Ilice's Album Review



 
beatmaniaIIDX visual works vol.2


 1   Daisuke / Y&Co.  
 2   GRADIUS -FULL SPEED- / Mr.T  
 3   Innocent Walls / TaQ  
 4   ACT / RAM  
 5   BAD BOY BASS!! (dj Remo-con MIX) / Y&Co.  
 6   e-motion 2003 -romantic extra- / e.o.s (remixed by dj TAKA)  
 7   LOVE SHINE / 小坂りゆ  
 8   moon_child / 少年ラジオ  
 9   PARANOIA survivor MAX / 290  
10   ライオン好き / AKIRA YAMAOKA  
11   Attitude / Y&Co.  
12   DANCER / DE VOL  
13   rainbow flyer / dj TAKA  
14   2002 / tiger YAMATO  
15   Last Message / good-cool feat. Meg  
16   Let the Snow Paint Me / Sana  
17   Marmalade Reverie / Orange Lounge  
18   Five Regrets / Osamu Kubota  
19   Frozen Ray (original mix) / dj TAKA  
20   G2 / Aya  
21   NEMESIS / D.J.SETUP  
22   outer wall / sampling masters MEGA  
23   Radical Faith / TaQ   
24   RIDE ON THE LIGHT (HI GREAT MIX) / Mr.T  
25   THE CUBE / DJ SUWAMI  
26   V / TAKA  
27   250bpm / AKIRA YAMAOKA  
28   B4U / NAOKI  
29   Clione / kors k  
30   Hitch Hiker2 / good-cool  
31   I'M FOR REAL / SLAKE feat. JP Miles 

Bonus Movies
32   era (nostalmix) / TaQ 
33   GRADIUSIC CYBER / TAKA

  何故だか最近妙に元気なbeatmaniaIIDX。そうはいってもアーケードはほぼ即死元気があるのはコナミスタイルだけの気がする。そんな中、満を持しての登場はbeatmaniaIIDX visual works vol.2。前回の第一弾をレビューしたら妙に反応良かった!ふと最近「Vol.2はやらないのか?買ってないのか?」の様な意見を頂いた。大丈夫、ちゃんと発売日に買ってます!今回は1を買った人のアンケートで作られたらしいが、当然私の意見は選外(ちなみにSpin The Disc)。一位は7番目の「LOVE SHINE」だったようだ。そうなると選曲の中に某雑誌の人気NO1、10thの「DOLL」が入ってないので3が出る可能性は非常に高い。今回も、解説や展開などにはDVDにライナーがあり、割と的を得た解説なので、参考にしつつ見ていこう。

 その前にまた少し講義を入れていこう。VJを含めた映像、ビジュアルのインパクトを突き詰めていくと二つのテーマが残る。それは「性」と「死」である。当然突き詰めなのでそこから派生される言葉もインパクトを得るはず。ただ、少しづつ言葉の意味合いが離れ行けば行くほどインパクトも薄くなる。それに余りにずばり行き過ぎてもそれはそれでつまらない。実際の話で言うと、あるパーティーでアダルトビデオをそのまま流した時より、そのアダルトビデオに原型を留めないほど大幅にモザイクかけたほうがクラウドの盛り上がりが激しかったという事実もある。他の例としては口紅なんかは男性器を模していることで有名だ。パッと見はわからないが、外皮を剥き中身がニョッキリ出て来る様や根元が太く本体のところで段になっている所など、言われてみれば「あぁ、なるほど!」といえるレベルだ。つまりはそこはかとなく感じるようにキーワードとして盛り込んでいくことが重要だ。また、「性」と「死」より呼び出されるキーワードとして「生」があるのも注目したい。これらのインパクトを盛り込むことにより映像は上手くクラウドの意図に潜り込むのだ。

 まずは1曲目Daisuke。横田商会作成のユーロビートで日本人が大好きなユーロビートの音をツボ良くついた楽曲。ちょっと前のRemixのJ-EUROに似た構成には、私のような上級ユーロファンやR3嬢のような哀愁ユーロファンにはニヤリとする展開。ムービー自体も青基調なことからかなりの哀愁サウンドでもある。踊り自体も面白く漢なダンサーメイン。イントロはカモメを中心としたパラパラだが曲中はフリースタイルダンスでかなりアツく、クラウドにこういう人いれば嬉しい。パラパラ一辺倒のユーロシーンに一石投じる面白いムービーだ。
 2曲目はGRADIUS -FULL SPEED-。私を含めグラディウスに虜になるプレイヤーは多い。おそらく、いや、どう考えてもライターがグラディウス好きで作ったのがミエミエの楽曲&ムービー。過去の絵だけでなく最近のCGムービーも入れて上手くまとめてある。そのおかげで2.3面などはマジ一瞬しかない。その分尺が長いのが名曲1面、4面、7面などがそう。グラディウスマニアほど突っ込みたい映像もあるのも狙いか?例えばビックバイパーの噴射口がシングルバーナーとかミサイルが四連装とか1の機体じゃねぇな…とか、最後で天井ぶつかって死ぬなよとか、バブルシステム起動まであるならモーニングミュージックまで入れろとか…まぁこれは二次基盤にはないのでいいかとか…実際の所趣味の世界が多い。
 3曲目はInnocent Walls。硬派なビッグビート的テクノでおそらく本人の映像とおそらく使われたライブの映像のオーバーラップで上手く作ってある。それを銃創みたいな「死」を匂わす背景とかっこよく出て来るフォントと、一見問題ないように出来ていていまいち残らない。それはVJとしての最高の技術「BPMシンク」がなされていないのである。「BPMシンク」はもちろん映像と素材をBPMでタイミング良く合わせる技術。コレが合ってたり合わなかったりでバラバラなので結局残らないのだ。もう少し上手くやって欲しい。

 4曲目はACT。曲自体は「LAB」と変わらないワンパターン。その後も「LOW」も「HIGH」も変わらないのであくびが出る。ただ映像自体は良く出来ている。躍動的なピンクをモチーフにしたキャラクター「アクティー」がぴったりしたBPMシンクが面白い。このキャラクター自体猫をイメージしているのだが、途中猫が飛び出してじゃれるシーンが交尾に見え一気にこのキャラクターに性的イメージがこびりつくのもプロの仕事。後半のシーンなどはそのイメージがあるためダッチドールとして取ってしまうクラウドもいるだろう。快速などの感じも絶妙!アクティーが東海道線快速の名前ともかけているとしたら、正に合わせて一本ともいえるムービーだ。
 5曲目はBAD BOY BASS!! (dj Remo-con MIX)。曲は遂に出た!のTIDYを意識した本場系ハードNRG。かのSuch A Good Feelingを崇拝する氏らしい曲だ。ただどうも某素材集から使っただけのような気がしてならない。ムービーも本場的にロゴマークの連発と締めでそれを模したキャラが踊るという…初見的には良いようだが実際はTIDYのパーティー映像のパクリ感が否めない。TIDYでもTIDYさんマークが激しく変形&回転したり最後は首が飛んだり更には生TIDYさん出てくるのでアレ見ると迫力に欠ける。
 6曲目はe-motion 2003 -romantic extra-。花を咲かす映像は「生」を感じる直接的なものとして昔からよく使われる。それはいいのだが、導入がしょぼく「e」の素材や海の素材も安っぽい。コレではせっかくの開花の映像も死んでいる。それを更に二回繰り返すだけなので最後は普通にあくびがでた。音もしょぼく、3時ごろ眠るには一番だ。
 7曲目はLOVE SHINE。始めに言っておくが、支持一位も納得の傑作だ。正直、曲も映像も全く悪い所が見当たらなくしっかりまとまっている。日本語詞はホント好きではないのだがそれを感じさせないくらいに上手いつくりだ。「小坂りゆ」自体声が甲高く歌も上手いとはいえないのにうまい作りにするのはNAOKIの手腕だろう。彼の手腕により納得の楽曲に仕上げているのだが、小坂りゆはスピーディーな曲じゃないと実は弱い!!コレを始め、「Candy」、「ヒマワリ」、「glacial」などはいいのだが、「true...」「Remember you...」などはしょぼくて泣けてくる…。映像も完璧な歌詞シンクロとBPMシンク。ノー天気に明るく進む展開の中にちりばめられた、エッチさや痛さなど見ていて飽きない。最近の下手なアニメのオープニングよりはるかに良く出来ている。やっぱり、見て損はない!
 8曲目はmoon_child。murmur twinsと同じスタッフなので期待したが正直がっかり。実は月というのは昔から難しい素材として有名だ。月とは狂気的なイメージと共にアルテミスから来るように純潔的なイメージを持ち合わせている。それだけに不気味で笑うキャラクターやノイズ的なフィルターはいいし、飛び散る球体も精子や卵子を想像してよいのだが…終盤の花のモザイクが妙に原色で途中なのに一気に現実に戻され興ざめだ。これがなければまた面白かった。ちなみに曲自体は最悪なのはおなじ。
 9曲目はPARANOIA survivor MAX。ムービー自体はDDREXTのリメイクで無理に尺を合わせた感じがありBPMシンクはほとんど適当。元々はTrip Machine survivorでの映像がしっくり来るようになっているのでやっつけ感すらある。DDRの筐体組みあがるのも本家の方が堂々としてカッコいい。そして曲自体もPARANOIA survivorの方が完成度は数倍もいいのでこっちでやればもう少ししっくりしたはずだ。
 10曲目はライオン好き。個人的に今回一押し。ただただ笑えるからなのだが、謎のライオンが車で走るしか能のないCG女をレポーターやキャスターに使い仕切ってる。更にトランが自分のシリーズでの青いトランを干物でたじろかすなど意味不明で面白い。と、思いきや他の某アホムービーでは干物でトランが釣られるなど度肝を抜く展開があるのだ。上手くシンクロさせた展開は探ると面白い小ねた好きな日本人のツボにはまっていると思う。

