Ilice's Review (25)
Hard Core 2004
artist:DJ Ham
label:Next Generation
今回はDJ HamのHard Core 2004をご紹介。Next GenerationのMIX CD 「Collection
2」でも冒頭を飾ったので有名だ。まさに2004年はハードコアと言い切った珠玉のハッピーハードコア。こちらの盤は二曲入りのEPなのだがHard Core
2004のインパクトはメガトン級で、もう一方が今ひとつ目立たなくなってしまう…いいのかと思うのだが…しっかり見ていこう。
まずはHard Core 2004。正直冒頭の入りがゾクゾクしてくる。「1988、Acid House。1992、Brake Beat。1996、Dram'n
Base。2004、Hard Core。」と振り返りつつその一瞬でそのジャンルのフレーズが絡む!走馬灯のような感覚でいると一気に入るのはハードコアの重いリズム!!これはたまらない。曲自体はシンプルな上ものの連続シンコペーション。ここのところトランスコアが多かったので、シンプルでかえって新鮮だ。それでいて飛ぶような音などの遊びも忘れない。またBPMは160前後とハードコアの使用にしては少し遅い。ここはピッチ調整のテクなどが必須となるが、それさえクリアすればネタにも普通のプレイにもバランスよく使える。他ジャンルの畑の人でも持っていて損はない一枚だ。続いて裏面はYour
Ready。先ほど目立たないとはいったがクオリティが低いとはいってない。事実MIX CD Collection 2でも前半の盛り上がりの前に上手く配置している。そう、こちらは盛り上がりに持っていくタイプの曲。ハードコアは一度盛り上がるとブッ続けの場合もあるので、気を付けないと本当に緩急が付けづらい。そのため持ってくるには丁度良い。ワンフレーズの繰り返しなので面白みはないが揺り動かしには効く。
実際どちらも聞きやすいのでオススメ。試聴は公式サイトなどでも聞けるが今回はHard
Core 2004の冒頭だけ作ってみた。参考にどうぞ。
The Key The Secret 2005
artist:Urban Cookie Collective
label:Fever Pitch
今回はUrban Cookie CollectiveのThe Key The Secret 2005をご紹介。オリジナルは1993頃、何と10年以上も経っている。当時Urban
Cookie CollectiveはレーベルPULLSE 8においてエース!アルバムやリミックスアルバムも出している。日本でも深夜の番組「トゥナイト」のテーマ曲であった。この番組、たまにクラブシーンを紹介していたのでよく見ていた。エイベックスがメインスポンサーだったことから的をついた紹介が多く、DJ関係者もNTV系の「カウントダウングルーヴ」と共に注目したものだ。その後もGTSがこの番組のために曲を書き下ろしたりと今でも終わったのが少し惜しい。エイベックスのCMも今のようにJ-POPのCMなどはまずなく、洋楽のコンピのが多かった。しかもPVなども多用し注目できたCMだった。まぁ今は見る影もないのは誰もが知ることである。ではMIXを見ていこう。
まずはNorthstarz Club Mix。今回のプロデューサーをしているのがこちらのNorthstarz。当人とどういう関係があるかは正直わからないが、Urban
Cookie Collectiveのまとめ役Rohan Heathと同一人物かもしれない(あくまで憶測です)。元で使われているヴォーカルにメロから何からリメイクした感じ。元々も軽快なハンドバッグハウスで、シンセを絡ませそれを崩さないような軽快なエピックハウスになっている。実際の所は最近のカイリーミノーグみたいなスウェーデンダンスポップに近い。DDRに入るといいかもしれない気がする…。次にDJ
Puddy Remix。こちらは一番原曲に近い。特にオープニングは原曲そのままなので懐かしい。構成も原曲に近いが、ベースやシンコペーションが変えており後の年代の風潮になっている。目立つのはピアノブレイクビーツが中心で今聞くとちょっと古臭い。1995年ごろなら当時全盛のハンドバッグに合わせて一番使えたのではないだろうか?続いて、Lee
S Remix。感覚的にはこれが一番面白い。オープニングのフレーズを今の重い音にしてユーロトランス調の曲に仕上げている。全体にヴォーカルが散りばめてありブレイクとかを演出している。高音の領域は高いがそんなに盛り上がらないので持続やネタで使うといいと思う。やはりネタであることからTO○YO
R○VEに入りそうだ…。最後にCentral Seven Remix。ここまで来て毛色の違うダークなMIXが入っているのは必然か。オープニングはダークになり、メインのヴォーカルのほかに怪しげなサンプリングヴォイスも入って怪しく展開する。しかし、プログレ的であるがちょっとシンセパッドが綺麗過ぎだったり、ポップな上モノ入ったりでかなり使いづらい…。まぁネタで…。
エイベックスというとこの辺の勢いは正直凄かった。無論どんどん上がり詰め1995、1996辺りが絶頂だった。例を挙げると1993、1994の東京ドームレイヴ、1995の超大物を惜しげもなく呼んだヴェルファーレのイベント、1996のSEB70のプレゼントはアルファロメオスパイダー二台と凄すぎた…。私自身も大好きな日本のレーベルだったが1998のSEB80のプレゼントNSX
97の童夢チューンドカー(恐らく売価1400万…)を最後に勢いが消えた気がする。いっそレイブリックNSXもプレゼントに出すしかないのでは…?(一般人は操作不能)
FM (Feel'in Me)
artist:DJ Scot Project
label:overdose
