Ilice's Review (2)


TENSHI


artist:Gouryella
label:TSUNAMI



 トランスについて、長々とレビューしてきたが、ここで語るべき結論のひとつは「いままで日本で一番ヒットした曲は?」ということ(2002年2月現在)。それは間違いなくこのTENSHIであると断言してよいだろう!
 まずこのGouryellaというアーティストはかのSystem Fとプログレユーザーからも絶大な信頼をほこるDJ Tiesto(Fright 643は余りに有名)のユニットだ。且つ天使という名の如く名付け親は日本人ではあるが只の日本人ではなく、日本屈指のトランスDJ・TOKUNAGAだ。これだけの大物が名を連ねると日本人の体質上すぐに持て囃すのをまざまざと感じさせるのが少し悲しい。では、そうかといってたいした曲じゃなければクラバーがここまで支持しないのも確か、曲について触れよう。
 まずは定番original mix。入り方からしていままでのトランスのいいとこどりのようなドラムとベースそこにのってくるアルペジオとはっきりいってこれだけでも十分踊れるのだが、そこにブレイクと共に震えるようなシンセのフレーズはまさにトランスの醍醐味を存分に味わえる!(R3嬢と当時試聴会のときコレを出したのだが彼女もしっかりと震えていた)もう何度も聴いているので「来る」とわかっていても未だにフロアで聞くとどうにも踊りだしてしまう。まさに盛り上がり必至のナンバーだ。つぎにTRANSA MIXこちらは若干メロを変えてある。もっとも派手に変えてある訳でなく、トリル等の味付けだが揺さ振りを好む海外ではこちらの方がよく使われたようだ。とここまで二曲は正規盤に入っているミックスであるがコレぐらいヒットするとREMIXも乱発している。R3嬢の持つCD版から拝借したので加えてレビューしていこう。Gouryellaの過去二作品ライセンスで知られるCODEBLUE盤には二曲入っている。そのうち一曲Mark moon remixは実際より少しおそめのミックスだ。使いどころは難しいがチルアウト用か・・・また、Ronald Klinkenberg Remixも若干遅めでこれまた日本で使うには難しいが、いっそ使い方を変えてDEEPHOUSEのデッキに組み込むのも意表をつけるかもしれない。もっとも私も試したことないが・・・ちなみにR3嬢はCODEBLUE盤レーベル買い(しかも二枚)と割り切っているのが思い切りよい。つぎにRADIKAL盤には三曲ある。まずはCJ Stone & Cabba Kroll Remixこれにはびっくりさせられる!なんと原型すら留めてないトライバルなサウンドだ。ここまでくるとよっぽど熟知している人でもTENSHIと見破れないはず・・・遠慮なく使えそうだが全くかみ合わないのがオチといえる。つぎにATB MIX。こちらは言ってしまえば地味なMIX・・・しかしCOMMUNICATIONで述べたようにこういうMIXほど永く小さな盛り上げに使えるのが重要だ。そしてRatty MIX。これはブレイクビーツと思えばoriginal mixのまんまのフレーズありと聞いてるほうは何がなんだかわからない!よくいえば多彩、悪く言えば脈略なしか・・・完全に飛び道具だ。
 最後に、この曲いまはどうかというとやっぱり今やこの曲もクラシック感があり、バリバリにかけているのが、学生パーティーか六本木某巨大ディスコのサ〇バート〇ンスくらいなものだ。またSystem Fは来日する際自分のプレイの最後にかけることが多く、敬遠するDJも多いのが現状だ。  
COMMUNICATION