 11曲目はAttitude。サイバートランスな曲といえばそれまで、CGロボットといえばサイバートランスでも使われているのでやっぱりサイバートランス。覚醒をテーマに光線をかわし進むが私には目標もなく錯綜しているようにしか見えない。いずれにしても評価するには難しい。
 12曲目はDANCER。NU SKOOLというよりGOTHC的だ…私はそう感じた。実際始めてみた人にはショッキングな映像だと思うが、実は下北沢のアンダーグラウンドなライブハウスなどでは日常的に行われている。結構そういうの慣れている人にはポイントを上手く抑えた映像なので笑いが取れていい!実際はシンセがピアニカだったり、ゴーギングの女性が怪しげな人形持ってるくせにギターとドラムが普通にマジメだったりと…実際こんなの見に行ったら親が泣くのでやめておこう。
 13曲目はrainbow flyer。これまたヒドイ!!フライヤーというクラバーにとって特別な意味を持つ言葉を使ったからには納得のいく物を作らないといけない命題があるはずだ。そのくせ展開がまばらな楽曲に合わせてうわべのメロディーに合わせての静止画の切り替えと本当に酷い。後半はいる光の素材などは単なる蛇足。いいところ見つけようとしたが全くない。評価に値しない。

 14曲目は2002。Y31のムービーも凄かったが、こちらはそれを更にブランシュアップして、2002年のカレンダーをモチーフに一年を展開させる恐ろしいスケール。デステクノに近いレイヴサウンドの重い音と共に時間のように流れる映像の羅列、良く見ると前半はカレンダーとその月に代表されるような手紙の枕詞(立春とは名ばかりの寒い日が続いております。等)それらがサブリミナル的に襲い掛かると思えばキャラクターのカットインなどマジで飽きない。ピストルなどのちょっと危ない映像も絡めており、素材としても完成度としても完璧
 15曲目はLast Message。先ほどの一曲目Daisukeのダンサーが振り付けを担当した楽曲で至高の完成度を誇るユーロビート。パラパラに対応できるスピーディーな展開と打ち込みシンセ、本場のユーロを知り尽くした人でもニヤリとできる展開は脱帽だ。映像はどう考えてもオフィシャルはいっているパラパラと語りかけるようなプロモビデオの二面構成。結構美人なお姉さんで見とれるプレイヤーもいたとかいないとか…ちなみに初めて見たときの私とR3嬢の会話…私「胸でかくない?」 R3嬢「つめてるだけだって」……女性の目は手ごわい…。ちなみに私が7thで一番好きな楽曲。
 16曲目はLet the Snow Paint Me。やはり本人出演でモノトーンを基調として雪をメインとした泣きのナンバー。展開も雪の降り始めから日暮れ、白新雪景色と展開もみごとオーラスは雪を見上げる展開が美しい。…ちなみに初めて見たときの私とR3嬢の会話…私「黒い服似合うよね〜」 R3嬢「美人は何着ても似合うから」……女性の目はやっぱり手ごわい…。ちなみにR3嬢かなり好きな曲です。
 17曲目はMarmalade Reverie。YEYEというよりは普通にボサノヴァ&フレンチポップ。毎回同じ系統の曲なので結構ファンは多いらしい。トランク一杯の現金でママレードを買い妙にもてあますという、どことなくシュールな構図。それに加えて実写でケーキのムービーやフォントでストーリーを作るなど結構練られている。Mobo★Mogaやmurmur twinsなどと比べていきたい映像だ。

 18曲目はFive Regrets。オルガンとピアノが醸し出すアルゼンチンタンゴ。タンゴといえば情熱というくらい。社交ダンスの世界では有名である。抽象的な紅い帯がリズムに合わせて動き回る…やはり社交ダンスのタンゴの衣装でよく見られる紅い衣装を思い出させる。実際的に見るとフォントもなければモチーフもほぼないのでムービーとしてみると難しい。素材としての持ち味はあるだけに残念だ。
 19曲目はFrozen Ray (original mix)。青いキューブに重なるのは三つの光と閃光。タイトルそのままのイメージを持ちえたムービーである。閃光のエクスプレッションのタイミングはちゃんとシンクロしているので見ていて気持ちいい随所に機械的なイメージもあるかと思えば雲も垣間見えたりとかなり良い!ただ、最後のシーンで地球を背にタイトルが出た後に場継ぎのように加えられたデススターみたいな映像は正直蛇足。このせいでムービーの完成度は落ちる。
 20曲目はG2。いうなればハードサイケデリックドラムンベースコア(今命名)!強烈な疾走間がアツいトラックでファンは多いはず。しかし映像が凄い!マスコット的に扱われたトランが実際の施設にて妖しげな活動をする。それを防犯カメラ的にノイズが掛かった映像で見せる。しかもこのノイズがパーカッションのタイミングで入っている。途中映像をまき戻す時はまき戻しのようなリバースシンバルと共に抉るようなエクスプレッションにサブリミナルに入る「G2」のロゴ。そして後ろに見つめられたままノイズと共に終わるシーンと飽きさせない。ダークやりたい人のお手本だろう。
 21曲目はNEMESIS。テクノとはデジタルサウンドである。そのためサイバーに目まぐるしく展開するVJワークは王道中の王道。こちらもその感じで進んでいく。変幻自在のロゴとマトリクス的に数字で構築される世界。そして一瞬カットインされるシリーズのキャラクターやロゴ、全ては問題ないはずだった…。一気に興ざめするのは特徴とも言えるブレイク。無音になるのだがしっかり「無」と書体がでる、おかげでえらくこの字が有機的に見えてしまう。その後の音と映像も振り出しに戻るだけでつまらない…これならいっそ有機的な展開で前半構築した世界を見せてくれればいいのだがそのフォローもない。lower worldとともにブレイク明けが甘い
 22曲目はouter wall。ゲームミュージックのようなテクノに合わせて画像もワイヤーフレームで戦場が描かれている。タイミングよく出るロゴなど絶妙で息抜きしつつ見られる映像は面白い。ゲームで言うとサイバースレッドによく似ている。最後の敵らしき塔もスターブレードっぽい…ナ○コか!?
 23曲目はRadical Faith。ロック色の強いビッグビートでビッグビートといえばおなじみの特殊急襲部隊がテロリストを追い詰めるスリリングな映像。今度はそのところに青い背景でTaQ本人が出演している。全く関係ない映像なのだがスリリングなモノクロに対してゆっくりした青い映像が絶妙のカットインとなり間合いを演出する。そうかと思えばモノクロシーンに赤いレーザーサイトが目立ったりと最後まで予断を許さない。ちなみにロゴは本人の手に描いてあるようだ…わかるかよ!その辺含めて実写の傑作。
 24曲目はRIDE ON THE LIGHT (HI GREAT MIX)。どことなくザ○のカッパがどことなくペガサス式強襲揚陸艦のカタパルトを持つおまるから出撃して戦う(というよりじゃれあう)ムービー。実際の所アニメのオープニングみたいな感じで、最後の「6:31」が笑わせる。ただこの時刻の出方はTBSなので本当は右下に出るはず…もともとキーボードマニアの映像の尺を伸ばしただけなのでLOVE SHINEよりは衝撃は薄かった。
 25曲目はTHE CUBE。シックなジャズドラムンベースでなのとおり立方体を使ったムービーが痺れる!見るべきは特に前半!音のタイミングと共に打ち出される点が線に、線が面に、面が窓になる展開はアイデアと手法の勝利。ただメインのジャングルジムのようなシーンは素材的すぎてちょっと残念。導入がかっこよかっただけに残念だ。
 26曲目はV。もはやIIDXを代表する曲となったVはヴィヴァルディの冬をモチーフにしているのは周知の事実。ただ冬だけありやっぱり雪というのがお約束。お約束ながら上手い展開だ。旋律にあわせ降りしきる雪とゲームのノートに合わせて光るバック、初心者には叩くことさえ不能な階段フレーズでは螺旋階段とネタ的なところもある。イベントにおいてネタの挿入は重要だ。その辺はきっちり押えてある。