今回はDJ Scot ProjectのFM (Feel'in Me)をご紹介。overdoseはDJ Scot Projectによるドイツのレーベル。2001当たりから店頭に並び、2004から目立ち始めた。ジャーマントランス中心でトランスファンだけでなくプログレよりにもユーズはある。カバー物からオリジナル、ネタ物まで個人的にもかなり注目しているレーベル。今回はDJ
Scot Project本人による物でサイバートランスのコンピにも入ったようだ。実はこれは通販で送料払うくらいならと…合計¥10000以上にした一枚。実際の所、試聴はしたのだがおいしいとこだけ入っており、聴いてみてびっくりした一枚。では早速見ていこう。
まずはFM1。結構なアゲ系トランスでこういう曲もレビューするのは久しぶりだ。序盤はプログレ的なおとなし目のベースラインがのんびり続く。そして入ってくる高音シンセリードと超ソウルフルなヴォーカルシャウトが目立つ。そして、いよいよメインフレーズに入っていくのだが正直カッコいい!!ブレイクはシャウトヴォーカルとも相まって音に浸れる一体感を存分に楽しめる!!…と、ここまではいいのだが、ブレイク明けが今ひとつ引っ張りすぎで上手くいかない。その後もパートが飛び道具してばかりでまとまりがない。そう試聴などそのいいところしか入ってない!!やはり店で試聴してれば買わなかったまでは行かなくとも即買いまでは行かないと思う。まぁその辺を編集すればピークタイム用として使えるMIXになりそうだ。時間も10分あるのでやれという事ではないだろうか?続いてFM2。こちらはプログレ調の音で幕が開ける。そして入ってくる上モノが超怪しい!!DTM経験者にはTB303のブヨブヨベースといえば解り易い。それがメイン!テクノ的で面白い。しかし、頭がテクノと切り替わった所その後のブレイクでは強烈なシンセが押し寄せてさっきのブヨブヨベースと絡み合う!これはアツイ!ダークに攻めるつもりが一気にユーロトランス全開になる。面白いがこのアクの強いベースをどう料理するか…アメリカンスポーツカーを操作するようなこの感覚は素人お断りの感じすらある。
余談だがこのレーベルを日本で初めて注目したのはかのグルービーだと先日聞いた。流石に先見の明がある。
Never Alone
artist:Rainbow 6
label:XTC
今回はRainbow 6のNever Aloneをご紹介。曲が違うのでEPと思いきや、上物がダブっている辺りMIXと取るのが正解か。レーベルはXTC。ディストリビューションが多いレーベルだが出所が毎回半端なく、当方もだいぶアナログを所有している。今回も元はBonzaiという辺り間違いない。特に最近は極上のユーロトランスが多く、過去何度かレビューしているのでわかるだろう。今回は表裏で随分様相が違う、その辺りを踏まえて見ていこう。
まずはNever Alone(Club Mix)。一言で言うとA STATE OF TRANCEばりの哀愁ユーロトランス。ベースラインやシンセパッドは少し派手。だが、注目はやはりシンプルながら絡み合うストリングスの上モノ。ブレイクでもそれは途切れず印象が強い。ブレイクっぽい感じがしないので、MIX中ブレイクはいれたくないけど長く取りたい…といったレジデントやゲストなどの欲求を満たしてくれそうだ。但し後半ドラムがずれるクラップがあり、そこで焦るとつなげないので良く聞いておきたい。まぁゲストに呼ばれてそんなミスは出来ないが…。続いて、Fatal
Mistake(Home Mix)。こちらは先ほどの上モノを使ってBPMを落としてディープハウス風のMIXにしている。大体140→120になっているのですぐに聞くと妙にスローモーに聞こえる。展開としては実にシンプルなのだが、いざ使えとなると使い方が全く見出せない。ディープハウスにしてはライト過ぎるし、トランスにはNever
Alone使ったほうが手っ取り早い。あくまでコンセプトとして捉えるのがいいだろう。
実はこれ中古屋で¥100で購入した…いいもの落としてくれる。
Legend / On A Mission
artist:Eamonn Fevah & Mercurial Virus
label:Fevah Records
今回はEamonn Fevah & Mercurial VirusのEP、Legend / On A Missionをご紹介。ポッと買った曲でUK産なのにドメインはUSというアバウトぶり…私も全く知らなかったのだが最近は日本でレーベルパーティーもやったらしく親日家らしい。早速曲の方を見ていこう。
まずはLegend。ハードトランスではあるがド派手ではなく、日本産トランスのように高音がうるさいわけでもない。ブレイクは前半にあり、後半はフレーズの繰り返しなので非常に組み込み易い曲だ。実際の所しっかりとしたドラムとうねるようなベースが絶妙で結構クセになる。アウトロもシンプルなのでしっかりつなぐのが重要だ。持続のために作られた曲といっても過言ではない。続いて、On
A Mission。こちらは正直某サイバー系ユーロトランス。そうは言ってもこの辺のサウンドも随分練られて来ている。ただアゲるだけではなくジリジリときたり、最初から飛ばしていくのもあり。むしろ現場のDJがイコライジングで調整するなどの繊細さが問われている感じがする。この曲もそれが見える。展開としてはブレイクから徐々に行く展開。しかし高音が少しウザいので高音下げてやるとキリッと締まる。痛めのアゲサウンドでも使い方を見出せるのは当然ベースラインがしっかりしているから。この辺にしっかりとした差異を感じられるだろう。DJ
Scot Projectとか好きならオススメしたい。
今回はLegendの試聴を作ったので参考にどうぞ。
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