Ilice's Review (20)
Synthosaurus
artist:Paul Maddox feat. Niki Mak
label:TIDY TRAX
今回はPaul Maddox feat. Niki MakのSynthosaurusをご紹介。ケミブラの名曲のネタモノなのだがこの強烈なアレンジは脱帽!Vocal MixとMoment Of Madness Dubの二つのMIXが入ったシングルである。だが、Moment Of Madness DubはVocal Mixのヴォーカルを抜いただけなので同時に見ていこう。
TIDY TRAXの本家より登場したこちらは今までの観念から行くとハードトランスではなくハードハウス。しかしMIXCD「RESONATE3」「KEEP IT TIDY 4」に収録されてありその使いやすさは抜群だ。構成は単純なループサウンドを中心としたトラックでミニマル的な使い方。微妙にトーンをかえたりドラムのフィルを加えて強烈な浮揚感を出している。形で言えばもう大分前のサウンド構成なのだが音自体は新しいので全く違和感を感じない。そしてDUBの方はヴォーカルが入ってないためサンプリングを乗っけて新たに楽しむという可能性も残してある!それこそ昔のクラブサウンドはこういったREMIXの可能性を残した収録曲だったのは有名な話。正に原点回帰ともいえる珠玉の内容だ。今回はVocal Mixの試聴を作ったので参考にどうぞ。
Zero tolerance
artist:Bulletproof
label:Knuckleheadz
今回はBulletproofのZero toleranceをご紹介。NukleuzではなくKnuckleheadz。似てるつづりなので関連レーベルと思いきや、こちらは本拠地がUKらしいので違うと思う。私自身もなんとなくの妖しい香りで買ったのだが意外と面白かった。早速MIXを見ていこう。
まずはOriginal Mix。シンプルなベースラインのハードハウスでクセはほとんどない。クセがないハードハウスたるゆえんはブレイク開けに新しいフレーズがないところにある。つまり前半と後半が同じ音使いのためクセを感じないのだ。使い方としては前半や持続など裏方に徹した使い方がいいだろう。続いて、Defective Audio Mix。MIX名こそ違うが実がプロデューサーが同じなのでセルフミックスという事になる。展開はぶっちゃけOriginal Mixと同じ、但し音はハードトランスの音となっている。よってハードトランス側で裏方に徹した使い方が出来ることとなる。
どちらもこう書くと単純なつまらない曲に見えるが実際使い勝手は非常にいい!実際DJは好きな曲だけかけるわけにも行かない。うまく緩急をつけることを考えた時になって初めてこういった曲の良さがわかるだろう。
Radium
artist:Orifreke
label:Impact
今回はOrifrekeのRadiumをご紹介。Impactというありきたりのレーベル名だが活動自体は最近らしい。単純なジャケだが結構いろんな店で目にする(気がする…)。今回のMIXは二曲、早速見ていこう。
まずはLee Haslam's Tidy Two Remix。こちらもTidy Twoの名を冠したハードなMIXに仕上がっている。前半は練ったベースラインの厚みがどてっぱらに直撃!うまくイコライジングしないと音が割れる可能性もある。割と軽めのシンセ上物もあいまってとにかく目立つ。ブレイク明けではコテコテのアシッドフレーズが一気に場を盛り上げる。上物を抜かせばほとんどNu-NRGなのでそういう展開のつなぎ目にぴったりといえる。続いてOriginal Mix。オリジナルがB面に鎮座している。オープニングは妖しいボイスが笑えてそちらに意識をとられがち、しかし、出来は2000年前後のトランス的なのは面白い!ブレイクで壮大な曲展開で盛り上げるあの感じだ!その時の代表曲と比べると高音が薄く地味な感じもするが実際組み合わせると使いやすい!メインではなく脇役として使ってやると映える典型的な例と言える。
2003年はハードトランスでさえ翳りが見えたといわれる。実際の所メジャーレーベルのリリースがなかっただけで目立たなかっただけと年が明けてまことしやかにささやかれてきた。最近のリリースを見れば見るほど面白さ見えてきた。まずは音に幅が増えて更に細分化されてきた感がある。そのため使いでが拡がりハードトランスだけでも選曲できるようになってきた。逆にDJのテクニックも広げていかないと単調になりがちなので更なる精進が必要だろう。
Oblivion / Nu Generation
artist:Ingo Present Skin Thieves