 27曲目は250bpm。完成度的にはイマイチなガバ。だがムービーはサイケデリックのお手本といえるヤバゲな展開。緑と紫を絡めた超高速のリズムで揺さぶる展開は本気で使える。それでも曲のショボさを埋めることが出来なかった。やはり曲あってのVJである。
 28曲目はB4U。DDRのリスナー支持第一位のこの曲は未だに狂ったようにやる人いるほど難度と勢いがある。なお、今回はリファインされたバージョンのムービーが収録されている。限界バトルであんなにハンドル切ったら即クラッシュなど、やはりDrivin'と同じで車の挙動がおかしい。そのくせエンジンのCGとかはやたら硬派なので意図がイマイチわからない。また、途中で挿入される歌詞のカットインなどは秀逸だ。タイミング共に最高なのでコレは確かにのれるはずだ。
 29曲目はClione。当時話題になったダッチトランス。 Clioneだけあり当然海をイメージしている。波とのシンクロなどが心地よく、なんとなくクリオネをイメージさせる映像も上手い。R3嬢がよく使う雲に浮く文字など王道的な見せ方も嬉しい。ただ神殿っぽいムービーと海岸線のCG二つが個人的にしっくりこなかった。曲としては微妙だが映像は及第点といった所か。
 30曲目はHitch Hiker2。2と銘打っているとうり初代は2nd Styleに入っている曲の続編。キャッチーな映像と無秩序に流れるエフェクトとキャラクターは初代から受け継がれている物も多く、続編性を感じさせる。この辺は知ってる人は知ってるはず。マニアをニヤリとさせることも当然求められる命題である。見比べてみるとわかるが2の方が更に世界が広がり最後は地球で終わるというスケールもアツイ!!Hitch HikerはLong Drive Mixというのが正式にある。つなげてあるだけなのだがその完成度は凄い!いっそそれで映像も作って欲しい所だ。
 31曲目はI'M FOR REAL。IIDXの中でも群を抜くアダルティーな一曲。映像も緑を基調とした映像で感情的な曲を上手く演出している。素材のBPMシンクと歌詞のフォント入れが絶妙で見ていて楽しくなってくる。車曲では納得行かない女性CGもプラスチックなイメージの展開だと不思議と合う。完成された作品だ。

 さて最後にBonus Moviesの解説もして行こう。
 まずはera (nostalmix)。素材としては当時の物でフレームレートがイマイチ粗い。それでも青を基調としたムービーと音のジングルにシンクロしたエフェクトは未だ流石の完成度。ボタンを叩く、音がシンクロするという一体感を表した名曲&名映像だろう。
 そしてGRADIUSIC CYBER。実はGRADIUS DELAX PACKの映像そのまんまで展開にあわせてエフェクトを入れたという曲だったりする。良く見ると大体においてグラディウスIIのシーンでわかり易い物だと、人工太陽や最後に一瞬見えるゴーファーなど。機会があれば家庭用グラディウスの映像は見てみると面白い。特にIII&IVのムービーは究極且つ至高の完成度なのでチェックしてはいかがだろうか?
 さて長々と見てきたが個人的なベスト3を。。
 1   2002
 2   G2、Hitch Hiker2
 3   LOVE SHINE
次点 Last Message、Daisuke
 と、いったところか?まず2002は正直完璧!この曲以外でも2002年のニューイヤーパーティーとかに放り込んでも使える凄さ。無機質ながらストーリー性があり、全シーン止めて見たくなる子ネタも満載だ。G2は曲のサブリミナルとシンクロ感覚を買った。生きたVJテクっぽいのもポイントだ。Hitch Hiker2は世界の広がりの凄さで。このシリーズ続編曲も大分あるのにイマイチこれを超えた完成度がないのも要因か。LOVE SHINEはしっかり作りこまれてはいるが、やっぱりこの曲でこそコレと固定されている感が否めない。例えば同人の「Candy」などで同じ方すればシリーズとして成り立つのでやって欲しい所。次点の二曲はユーロビートの見せ方を買って。実際ユーロのパーティーはパラパラオンリーで鬼面党が命がけで踊っている近寄りがたいもの。これらの映像は基本のパラパラと後は割かし自由に踊ったり見せたりしている。DJとして、ユーロビートはやっぱりこういう風に楽しんで欲しいのを実現してくれた感じが嬉しく次点ではあるが挙げた。
 やっぱり第三弾もでたらやらないとまずいのでしょうか…。




 
beatmaniaIIDX visual works vol.1


 1   Abyss -The Heavens Remix- / dj TAKA >>> remixed by Ryu☆ 
 2   BRIGHTNESS DARKNESS / SPARKER 
 3   lower world / D.J.SETUP 
 4   Silvia Drive / dj TAKA feat.Noria 
 5   airflow / Mr.T 
 6   Drivin' / NAOKI feat.Paula Terry 
 7   FUNKY BINGO PARADISE / SAWASAKI YOSHIHIRO 
 8   LAB / RAM 
 9   murmur twins / yu_tokiwa.djw 
10   MUSIC TO YOUR HEAD / SLAKE 
11   PLEASE DON'T GO / ASLETICS 
12   Burning Heat! (Full Option Mix) / Mr.T with Motoaki.F 
13   Spooky / good-cool 
14   stoic / TaQ 
15   Tomorrow Perfume / dj TAKA 
16   Blueberry Stream / dj TAKA 
17   Colors (radio edit)/ dj TAKA 
18   Linus / LEGO STUDIO 
19   rottel-da-sun / sampling masters MEGA 
20   VJ ARMY / good-cool 
21   Y31 / tiger YAMATO 
22   Mobo★Moga / Orange Lounge 
23   sometime / Aya 
24   sync / OutPhase 
25   ABSOLUTE / dj TAKA 
26   DXY! / TaQ 
27   starmine / Ryu 
28   SWEET LAB / DJ SIMON 
29   Presto / Osamu Kubota 
30   Schlagwerk / TaQ 


 コアな方には「アルバムの癖にゲームばっかじゃねーか!」と突っ込みがきそうだが何故か上げるとメールで感想言ってくださる方がいる密かなシリーズ・・・。前回一度頂いたのは「是非IIDXを!」と頂いた。しかし最近の曲は正直クオリティが低く思いいれも全く見当たらないのでやらなかった。今回そんな私でもレビューしたい素材が出てきたのでご紹介しよう。beatmaniaIIDX visual works vol.1と銘打たれたこちらはアルバムというよりDVDの映像クリップ集となっている。私も映像制作に関しては素人である。しかし私のDJしていた末期にはVJが既に地位を確立しており、クラウドは踊る間にスクリーンに釘付けになることで視覚、聴覚をトリップさせるというクラブの最新スタイルが世界中に浸透していた。そのため、DJは「こんな感じで選曲するからそちらはどうしたい?」とVJとの打ち合わせが必須であった。VJとしてはDJの好きな曲などを把握してオリジナルの映像を用意する、逆にDJはVJのメインで行く映像を把握して即興でMIXに組み込むという、二人三脚のような協調性を要求されるのだ。当然映像とMIXが合わずしょっぱい事になることもあれば、逆に上手くいくこともある。またしょぼいMIXを映像がカバーすることもあれば、その逆もある。どちらもいい素材ではないのにあわせて使うと一気にフロアが広がると相乗効果は上げればキリがない。そんな時代に登場したのは初代「beatmania」。プレイに直接必要なのは画面端だけで真ん中には映像があり、鳴らす音とリンクしていた。その後の「beatmaniaIIDX」ではハードの進化により高度な映像を取り入れ明らかに視覚へ確実に訴えてくるスタンスとなった。後ろで見ている人はプレイヤーのプレイする音と真ん中の映像を見るという、「ギャラリー=クラウド」とリンクしたのか?世の中のゲーセンにはDJの感覚を知ってしまった人が現れたのは納得がいく。今回のこちらはそんな収録曲のうち30の映像と曲を高品質で収めてある。画像自体はクリアで音も48KHzと確かにゲームやサントラCDより上なので非常に楽しめる。今回解説や展開などにはDVDにライナーがあり実に的を得た解説なので、参考にしつつ見ていこう。

