第十三回 HDDレコーディング
今回はハードディスク(以下HDD)レコーディングについてみていこう。HDDレコーディングというとどうしてもプロ的な捉え方をされるが昨今のPCの環境では身近な物となっている。投資額もある程度で一般には十分な物が出来てしまうのだ。さて今回は特に前回のDJ機材の続きにもなるようにターンテーブルからミキサーを通してHDD上に落とすところを解説していこう。
まずはHDDに落とすといっても必要な物をそろえないといけないのだが、まずはPCのHDDの種類を見よう。HDDで最も重要なのは容量に間違いない。当然本気でやるならMP3ではなくWAV(MACはAIFF)ファイルである程度残しておくのを考えると最低でも20GBは欲しい所。それ以下ならば増設をオススメする。次に見るところはHDDの性能。HDDには性能のバラメータに出来る物として、回転数、接続方式がある。回転数が低いと書き出し、読み出しが遅く、素材で使う時にもたつくことがある。ASID用の素材を作る時は回転数が高い方がいい。最近は7200rpmが主流かつ手ごろな値段で買え、ノートの主流も5400rpmもあるのでこの辺は問題ない。次に接続方式とはよくATAと表せるが現在66/100/133/150とある。基本は100だがこれはこれで全然問題ない。特に下手に上の接続方式の物を買ってしまうと結局つなげなくシャレにならないので注意したい。結局こうなると強いのは拡張性の高いATXマザーを使った自作デスクトップであるが最近はコンパクトPCやノートにも強い武器が出た。それが高速な外付けHDDだ。過去のレビューでも取り上げたが相当高速かつ利便性が高いのでコンパクトPCやノートでも十分に使える。
そして重要なのはサウンドカードの存在。もちろんMIDIだけではダメでオーディオインターフェイスとして使える物でないといけない。やはりHDDと同じように内蔵式と外付け式があるのがポイント。内蔵式の有名どころはSoundblasterやDELTAなど、長所はPC内部に入っているため別に外部に電源が必要ないこと、PCIに接続するのでレーテンシーが出にくい所だろうか。逆に短所はPC内部にあるためどうしてもノイズを拾いやすい所、ハードベースでパラメータの調整が出来ないことがあげられる。外付け式は大体がUSBを使う、有名どころはRolandやYAMAHAなど、国産が多い。長所はUSBがあればいいのでノート等でも使える事、音源がPC外にあるのでノイズを拾いにくいことか。逆に短所はPC内部のチップセットを選び下手すると全く認識しないことがあること。電源を必要とすることがおおくコードがやたらに増えてめんどくさいことか?
そしてソフトが無いとPCは役に立たない。ココで注意するのは初級レベルのHDDレコーディングであるならそれが出来るくらいのソフトはサウンドカードに内蔵されているので心配はない。またフリーソフトでも十分使えるものもたくさんあるのでサウンドカード導入の段階で下調べしておくべきだ。なお当方がよく使うのはTOPで出ているソフト二種、Soundit3.0とClene3.0だ。Soundit3.0は日本産ソフトウェアで操作性が日本人向け…というよりWINDOWSベースの操作法なのでわかりやすい。大抵の海外の音楽ソフトウェアはMAC向きに作られていることが多く、左クリックを考慮しない、ドラッグ操作が多いなどのGHQの違いによる使いにくさがあるがそれが無いのが良い。Clene3.0は過去紹介したが、現在は4.0が出ており既に片落ちとなっている。高性能ノイズリダキュションという高保存にはうってつけのソフトだが、深刻なほどCDRに書き込めない。また出来ればだが、音楽ソフトではなるべく高解像度のモニタを使うと作業がしやすい、最低でも1024x768のモニタを使いたい。こんなことも出来ると作業の効率が非常にいいのでオススメだ。
では、流れに沿ってHDDにアナログのやりかたを見ていこう。
今回使用するのはローランド製オーディオインタフェイスUA-3だ。USB接続の外付け型でUSBバスパワーのみで動作し、アナログ、デジタルの入出力をサポートし、付属ソフトにSounditLEがついている。PCまでの接続体系はこのようになっている。
ターンテーブル→ミキサー→UA-3→PC
参考ながらミキサーにはアンプを繋げ、そこから音を聞くのだがそこでUA-3の出力をアンプの入力につなげるとPCにはいった音を正確にモニタリングできるのでオススメだ。こうすることによりノイズの混入などの判断もしやすいのだ。その時点でノイズが聞こえればUA-3までの間にノイズが混入しているはず。録音後にノイズが聞こえるようならPC内部の可能性が強い。最近のノイズの一番の原因はやはり電磁波だろう。最たる原因は携帯電話だ!特に第二世代以降の携帯電話でノイズ混入が目立つらしく出来たら録音中は電源をオフにしておくといいだろう。
まずはソフトを起動し入力レベルをチェックしないといけない。ターンテーブルは構造上内側の溝の音を強く再生してしまう。大体において右の図のようにRが若干弱く出るので調整してLR差が無いようにすること。ソフトによっては位相の調整が出来るので耳を頼りにやればいいのだが、録音の段階でDJミキサーで調整してしまうのが手っ取り早い。この際ピークタイムを重点に開きモニタとにらめっこしつつ調整するほか無い。次に気をつけるのがピークを超えないようなボリューム調整をする。一番ピークの音でレベルがレッドにかかるかかからないかぐらいがベストだ。音が小さい場合には後述のノーマライズで調整できるが、レッドゾーンを超え音が割れてしまうとどうにもならないので慎重に調整したい。そこまで調整終わったら頭だしだがこれも若干余裕を持ってやったほうがいい。いまやカセットテープの時間を気にしてぎりぎりで頭だしする時代ではないので、余裕をもって少しくらい長く入れる気持ちで入れたいところ。最後にカットすればいいだけ、HDDレコーディングの一番大事なところだ。
さて、録音したら調整をする。一番必要なのは全体をドラッグしてノーマライズすることだ。ノーマライズとは設定したピークレベルに調整してくれる機能だ。そして頭出しの際に出た不要な所をカットすれば終わりだ。
HDDレコーディングを知ればクラブミュージックを更に堪能できる。投資額はここ一、二年のPCならそれほど多くは無いので試してみてはいかがだろうか?
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