label:Vacuum
今回はIngo Present Skin ThievesのOblivion / Nu Generationをご紹介。Ingoは無論TIDY TRAXでもトップDJとして知られているUKハード界の正にカリスマ、今回はそこを飛び出しての新しいプロジェクトでの登場ともあり、いやがおうにも期待が高まる。今回は二曲入りのEPとなっておりハードハウスとハードトランス一曲づつ入っているので場合によって使い分けたい。ではMIXを見ていこう。
まずはOblivion(Ingo & Colin Barratt's Infectious Dub)、長いMIX名のハードハウスだがここで重要なのはDUB MIXということ。フロアにおいてループベースのDUBミックスは非常に使い易い。インパクトのあるフレーズを生み出して繰り返せばよいという単純な生産性と弄り易さ、そしてACID系ループシーケンサと音ネタによってDUBはどのジャンルでも既にスタンダードとなっている。ただそこで終わらないのはさすがにINGO!前半はメインフレーズにシャープなパッドなど軟らかめの音を忍ばせ後半に行くに従いハードなエレビやフランジャーを忍ばせてどんどんハードに仕上げていくので全然飽きが来ずに最後まで平気で突っ走れる。実際ACIDもなかなかこうはうまく作れないのだ…。続いてNu Generation。こちらも開始はとにかく重いキックが目立つ。明らかにコンプレッサーで質感を増している。そしてベースもメロも強烈に派手、更にラップ系のフレーズも入ってきたところで少し毛色が違ってくる。少しテンポがずれつつしんみりとブレイク…あけると一気にシンセフレーズが押し寄せてピーク系のハードトランスが姿を現すのだ。ただ気をつけたいのは全体的にBPMがハードコアクラスに速め!そしてテンポがずれる所もあるので少し練習してから使うべきだろう。
今回はNu Generationの試聴を作ったので参考にどうぞ。
Gamemaster (Remix)
artist:Lost Tribe
label:Liquid Asset
今回のセクションではハードトランスを取り上げていこう。ハードトランスというジャンルが確立されたのは今年2003年と考えて良いだろう。ジャンルの意味合いとしてはハードハウスのベースラインにトランスの上物が乗った物と考えていい。エピックトランスよりシンプルだが重いベースライン。はっきり響かないしないベースラインはハードトランスに値しない!ハードハウス、ワープハウスのアップリフティングな音使いに比べて、哀愁色の強い泣きの音使いも使われることからハードハウス畑の人間は単純にプレイの幅が広がり一瞬にして浸透してしまった。これにより今までは少し難しかったハードハウス→ユーロトランスの構成にハードハウス→ハードトランス→ユーロトランスとメリハリがつくようになったのだ。ハードトランスが潤滑剤となりシーンはまた進化をしたと私は確信している!
そんな今回はLost TribeのGamemaster (Remix)。無論Matt Drey作同曲同名義のREMIXである。最初のリリースの時点でかのSIGNUMがMIXしており、今回も両面ともハードトランスのいいとこ取りで絶対に外せない一枚だ。ではMIXをみていこう。
まずはTee Digital Blonde Remix。ズンとくる四つ打ちにハードなベースライン、ぶっちゃけこの時点で文句なし!そしてシンセの上物が一気に盛り上げて来たところでブレイク、ブレイクのフレーズはスリリング且つハードに開けてくる。そして先ほどのシンセの上物と相まっての出来上がりは圧巻!是非ともピークに投入したいMIXだ。そしてLee Haslam's Tidy Two Remix。こちらは更にヤバイ!!MIX名にTidy Twoの名がある時点で見逃すことは出来ない。オープニングは今までのハードハウスやワープハウスと同じ展開、しかもハードなドラムロールもハードハウスの展開。だがそれなのに原曲のウォームパッドを乗せて合ってしまうしサンプリングもぴったり合っている!そして他の作られたフレーズとのミキシングはもはやハードトランスの神が降臨してるとしか思えない!特にブレイク明けの強烈な音作りには圧倒されるだろう。2003年の一曲に是非とも選びたいMIXだ。ただ圧倒されてしまうので次の曲どうしようか迷う所だ…次の人に代わるところでかけた日にはまず嫌われると思う。自己完結できるように組み合わせる曲には十分注意したい。
Tidy Twoの最近のコンピにも収録されているのでそちらもチェックしてみてはどうだろうか?
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