 まず見ていく前にVJの基本を少し講義させて頂こう。VJ世界では基本となるモチーフを元に構成していくことが多い。何種類かというこの辺は異論があるところなのだが、我々日本人が身近かつ理解がしやすいのは「喜・怒・哀・楽」の四種類にカテゴライズする方法だ。喜のイメージを持つ色は緑、感謝や愛情がメインテーマで適応するジャンルはソウルやボサノヴァ、ハウスなど。怒の持つイメージを持つ色は赤、躍動や攻撃がメインテーマで適応するジャンルはロックやテクノなど。哀のイメージを持つ色は青、哀愁や静粛がメインテーマで適応するジャンルはトランスやユーロなど。楽のイメージを持つ色は黄、愉快さや友情がメインテーマで適応するジャンルはレゲェやヒップホップなど。特に喜と楽は親和性があり一緒に捉えるVJも多いだろう。テーマを三つと捉えれば「R・G・B」の光の三原色となり都合もいいのである。この辺の基本テーマを持ちつつ自分なりに組み合わせて色を出していくのだ。ちなみに色とジャンルを当てはめると自分の好きな色で好きなジャンルが判ってくる。私もR3嬢も青が好きなので何気に納得してたりする。

 まずは一曲目Abyss -The Heavens Remix-。5thのAbyssを最近出てきたトランスコアのREMIXに仕上げてある。元の映像を巧みに使いつつ青いグラデーションのスピード感あふれる映像が特徴、原曲の雰囲気から脱却したパートでは白を基調に矢印で方向を表すという古典的展開も光る。ただ私的にはAbyssのリアリーソング名曲「.59」を脱却するには至らないのが残念だ。
 2曲目BRIGHTNESS DARKNESS。タイトル通りといってしまえばそれまでだが光と闇を基調にした映像。そして原色を巧みに取り入れることによって深い森のような怪しさを上手く出している。音自体もバロック的な音使いと共に上手くマッチしている。しかしながら中盤のドラムロールが少しウザくホーン音をかき消しそれと共に映像が少し合わなくなるのが残念だ。
 3曲目はlower world。首都高羽田線のような長く赤いトンネルをバイクの男がかけ抜ける。攻撃的なフレーズと共に前半はとにかくカッコいい!しかし問題は男が煙草に火を付け一服するとバイオリンの音と共に空に身を委ね、周りはバラに花と…前半の硬派さがどっかに行ってしまい非常に後味が悪い。ブレイクの演出がこうまで下手なら入れないほうがいいだろうという、正直蛇足。
 4曲目はSilvia Drive。アーティストのプロモーションビデオにアプローチは似ている。ハンドバッグ持った白石紀亜がノリよく語りかける様に歌うというもの、カメラワークはほぼ固定で緑と白の背景が落ち着いて見せてくれる。光源のとり方が絶妙で、少し太めの彼女の影の動きがかわいく見える。だが正直djTAKAの作風と彼女のヴォーカルは相性悪い気がする…「LoveLoveシュガー」「Grorius Day」となんかはずし気味なので今回少し上手く見せられたのは良しとすべきか。

 5曲目はairflow。3Dモデリング化したアニメ系の女の子が空を飛び町を飛び回る。ふとセピア調の絵になりそちらが現実、先ほどのは空想だったと展開を納得させる出来は非常に面白い。そしてオレンジの夕暮れと共にもう一度夢の世界に…今度は夕暮れの海を飛ぶのだが…どうも海というより荒野に見える…そう、全体的に画像があいまいな所があり非常に惜しい。
 6曲目はDrivin'。既に定番と化したユーロ=レースシーンはここでも使われている。しかもこのCGムービーシリーズで一番の人気だそうだが…正直言ってショボイ…。今回高画質で粗さが目立ってしまった。まずは全体的に陰影がないため人形でしかない、次に車の映りこみ、他のレースゲームを見た後だと車体の環境マッピングやテカリがないのでやはり見劣りする。ユーロのパーティーではグランツーリスモやリッジレーサーなどのリプレイを入れたりすることもあるのでこの程度では使えないのだ。音もこの辺まで来ると正直マンネリ感が否めず進化が見えない。
 7曲目はFUNKY BINGO PARADISE。ビンゴだけありビンゴをモチーフにオヤジがタイミングよく落ちる様はシュールに笑いを誘う。最後に上手くオヤジが引っかかり事なきを得るという落ちも見事だ。音もディスコテイストのエレクトロサウンドが上手い具合に古臭さをだし、それと映像が上手くマッチした良作。
 8曲目はLAB。マッチ棒人間を使った映像でVJの世界では「パペット」と呼ばれる基本素材だ。全体的に黒、赤、白の配色でうまく作ってある。だが展開を見ると決して及第点とはいえない。パッと見だけで面白いため、この手法は上手くブラックな映像を入れないと笑いが後に残らない。前半は非常にテンション高く、非常口の絵をパクるなど文句はない。だがブレイク的な中盤、音も映像も一気につまらなくなってしまう。ブレイクでパペットがヒドイ目にあうのは常套手段且つ基本!首が飛んだり爆破されたりと、不思議でコミカル且つ笑いを誘えるのだ。今回のこれは機械を音に合わせて動かすだけ…いまいちだ。仮に機械に潰されたりしたら面白かったと思う。おかげで後半はテンション戻ってもどうしても抜け切れず終わり、どうにも歯がゆい。
 9曲目はmurmur twins。IIDXにおいて常に人気の上位にある高速ラウンジポップというジャンル。私は全然好きではないのだが映像とのマッチングには驚かされる。前半は緑と黄を中心としたパステル調の色の絵、それが歌詞とシンクロした文字が書かれる事により、言霊を得たかのように生き生きと展開する。中盤以降はデジタル写真に歌詞とシンクロさせフォントを入れてくことで前半とはまた違った魅力を出している。実に完成度の高い作品だ!
 10曲目はMUSIC TO YOUR HEAD。これぞテクノという音に赤と白をメインにした無機質な映像が展開される。そして上手く雲の映像と絡み、後半は青の映像も加わり見ていて飽きない。10曲目に来て実際素材として使えそうなものが来た感じだ。でも、もしかするとどっかの素材かもしれない?
 11曲目はPLEASE DON'T GO。コミカルなDJロボがフロアを演出する映像。ポイントはスクラッチにあわせて上手い具合にオーバーレイやロボのアクションが入り絶妙な間を作る。だが特筆すべきは普段のロボの胡散臭さ!挙動のおかしいタンテと動かないイコライザ、極め付きは後半ロボ寝てるし!後半に行くほどダレて締めだけ締めるという某DJによく似ているようでついつい笑ってしまった!

 12曲目はBurning Heat! (Full Option Mix)。元ネタはグラディウスIIの一面の曲で映像もそれにオーバーラップした物が使われている。CGを使って同ゲームを蘇らせたりするなど当時を知る人はついついニヤリとしてしまう。さらにグラディウスIの映像も一部使われており、CGムービーの一部が少し古いのも見受けられることから実際の素材はPS版かサターン版のデラックスパックではないだろうか?最近ではゲーム画面を素材に使うVJもいるのでそんなに違和感がない。モチーフのシンクロから予想は出来るが、これが一番あってると評するとするほかない。関係ないがFull Optionにするとオプションハンター飛んでくるのでオプションは三つまでにしよう。
 13曲目はSpooky。オカルテッィクにディフォルメされたコンポーザー達がいかにもな城を蹂躙するという寸劇仕立ての出来。オカルトはミュージッククリップとしてはよく使われる、その点の着目は見事。昔も某アニメでも使われていたが怖いとされるモンスターがコミカルに動くというギャップが妙に受けた。今回高画質で気がついたのはCGの城が少し安っぽく感じた。悪い意味でなくチープに見せることによりアニメが浮き立つという手法をうまく使ったと思う。HARD HOUSEとしては使い勝手は微妙だが単体としては出来がいいことになる。
 14曲目はstoic。VJとしてありえない1カメ1カットで作務衣を着込んで座禅を組んでTaQがパフォーマンスしている。さすがに私も初めて見たときは度肝を抜いた。無機質な音で有機的に動くTaQ、合わないようで合っている。だが、考えてみるとDJのパフォーマンスでよく見るのは音にあわせてクラウドをあおったりドラムループでかき鳴らす振りをやる人も多い(ジョンロビなどは顕著)。そういった意味でもコンポーザー自身が「こう楽しんで欲しい」としっかり見せたのもマジで面白い!しかし、その横で見よう見まねで踊るトランが面白いようで蛇足!結局はつい両方に目が行ってしまいいまいちピントが定まらないのだ。TaQが熱中して気づかないのか、全く絡みないのならいらないだろう。もし、熱中するあまり手が被る時にトランが吹っ飛ぶなどのリアクションがあったのならもっと面白いと思う。
 15曲目はTomorrow Perfume。派手な光が交差して空間を演出する映像なのだが…正直言ってヒドイ!!まずは曲自体がTRANCEのような展開がなく、ブレイク空けの音がブレイク前に使われているので落ちがない。それにあわせて映像も目を引く物がなく光るスクリーンセイバーにしか思えない。ずばりオーバーレイの素材にしか使えない。DVDの解説でさえ簡素なのでなぜわざわざ入れたのかもわからない。

