掛かるようなド派手な音なのでタイミングよく使わないと厳しいかもしれない。ただ、上げるだけでなくしっかり作りこまれた旋律なので使わないのも勿体無い、是非ともメインもしくは持続へとうまく使いたい。次にOlmec Heads Remix。こちらはおとなし目のMIXに仕上がってるのが特徴だ。エピックハウスの前身ドリームハウスを色濃く残すREMIXだ。正直今のスタイルでは使いづらいと思うのだが、出た頃というのはこういう曲が朝方のタイムに使われていたのだ。よっていまでもスタイルによってはチルアウトに持ってくるDJもいるだろう。
 MIXによって大きく使い勝手が変わるためしっかり試聴して熟知したい一曲だ。
Sea Of Blue


artist:Technation
label:Slinky



 今回は11曲目で使ったTechnationSea Of Blueをご紹介。Slinkyはいろんなジャンルが同じ系統のジャケにはいていることからどうしても試聴を重視する。だがこれは思いっきり「らしい」タイトルなので「綺麗系な曲」という先行イメージから当時入手した。無論それにたがわない音使いと展開だ。ではMIXを見ていこう。
 まずはOriginal Mix。ハウスらしい規則的なキックから少しづつ音が足されドラムロールで一気にらしい音になる。コレだけで非常にノリがよいのだが本番はココから、二分前後でシーンとするブレイクと共に切なげなヴォーカルが舞い込む。ヴォーカルの主はKelly Jones、透明感のある歌声とハミングが印象的だ。ブレイク空けはインスト中心で進み、煽る様なフレーズで進む。ヴォーカルを印象的に残しつつインスト中心なので切り替えを含め色々と使い易い。
 次にQuake Mix。序盤こそそんなに変わらないが、一分前後でトライバル的な音が入ってきて様相が変わる。ブレイクがあけて初めてメインフレーズが出てくる、だがそれよりはるかに印象的なのが終盤の追加されたフレーズ。この切ない音が耳に残るので是非ともココは使いたい!全体的にこちらのMIXの方がアクティブなので場合によって使い分けたい。ちなみに今回チョイスしたのはこちらのMIXである。
 また、この作品は2001年の物だが今でも全然使える。やはりTRANCEというジャンルが多様化しつつも、まとまって来たからだろう。昔の音が新しい音と合わさり更なる復活したに他ならない。
I Need [your loving]


artist:MR.Bishi
label:Tripoli Trax



 今回は4曲目と8曲目に使ったMR.BishiのI Need [your loving]をご紹介。オリジナルではなくREMIXもの。しかも両A面で違う曲、違うリミキサーとなっている。自信があるのかやっつけ仕事かわからない…だがあなどるなかれ!最近のTripoli Traxのこのジャケのシリーズは実に面白い。ハードユーズに徹したつくりで初心者お断りの空気を感じる。ハードトランスを考えるならTIDY TWOと共に是非ともチェックしてはいかがだろうか?ではMIXを見ていこう。
 まずはI Need [Your Loving] Lee Pasch Remix。最近ハードトランスのリミキサーとして信頼に足りるLee Pasch、今回も無論強烈に仕上げてきている。オープニングは低音の効いたキックで割と規則的だが、早いうちに「I Need〜」と連呼するヴォーカルサンプリングが入ってきて一気にアツイ展開になる。ここらから継ぎブレイクを生かすか、ブレイクで継ぐかは(その時によるとはいえ)迷う!ブレイク空けもどんどんに盛り上がり、一瞬ぷつっと切れる感じだ。この間が上手い!!長くもなく短くもないほんの一瞬で音場を変えてしまう破壊力がある。どうあれ、上手く盛り上がりタイムに持ってきたい曲。弱点は少しBPMが早いので調整をうまくやりたいところだ。次にTell Me [toy boy] Shark Boy Remix。こちらもTIDYとかでもみるShark BoyのREMIX。こちらはどちらかというとハードハウス寄り。音使いは基本に忠実なハードハウスなのだが曲全体の展開が非常に面白い!それはブレイクの多さで、前半に一つ真ん中に大きいのが一つ終盤のアウトロの前に一つある。これは実際やってみるとわかるが継ぎが非常に楽なのに手軽にヤマを作れてしまう。前半のブレイクで楽に前の曲と継ぎメインのブレイクを展開、そして盛り上げたまま後半のドラムロールにあわせて次の曲のブレイク明けをかませば用意に持続させられる。盛り上げの使いやすさは群を抜いている。
 考えてみればArtemisはこの一枚で前半と中盤のヤマを作ってしまった。そのくせ全く違う展開を演出させるのに上手くいった。実に実践的な一枚だと実感させられた一枚だ。
Baddest Mutha


artist:LISA PIN-UP
label:Nukleuz



 今回からはArtemisで使ったものから更にピックアップして紹介させていただこう。今回は一曲目で使ったLISA PIN-UPのBaddest Muthaをご紹介。LISA PIN-UPはUKハードハウス最強の女性DJとして知られている。最近もMIXアルバムを発表しシーンをアツくしている。NukleuzにTIDY TRAXとメインのUKハードのレーベルではよく姿を見かけ、そのせいかよく中古屋でも見かけることが多く手に入りやすい。¥500以下なら買ってそん無しの即戦力のアーティストという認識を私はしている。ではMIXを見ていこう。
 まずはOriginal Mix。はっきりとしたキックと単純なクラップにラップが絡んだ所でベースが入る。ラップが絡みこそすれ単純でわかり易く入りやすい展開、前半に組み込み易い展開だ。ブレイクこそあれラップが絡むのであんまり気にせず使ってもそんなに違和感がない。後半ではパターンの違うラップも絡んでくるのでこの辺をどう料理するかで戦略も変わってくるだろう。次にINGO REMIX。こちらはハードさを前面に押し出しラップは少しなりを潜めている。代わりにラテン系の「フン!」の掛け声がキックと絡みテンションを増している。しかしそれらはあくまでブレイク空けの押しよせるハードな打ち込みの前哨戦に過ぎない。それほどまでに後半は破壊力があるのだ!ブッ飛ぶハイテンションサウンドはOriginal Mixをはるかに凌駕している!そのためハードパートのメインに持って来るのが最高の使い方。表裏をうまく使いこの一枚をどの曲と絡ませるかもテクニックの見せ所だ。
 ちなみにNukleuzはジャケの色でかなりの傾向がわかる。その辺も突き詰めていくと面白いだろう。
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