 16曲目はBlueberry Stream。まず面白いのはこの曲だけで架空の航空会社を作り上げ、社のPRビデオのような手法で作ってあるのに驚かされる。音は元々アンビエントの曲をピアノでアレンジしており非常に爽やかで全体の青とあいまり非常に爽快。特に後半サビ前のスーッと抜ける部分ではちょうど旅客機が離陸する所で、映像と合わせ浮揚感を演出する。後半は実際の映像と上手く折り重なりその辺も文句ないだけでなく、「Summer Vacation」という曲の映像に繋がる所も心憎い。
 17曲目はColors (radio edit)。曲自体はユーロなんだかトランスなんだか良くわからないし、歌とピアノどっちを引き立てたいのかも微妙、曲自体も二分でまとまらず尻きれトンボとどうにもほめられない出来なのだが…映像はよくココまで魅力を引き出した!と関心を通り越して感動してしまう。まず上手いのが導入部、シネスクリーンの映像を歌の始まりと共にフルスクリーンにすることで開放感を一気に演出する。そんなで始まるイントロにもIIDXのロゴをあしらうことによりクラウドの高揚効果を掴む。そして色のテーマと共に目まぐるしくステージは変わる。見せ付けられた色の後に飛んでいく鳥に視線は釘づけになる。後半歌詞と共に場面は変わるが、ここぞという所は歌詞にこだわらず見せ場は映像だけの展開で見せる!この辺に作り手の自身が感じられる。まさしく映像の良作
 18曲目はLinus。曲は先ほどのmurmur twinsと同じような感じだが映像のアプローチは違う。ポップな色彩やスタイルはそうだが、3DCGオンリーのあくまで無機質ななかに遊びを求め展開して行ってる。でも、全体に行進しているようにバウンドしているので少し気持ち悪くなりそうなのでVJとして使われることはまずないと思う。murmur twinsと好みが別れるのではないだろうか?
 19曲目はrottel-da-sun。私が最も気に入っている映像はやっぱりコレ。スタッフ総出でおバカ映像をてんこ盛りにしている。全体的に黄色いトーンの映像のテーマは肩の力を抜いて「楽」を感じるのに正しい。VJとしても笑いを取りに行くのはやはり大事だ。元々クラブは楽しみに行く所なのでまじめな映像だけでは疲れてしまう。カッコいい映像、スリリングな映像の中に適度な笑いを与えるのは何気に難しい。IIDXの凝り固まった映像イメージをぶち壊したある意味問題作、もとい意欲作といえる。ちなみに続編のrottel-da-moonはメディアが違うので映像無いがrottel-da-marcuryでは再びバカ満載だった。
 20曲目はVJ ARMY。四名のデザイナーが映像先行で持ち寄り、そこから曲を作るという震えの来る傑作。絵自体も「黄→青→赤→緑」というように喜怒哀楽が逆で表現されている。まずはテクノ調の曲でテレビに似たキャラクターが宇宙を眺める、次にトランス調の曲でサイバーなパーツの展開、そしてドラムンベース調の曲でサイバーなキャラクターがスリリングに狙う展開…と、ココまでは文句つけようなくどんどん上ってくるようなテンションにアツク慣れるのだが、最後は違う!最後は2ステップ調でCGの女子高生が雨の街を歩くシーン…正直言ってあまりにあってない。曲の整合性もなければ絵のテーマ性も感じない。連携は全くないと謳っているが、最後のVJだけはIIDXの持つイメージが他の三人と違うのではなかろうか?
 21曲目はY31。ある意味もっともクラブライクな映像。言い換えればVJ全盛時代に使われた映像そのままと思っていい。無意味な映像の羅列とサブリミナル的に交差する漢字、それに派手なフラッシュと目をトリップさせるのに十分だ。よくココまでいろんな所からネタ拾ってきたと感心させられる。中でも中盤のブレイクと最後の「ビンに液体を詰める映像」は効果的で、押し寄せた映像をひっしりと止めて視線が一点に集中する。全体的に緩急をはっきりさせた優等作だ。

 22曲目はMobo★Moga。ポップなフレンチポップで当然映像もポップ。双子姉妹がくりくり動くという感じで女性に人気がありそうだ。さすがに完成されたmurmur twinsの後では古さが残ると思う。先ほどの補足になるがあまりこういう系はクラブではかけづらく使用を考えるとどうしても微妙なのは否めない。
 23曲目はsometime。こちらはつくり的に完全に明確なストーリーが出来ているショートフィルムだ。大分CGとしての完成度は高く、映りこみや環境マッピングもなされている。特に背景の雪景色が綺麗だ!しかし別レイヤーなのはわかるが、雪に足跡などのリアクションがないためキャラが浮いてしまうのは残念だ。VJとしてはそのままでは使えないのでシーンをぶつ切りにした映像を用意するといいだろう。
 24曲目はsync。まず驚くのが白と黒のモノトーンの映像、それに錯綜的なノイズが加わり極めて神秘的だ。音は中盤から細かい上ものがうざったく感じるが、映像は駆け抜ける映像がカバーしている。終盤では空間的に広がった画面に映るのは具現化された地球と箱舟だろうか?制限された映像がかえって好奇心を沸きたてる素晴しい映像だ。

 25曲目はABSOLUTE。彩られたサイバーな映像と世界の土着的な石像などのオブジェ、IIDXのイメージキャラクターが一同に会しそれをバランスよくまとめてある。一つ一つは意味がないが集まって意味を成す…正にVJ作品の一つの完成形だろう。4thMIXの代表曲として知られる今作、今でこそ見るとこの作品が過去と未来を見据えたターニングポイントといえるのではないだろうか?
 26曲目はDXY!。まずイメージされるのは夜の街。光るネオンに無機的に光るビル。疾走するハイウェイ。かと思うとブレイクでは三大クラブフォントの梵字をうまく使い別世界を演出!抜けると一気に攻撃的な映像と、正に圧巻!!全ての映像が場所場所で最高の使い方をされている。テクノのVJはこうあるべきという教科書のような作品。文句の付け所がない
 27曲目はstarmine。名前どうりに花火が打ち上げられトランが踊る。タイトルから想像ついてしまうのがすこしみえみえ。どうしてもインパクトがあるのは序盤の字の切り替えのムービーが全作品最高といえるくらいかっこよく、どうしてもその勢いで最後まで見てしまう。数秒のアイキャッチでココまで持ってくその完成度には脱帽だ。
 28曲目はSWEET LAB。数あるラウンジポップのなかでも割かしおとなし目、もう少し音が穏やかなら実際使えるであろう。水を中心にしたしっとりした映像はラウンジの求めるテーマ「癒し」を上手く表現している。でも、曲が少し歯切れが悪いが残念だ。前半ビニールノイズと上手くオーバーラップした映像がぴったり合っていたので、終わり際もそうして欲しかった。

 29曲目はPresto。アンビエントではないBPMなのに落ち着くピアノ、スゥイング的なのに確かに感じるデジタル音。その融合は正に天才のなせる業!三年以上も前の曲なのにいまだに人気が高いのも頷ける。映像も中世の西欧を感じる橋とどこまで続く塔の階段。単純に連続したシーンなのに流動感をしっかり感じる。曲の長さが短く感じてしまう。正に「Presto」である。画像自体は連続した2シーンと継ぎしかないので、切り取れば素材として十分使える。
 最後の30曲目はSchlagwerk。根底はとにかくロックなビッグビート。特殊急襲部隊がテロリストを追い詰めるスリリングな映像だ。モノクロ映像だが監視カメラ的な映像も多くかえって効果的にスリリングさを演出している。明らかにテロリストを撃つ、テロリストが特殊急襲部隊をナイフで刺す所も匂わせており、ブラックさも存分に入っている。今VJではこの手の映像はタブーであるが是非とも押えておきたい。

 さて長々と見てきたが個人的なベスト3を。。
 1   ABSOLUTE、DXY!
 2   Y31
 3   Colors (radio edit)
次点 murmur twins
 といったところか?一位のABSOLUTE、DXY!は正直どちらも甲乙付けがたく同率一位とした。ABSOLUTEはこのゲームが持つ世界を一番表していると思う。逆に9thまで出ていてコレを超えてる映像はないのではなかろうか?DXY!は曲の持ち味を最大限までに引き出したといえる、無論、素材としても十分だ。Y31は二位こそつけたが、素材という意味ではDXY!と変わらず現場での使用に耐えるものだ。個人的に選んだので二位とした。Colors (radio edit)はショボイ曲の魅力を五割増で引き出したのがポイント。イントロのゾクゾク感は他では味わえない。コレでしっかりしたヴォーカル。引きをわきまえた音、展開を完璧にすれば後世に残る作品になったと思う。余談だがJan Johnstonとかが歌えば確実に激震が走るほど蘇ると思う。次点のmurmur twinsは最高級の見せ方という所では当然の評価はある。しかし曲のジャンル自体とピアノがウざったいので次点とした。
 私は「IIDXについて酷評しかしない」と評されたことがあるが本気で大好きなシリーズだ。なんだかんだでこのゲームがクラブシーンに与えた影響は色々な意味で大きい。今回のクリップ集も非常に素晴しい試みだ。是非2,3と続けて欲しい!  




 
DDRMAX 2 Original Soundtrack (Disc 2)


 1   Mode Select
 2   Baby Love Me
 3   Lyving In America
 4   WAKA LAKA(E=MC2 Mix)
 5   There You'll Be
 6   Sweet Sweet Love Magic
 7   Candy Love
 8   Bre∀k Down
 9   Tsugaru
10   Tsugaru (Apple Mix)
11   Maxx Unlimited
12   Little Boy (Boy On Boy Mix)
13   Nothing Gonna Stop (Dance Mania mix)
14   Maximum Overdrive (KC Club Mix)
15   It's Raining Men (Almighty Mix)
16   Look At Us (Daddy Dj Remix)
17   More Than I Needed To Know
18   Kind Lady
19   Higher (Next Moning Mix)
20   A Minute
21   Long Train Runnin'
22   The Reflex
23   So Fabulous So Fierce (Freak Out)
24   Sillent Hill (3rd Christmas Mix)
25   So In Love
26   My Summer Love (Tommy's Smile Mix)
27   Secret Rendez-vous
28   Celebrate Nite (Euro Trance Style)
29   Trance De Janeiro (Sanba De Janeiro 2002 Epic Vocal Remix)
30   Fantasy
31   Drifting Away
32   Stay
33   Rain Of Sorrow
34   The Whistle Song (Blow My Whistle Bitch)
35   AM-3P (AM EAST Mix)
36   革命
37   Ecstasy (Midnight Blue Mix)
38   Ever Snow
39   Dive To The Night
40   Destiny
41   Burnin' The Floor (Blue Fire Mix)
42   D2R
43   Still In My Heart (MOMO Mix)
44   Dynamite Rave (B4 ZA Beat Mix)
45   Brilliant 2U (K/O/G G3 Mix)
46   B4U (B4 ZA BEAT Mix)
47   Ending1 (Music List)

 冷静に考えると私が一番やった音ゲーはDDRだという結論に達した。2.3ヶ月前某ゲーセンにてDDRエクストリーム(以下EX)をふとやったときに感じた感覚…それは「このゲーム面白くねぇ?」だった。すぐさまタイミングよく発売した家庭用DDRMAX2をゲット、久々にやりこんでみるとやっぱり面白い。?しかしココで思ったことがあった。私は実はDDRの家庭用は全て網羅している。DDRMAXは本気で面白くないと思ったが、DDRMAX2は違う。しかもDDREXに比べてDDRMAX2の方が明らかに全体の完成度は高いことに気づく。DDREXにただ単に良曲が無いのかと言うとそうでもない。DDR史上最強の曲の幾つかはDDREXにあると思う。挙げると「HYPER EUROBEAT」「1998」「Dance Dance Revolution」など…どちらもユーロ系の曲だがその完成度たるや震えが来る物がある。だが、DDRMAX2はそれを超えるユーロははっきり言ってないものの全体としてみる完成度が高いのだ。結論はやはり「DDRといえばDancemania」だと思った。そうDancemaniaのライセンス曲が良質であればあるほどゲームのクオリティも上がる仕組みなのだ。その点をあげるとDDRMAX2では本気ですごい曲が何曲かあるのはリストを見るとおり、それに追随するレベルの曲を制作陣が作らないと空中分解を起こす…DDRMAXが良い例だろう。
 DDRのサントラはその全てが二枚組みとなっておりユーザーを楽しませてくれる。毎回ユーロビートで有名な横田商会がMIXを作っている。ゲーマーの方々には異論しかないようだが、見方を変えるとこの二枚目こそがDDRがアンダーグラウンドシーンと一般リスナーの溝を埋めているつながりになっていると確信している。最近はあまりオールジャンルのクラブのイメージアルバムが見当たらないことにある。数年前はAVEXを始めとした数々のレーベルからそのディスコ・クラブのDJがその店をイメージしたMIXを作り、選曲はオールジャンルが中心だった。オールジャンルの中にも傾向があり一般のリスナーをクラブに引き込む活力となった物だ。例を挙げるとツインスターのCDはハイパーテクノにユーロビートとテンション高めの曲。対してヴェルファーレは全てを含むオールジャンル。他にもハーレムは硬派のヒップホップとソウルのみ、イエローはテクノ中心、SSSはダンクラのみとMIXアルバムを聞いてから自分の合いそうなクラブを選ぶと言うやり方ができた。反面、最近のMIX物はパーティーのイベントのが中心となりジャンルで選ぶようになってしまった。これはこれで悪くは無いのだがどこのクラブでもそのイベントならコレと決まるのはやはり痛い。まるでデパートに入っているブランドのテナントと同じで少しの違いしかないだろう。そんな中でDDRのサントラは確かにオールジャンルのMIXを展開していると言う所が私の評価する最大のポイントだ。
 展開を見る前に今回のDDRMAX2のポイントを見ていこう。展開やMIXはなかなか秀逸なのだが、DDRで使われている効果音が正直多すぎる、中にはウザ過ぎてストレスしかたまらない。前々から思うがこの辺は「つまらないマイクパフォーマンスだけでクラウドの気持ちがわからない」と横田商会がクラバーに揶揄される原因であろう。次にDDRMAX2の特性上古い曲のREMIXが入り全体としてバラエティは富んでいるが、今回のNONSTOPのためだけに書き下ろされた新MIXが無いのは面白くない。NONSTOPから生まれ変わった名曲もあるだけに残念な所だ。そんな感じでセクションごとにレビューして行こう。

 1〜11はHAPPY HARDCORE中心のセクションだ。1、Mode Selectは全体のプレビューが中心。Baby Love Me、Lyving In America、WAKA LAKA(E=MC2 Mix)、There You'll Be、Sweet Sweet Love Magicとポップなハピコアが続く。DDRにおいてBPMが速い曲は難度が高くなりがちだがDJとしては決ったドラムパターンなので繋ぎやすく導入にノリを掴むためでもいいだろう。その中でも特に取り上げたいのがSweet Sweet Love Magic。DDR制作陣の中でもめずらしい女性コンポーザーの作品。アイドル系の歌詞のポップスの曲を上手くハピコアにまとめた良曲だ。続いてはCandy Love、Bre∀k Downと日本語歌詞のものが続く。やはりMIXに日本語の曲が来るとどうしても拒否反応が出る私だが今回も御多分に漏れずそう感じる。しかしゲーム的に見るとこういった日本語歌詞が評価されるのにはやはり日本語歌詞の特性からであろう。特にDDRだと難度によっては歌詞によってシーケンスが決まっているため一語=一音の日本語歌詞はリズムが取りやすく、また一般ユーザも引き込むのに一役買っている。他の音ゲーだとそんなに歌詞を意識したシーケンスは無いに等しいので私も全く評価できない。Bre∀k Downは同社のギター&ドラムに入ってるが全く印象に残らなかった。それがこちらで見るとよく出来たトラックでヴォーカルに併せて動くとなんとも楽しい。クラブ的には評価できないがゲーム的には評価できる曲だ。次のTsugaru、Tsugaru (Apple Mix)、Maxx Unlimitedは最強にハードな高速トラック。Tsugaruは津軽三味線をフューチャーした高速トラックMIX違いを上手くまとめているが、乗せたボイスのタイミングが下手くそで台無しにしている。それはMaxx Unlimitedにもいえる、いいところはいいのだがサンプリングがしつこ過ぎてすっきりしない。Maxx Unlimitedは緊張感漂うハードコアなだけに外部が手出ししてはいけない所もわからなかったのだろうか?
 一旦仕切りなおしての次はダンスポップとハウスのゾーンLittle Boy (Boy On Boy Mix)、Nothing Gonna Stop (Dance Mania mix)、Maximum Overdrive (KC Club Mix)、It's Raining Men (Almighty Mix)、Look At Us (Daddy Dj Remix)、More Than I Needed To Knowと版権物が続きらしさを出してくれる。全体的にミドルテンポのMIXが心地よい初期のダンスマニアを髣髴させるゾーンだ。Kind Lady、Higher (Next Moning Mix)とハウス色の強いMIXが続く。特にオススメはKind Ladyが良い!しっとりしたオープニングながらも後半の盛り上がりはミーハー目のハンドバッグサウンドの良いとこ取りだ。この曲のために家庭用DDRMAX薦めていたページがあったが、家庭用DDRMAX2にもREMIX付きで収録されているのでそちらの方がはるかにオススメだ。Higher (Next Moning Mix)は元あった曲を更に明るめにリファインした曲だが原曲とさしたる違いはない。好みにより意見が分かれるところだ。次のセクションは A Minute、Long Train Runnin'、The Reflex、So Fabulous So Fierce (Freak Out)、Sillent Hill (3rd Christmas Mix)、So In Love、My Summer Love (Tommy's Smile Mix)、Secret Rendez-vousディスコサウンドを絡めたファンキーなゾーン。ゲーマー間では全く支持されないがオールジャンルやるなら絶対にはずせないジャンルだけに今までとは異質且つ単純に楽しいノリだ。またディスコファンクの関係上ボイスを乗せたりするのがもっとも合うのだ。個人的にはThunderpussのSo Fabulous So Fierce (Freak Out)が入ってるのは嬉しい。それに引きずられたかDDRオリジナルも秀逸!So In Loveはバラード調の浸れるソウルだし、My Summer Love (Tommy's Smile Mix)はリファインされ名曲Crazy Love / Parradiceを彷彿させるソフトなレゲェとなっている。Secret Rendez-vousは本格的なR&Bとミーハーすぎるイメージを中和してくれる。
 そして、Celebrate Nite (Euro Trance Style)、Trance De Janeiro (Sanba De Janeiro 2002 Epic Vocal Remix)、Fantasy、Drifting Away、Stay、Rain Of Sorrow、The Whistle Song (Blow My Whistle Bitch)、AM-3P (AM EAST Mix)、革命、Ecstasy (Midnight Blue Mix)トランスゾーンに突入する。注目はなんとDrifting Awayが入っている!!こうなると何出してもコレに勝つ曲は無いのでそれに負けないようにクオリティあげるほかない。上記で出来がいいのはまずAM-3P (AM EAST Mix)、元々昔にDDRにあった曲だが実にスリリングなトランスにリファインされ、強烈なトラックと進化されている!終わり際とかがやたらにいいので普通に使える曲のひとつ。革命はかのショパンネタだが○(自主規制)と変わらないので上手い出来だがかなりつまらない。Ecstasy (Midnight Blue Mix)は三連符を多用した意欲的なトランス。原曲は途中の変調がいまいちだったがこちらではない。個人的には元ネタと上手く併せて更なるリファインをしたい所。面白いのはThe Whistle Song (Blow My Whistle Bitch)が怪しい所で挿入されておりこの辺は飛び道具を上手く理解しての挿入だ。
 最後にEver Snow、Dive To The Night、Destiny、Burnin' The Floor (Blue Fire Mix)、D2R、Still In My Heart (MOMO Mix)、Dynamite Rave (B4 ZA Beat Mix)、Brilliant 2U (K/O/G G3 Mix)、B4U (B4 ZA BEAT Mix)ユーロゾーンで締めることになる。そうはいってもEver Snow、Dive To The Nightは日本語歌詞の曲なのだが今度は出来はどうあれMIX的には評価できる。Ever Snowはトランスの要素をつけつつA→B→サビのユーロ展開なので切り替えしにはもってこいだし、Dive To The Nightは彼女のデビュー曲DIVEをその後のトランスユーロ版の要素を加えつつリメイクした物。曲の可能性を見せると言う所では評価せざるを得ない。そして最後はNAOKIの作品を新曲とリミックスでまとめたある意味スペシャルなMIX。普通にユーロなお店では使われたと聞いているくらいなのでその手の人は喜ぶだろう。なかでも出来がいいのはBurnin' The Floor (Blue Fire Mix)か、元々彼のユーログルーヴのなかでは哀愁色が強く私も好きなのだが全体にノイジーなギターが加わり、昔のA-BEAT-Cのテクノセクションのような音を展開してくれる。でも全体的にハピコアなので速すぎ!ユーロはフロアで流す時はピッチアップなのでハピコア風に作り変えるのはありなのだが本来ユーロであるDestinyが遅く感じられてしまう。ともあれEnding1 (Music List)でMIXも終わりとなる。終わりはポップなトランス、最後が疲れるので終わりはこういうもってきかたでいいだろう。  そんな感じで見てきたが、割と選曲としては完成しているのだが味付けは下手くそというのが正直な所。CDもDDR2ndからSOLO2000を経てDDREXまで全て聞いてみたが曲全体としてはDDRMAX2が一番完成している、もっともゲーム的にも一番完成している気がする…人気がなくなってやる機会がなくなったのに完成したとはある意味皮肉な話だ。また、NONSTOPMIXはサントラではDDREXがもっとも完成している。こちらもいつか紹介したい。  




 
good-cool super collection


 1   Come With Me
 2   Never Let You Down
 3   Live Together
 4   Zanziber
 5   Spin The Disc
 6   Under Construction
 7   Make Your Move
 8   Somebody Like You
 9   Nofia
10   Gotta Get My Groove On
11   Checking You Out
12   Overwhelming
13   Blwn My Heart Away
14   Honey, Do It Tonight!
15   Dancin' Into The Night
16   Flash Of Love
17   Denpasar
18   Spooky
19   Shake It Dawn
20   I Was The One
21   Hitch Hiker
22   Skyscraper
23   19, November
24   Sense
25   Cyber Girl
26   Headache
27   Blame
28   Last Message

 R3嬢のお株を奪うつもりでのアルバムレビューの一回目はgood-cool super collection。当然音ゲーに詳しい方はピンとくるCDでしょう。最近3000Hitのフリートークでもゲーム好きなのは二人して語ったが、今回はその辺を抜きにして使えるアルバムとしてご紹介したい。つまりあくまでクラブミュージックとしての素材であり展開を重視したミックスアルバムとして徹底的にレビューしていこう。
 まずは全体の特徴としてノンストップのアルバムであること、そして全体にわたりリミックスとリメイク、リニューアルがなされている。また一曲の収録時間も二分以上となっているため聞き応えもある。CDのノンストップにおいて2分というのは実にちょうどいいとされる、ヴォーカルものならトラックを二回回せて(一番と二番)テクノ系なら展開によってはブレイクを入れられる。それを可能にする収録曲は30曲前後なのだが今回のこれは28曲、質も量も十分だろう。また、ジャケの方もなかなかセンスいいので表裏両方載せて見た。ではMIXのほうをノンストップミックスということもあり展開を含めて見ていこう。

 まずはオープニングのCome With Meから始まり、Never Let You DownLive Togetherと続くのはヴォーカルハウスのミックスだ。最も万人受けするともいわれるヴォーカルハウスはオープニングにはもってこいだ、某大型ディスコのコンピもこの入り方が多いが美しくも艶のある女性ヴォーカルは好きという人はいても嫌いな人はいないだろう。そしてZanziberSpin The DiscUnder Constructionとハウスセクションにつづく無駄のない展開が待っている!!この辺からこのgood-coolというアーティストの恐ろしいまでの才能を垣間見れるはずだ。Zanziberは元はハードなトライバルであったが、エッセンスを残したハウスとなってRemixされているため先ほどのヴォーカルハウスは消えることなく残る。そして前半の盛り上がりはこのSpin The Discでいきなりヒートアップしてくる。この曲、元々は5曲ほどの曲をリズム一定のままつないだDJプレイを彷彿とさせる当時をして激ヤバトラックであったが、ノンストップに入り込んでも違和感はない。どころかこの曲本来のポテンシャルが一気に引き出されていやおうなく目立ってくる。思わず体動くはずだ。そしてUnder Constructionは少々ポップなビッグビート、普段ならまずない展開だが先ほどのSpin The Discがハウスの・・・いやダンスミュージックの数々の要素をふんだんに取り入れているため違和感を感じない。ノンストップのほうでもマイクパフォーマンスが入ったりと飛び道具の見本的な使い方を直球で見せてくれる。
  続いて、Make Your MoveSomebody Like YouNofiaGotta Get My Groove OnChecking You Outと続くのはブラックテイストのあふれるソウルのMIXだ。ソウルといってもアプローチはハウスに近く今までの展開はまんま引きずれるのは聞いてて嬉しくなる。そんな中でのMake Your Moveはファンクのテイストを残したナンバー。一つ前のUnder Constructionでも似たような音が使われるための飛び道具返しだ!太いリズムを堪能しているといきなりSomebody Like Youが飛んでくる。ハウスを基調としている爽快感のある曲だが先ほどのMake Your Moveにもあるホーンの音があるので飛び道具として受け止めてしまう。すると次のNofiaはダークな雰囲気と重い男性ラップに先ほどよりさらに濃くなるスクラッチ音はいやがおうにも緊張感が漂う。おかげでGotta Get My Groove Onでは爽やかなソウルとなり少し安心してしまう。だが後半のコーラスワークでは声の掛け合いのバッキングなど盛り上がりは忘れないのもミソ。そしてChecking You Outという情熱的なヴォーカルの曲でアルバムの前半をしめるのだが、ここに来てさらに増すのは派手な上物となっているスクラッチ音!!そういわれればSpin The Disc以降スクラッチ音は毎曲登場し盛り上げてくれ、さらに飛び道具もありの展開…ここから導き出される答えは前半は正にDJバトルを想定して作られたのではないだろうか?そう結論つけたくなるほど前半はギラギラした魅力的なミックスになっている。

 さてChecking You Outでスクラッチエンドがありマイクパフォーマンスの入ったところで仕切りなおし、OverwhelmingBlwn My Heart Awayから始まる後半は懐かしさの感じる80年代のPWL系のハイエナジーで始まってくる!!Overwhelmingは正にカイリーミノーグやシニータのような女性ヴォーカルと当時を懐かしむような明るく美しいメロディーライン。Blwn My Heart Awayはリックアストリーなどに代表されるような男性ヴォーカルのハイエナジーと「トッテケトッテケ」と定石ともいえるコード進行。どちらも古きよき日のにおいを感じさせる極上のナンバーだ。続いてHoney, Do It Tonight!Dancin' Into The NightFlash Of Loveは更にディスコクラシックテイストの溢れるサウンドだ。ただ、今でいうディスコクラシックとはBPMも速いせいか若干新しく聞こえるのもポイントだ。Honey, Do It Tonight!はヴォーカルが女性デュエットのせいか全体的にアイドルチックなダンスポップ。逆にDancin' Into The Nightは原曲は王道のディスコクラシックながらも今回はサンプリングを使ったりBPMあげたりと一つ前のHoney, Do It Tonight!のノリ引き継ぐ形にして生かしている。そしてFlash Of Loveは更にもはや化石ともいわれるサウンドなのだがこの展開で持ってくるとは最高のタイミングだ、Honey, Do It Tonight!のデュオがヴォーカルらしく展開的にもニクイ作りだ。ちなみにこの曲原曲は日本語詞でいまいち歯抜けだったのだが、英語詞にかわりシャープさが増し完全に完成されたといえる。
 再びのスクラッチエンド、DenpasarSpookyとここでは一気にテンポアップしての展開となる。しばらくまったり系の曲が続いていただけにボルテージは上がる。Denpasarは民族的なトライバルサウンドにトランスを取り入れたサウンド、ラテンとも相性がよく決まって夏場に需要が高くなるサウンドだ。トライバルサウンドとテクノは相反するようで絶妙に合うのをニクイほど分って融合させたようだ。そのまま違和感なくSpookyとなだれ込む、この曲はハードハウスのリズムにオカルト系の上物を乗っけた物だ。正直、単体で聞いたときは実につまらなかったのだがDenpasarのトライバルサウンドと相俟って絶妙な組み合わせとなるのには脱帽するばかりだ。すると次はShake It Dawnというしっとりしたヴォーカル曲が飛び道具で来る。元々は日本語の歌詞であったが英語詞にしたことによりマイナースケールが生きポップでありつつも哀愁を感じ、なおかつピアノ色の強いハウスと変貌を遂げた。しかしながら私の初聴きの時は「なぜここでこの曲が?」と思ったところであるがそれは次の曲I Was The Oneで全てを悟った!!I Was The Oneは数ある彼の作品の中でも人気上位に食い込む珠玉のイタロハウスだ。美しい女性ヴォーカルにピアノフレーズが作りこまれたバックトラックと相俟って聴く者全てを圧倒する。しかも今回のリメイクではジャミー・ディーばりのサックス音がアウトロにのりその存在感を確固たる物にしている。このノンストップ中では曲の開始時に歓声が入る、そうShake It DawnはこのI Was The Oneを生かすために入れられたのだ!仮に私もフロアにいたらI Was The Oneのイントロが出たと同時に歓声を上げるに違いない。CDのほうを見ると全体の三分の二を消化しているためオーラスに向かって畳み掛けるためでも盛り上げは必須!そう考えて打ちいれられたのがこのI Was The Oneだったわけだ。実際には旬が過ぎ去ったとも言えるイタロハウスでここまでの盛り上がりを出せるということはこの曲がいかに完成されたか判るわかるだろう。そしてHitch Hikerが飛んでくる、この曲自体はHitch HikerとHitch Hiker 2がMixされたLong Drive Mixでの収録だ。もともと明るさと爽快感を重視した気持ちいい系のキャンディーワープハウス…こう説明するとなぜイタロハウスの後にこういうのが来るのといいたいがなぜかすんなり入るのには理由がある。この曲が初収録されたIIDX 2ndStyleでのハウスコースはI Was The Oneの後はこれだったからではないだろうか?もっとも予備知識あってのことだが・・・。そして更なる歓声とともにスピンされるのは「待ってました!」のエピックトランスSkyscraper!当時トランスのブームの兆しの真っ只中にリリースされたこの曲当時は人気なかったようだが再評価も受けているようだ。展開とシンセリフのパン振りは見事で今でも十分通用する。しかし今回残念なことにリメイクの際に新たにシンセリフを乗っけたのだがこれが悪い!!音が目立ちすぎてブレイク明けの元々のシンセより目だって台無しにしてしまっている・・・。しかもシンセ自体が某有名曲にそっくりでパクリ感すら漂ってしまった。なんとこのシンセを入れたのは別人であの…TAKAだった・・・。そして19, Novemberとくるがこの曲自体もハウストラックではあるが全体的に軽くトランス的な音使いがなされているので少々の違和感を感じつつもぶち壊しになることはない。それもこれもこの曲も英語詞でリメイクされており完成されたからだろう。
 そしてSenseCyber GirlHeadacheというハイパーなサウンドでオーラスへと突入する。Senseはお立ち台系ハイパーテクノを地でいっているサウンドだ!当時では何度も聞けた「フォウ!」というサンプリングボイスやT-99も使ったシンセフレーズが狙いをはずさず押し寄せてくる。更にCyber Girlも同様にお立ち台系ハイパーテクノだが明るめのコードでありつつもおなじみのギターにシンセ、更にはラップをフィーチャーし最強クラスのレイヴサウンドを展開してくる。余談だがこの曲は某イベント21でも使われたそうだ。そしてHeadacheはハードハウスでありながらもレイヴサウンドを色濃く残してある曲だ。しっかりとリメイクされており90年代中盤のコマーシャル的なハイパーテクノのようなアプローチがなされているためテンポが速いほうが合う位だ。そしてラストはBlameLast MessageとBPM150近い、いわゆる現在のパラパラに対応したハイパーユーロビートで締めくくる!元々前述のレイヴサウンドとこのようなハイパーユーロビートの相性はばっちりなので(ていうかユーロのDJはみんなハイパーテクノもまわす)、この展開は王道といえる。Blameはパワフルな男性ヴォーカルのユーロビート、全体にわたるギターとシンセの融合サウンドは本場イタリアのユーロに引けは取らない!後半ではギターのソロも冴え渡り、いやがおうにも盛り上がる!ぜひともライブで見たい曲のひとつだ。そして最後のLast Messageはそれに対して哀愁色の強い女性ヴォーカルのユーロビート。こちらはシンセを前面に押し出しており女性ヴォーカルのユーロビートでは王道的な展開だが、こう聞くと実にいい。今回新たに歌詞に二番が追加されてあるのだが、なんとBメロにも歌詞がついておりあくまで日本人の心をくすぐる出来になっているのは心憎い演出だ。余談ではあるがこの曲には公式のパラパラがありなんとヴォーカル本人が映像で披露している!必見!!そしてLast Messageだけあり最後は歓声とともにマイクパフォーマンスがあり終了となる。
 こう見ると後半のサウンドは正にディスコの歴史ともいえるのがわかる。70、80年代に始まり、ハウスとテクノのミクスチャーを経てトランスやレイヴサウンドにハイパーユーロまでと時代のいいものをエッセンスとして凝縮した非の打ち所のない展開だ!!

 では最後に個人的なベスト3を。
 1   I Was The One
 2   Spin The Disc
 3   Never Let You Down、Live Together
次点 Last Message
 といったところか?I Was The Oneは文句なしだ!今回聞いてみてマジ鳥肌が立った。Spin The Discはその手法に脱帽。Never Let You Down、Live Togetherはヴォーカルの存在感に甲乙つけがたく同率とした。Last Messageはユーロの中でも大好きな音使いなので上位にあげたいがヴォーカルにエフェクトがかかりすぎているのが気になり次点とした。しかしここまでのアルバムを作り、映像も作りほかにもライブに精力的でイベントのオーガナイザーもしてしまうgood-coolは正に天才ではなかろうか?他のビーマニのアーティストにもソロアルバムをと希望が出ているらしいがそこまでのエンターテイナーとしての才能はあるのだろうか?ならばぜひアンサーアルバムなど見てみたいところだ。


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