artist:ARMIN
label:AM:PM



 そして、三大トランス最後の一つARMINのCOMMUNICATIONだ!二月のR3嬢のトップページのCDにもことごとく入ってる。ここで説明が遅れたが巷で言われる三大トランスは諸説が多くこのCOMMUNICATIONではなく、GouryellaのGouryella ととる人(DJ)もいればATBの9pmととる人、Binary Finaryの1999ととる人とさまざまだが、どの曲にしても人に語る段階では当然知っていなくてはいけない曲ばかりなのでこだわる必要は実はあまりない。さてARMINとはArmin van BuurenのことでありSystem Fの名曲Exhaleに参加している。この二人も親交が厚くIbiza島で同時イベントをしたり同時来日したりしている。またExhaleのプロモは二人して映っておりなかなか見物だ!(PURPLE EYE のホムペで普通に観れます)
 では曲のほうだが、やはりイチオシはoriginal mix。今聞くとありきたりかもしれないベースラインから始まるが、この頃はそうそうなくかなり痺れた。そしてピアノのラインが入るとまたトランスらしくなってくる。だが、この曲のいいところというのはブレイクの後に過剰に盛り上がりをつくらず地味ながらリズミックにまとめてある所だ。ど派手な曲ほどヒットはするが長期にわたってDJユーズには成りにくいのが実際だ。もっともクラウド側としても知らない曲ばかりではつまらなく、DJの立場としては小さな盛り上げをつくらせないといけない。そういった意味ではロングラン的に使える曲の存在はありがたい。逆に大きく盛り上げてつかうならQuake mixがおすすめ。音をしっかり派手にしてあるので十分使える。
 しかしこの曲、私はアナログ、R3嬢がCDシングル(どちらも、AM:PM)をもっているのだが、なかなか面白いことになっている!アナログにはJON VESTA REMIXが入っている。これはオリジナルにモジュレーションなどをかけたような作りで、ハードハウスのトランスへの飛び道具などとしても面白い。CDシングルのほうは、original mixとQuake mixとその二つのEditとCDにしては収録少ないが、なんとオリジナルのRadio Editには歌が入っている!これにはなかなか意表をつかれた。おそらくは探せば全て入ったアナログなりCDなりあるだろうがなんか釈然としない…。
Carte Blanche


artist:VERACOCHA
label:POSITIVA



 続いて三大トランスの一つCarte Blancheの登場!当Euro-Headの歴代ランキングなかでもかなり上位にはいる。R3嬢の一月トップページのコンピレーション(詳細はこちら)にもはいっているのにも注目!あの中で彼女が芯から震えた曲が1999とこのCarte Blancheだ。余談だが、あのコンピをMDに落としたのだが、MDデッキがクラッシュ!あわれ初任給で買ったMDデッキは御昇天となった・・・。
 さて戻そう。VERACOCHAというアーティストの正体だが実はかのSystem Fともう一人、Vincent De Moorだ!Flowtation、Fry Awayの人と言った方が有名か。この二人のドリームプロジェクトである。
 上のジャケはPOSITIVA版(見ればわかる)、一番普及していて今でも楽に手に入る。オリジナルはVincent De Moorが立ち上げたMoon recordsであり、彼のアルバムにもこの曲は入ってる。ちなみに日本版は「未来世紀ムーア」。いまいちなタイトルだが二枚組みで構成的にはかなりオススメ!
 では、曲のほうだが、おすすめは当然original mix。 オープニングからして、かなり重厚なベースラインがかなり芯からくる!とそこにアトモスフィア調のピアノでレ、ド、ラと三音ずつ入ってくる。それだけだと単に耳に残る程度かもしれない。が、ブレイクまで鳴り響くと突然に溜め込んでいたフレーズがくる!!ブレイクあとに来るコレは正に全身総毛立つ!!さらに、オープニングとピアノが加わる今となっては王道の展開だが、未だにこの曲を超えるフレーズのミックスは無いのでは?一方origin remix の方は若干プログレの要素が入り、エピックのキラキラで耳慣れしてると、あまり食指は動かないが、オールジャンルでやってると移り変わりの割り込みには絶好のミックスといえる。
 だが、今やこの曲もクラシック感があり、バリバリにかけているのが、学生パーティーか六本木某巨大ディスコのサ〇バート〇ンスくらいなものか…寒いDJしかかけないのが、更に悲しい。

Out Of The Blue


artist:System F
label:TSUNAMI



 今回は世界三大トランスの一つであり、現在のトランスブームの起爆剤であるOut of the blueの登場!!
 今回上のイメージが二つある、実はオリジナルは右のTSUNAMI盤だ。ここで、本ホームページをリンク先まで熟読してくれた方、もしくはトランスにある程度知識ある方にはSystem F = TSUNAMIの創始者の一人Ferry Corstenということで自分のレーベルから出すのは当たり前と思うのが普通だ。だが、レコードの知名度や今でも楽に手に入るのは左のESSENTIAL RECORDO盤(通称イルカジャケ)だ。実はこの曲を発表した当時、TSUNAMIはまだ立ち上げたばかりで知名度が低くESSENTIALがライセンスしてだしたのだが、大ブレイクし彼の名はクラブシーンに急速に広まったのだ。だが、あまり右のは作られてもなかったので、一気にレア度が上がってしまったという。良くあるパターンではある…。
 では曲のほうだが、まずはなによりORIGINAL MIX 。まず聴くと割りと太いベースラインが耳に入る。ハードハウスと同じだ。しかし、上もののシンセが入ると正にトランスの王道サウンドとなる!もともとトランスのDJはハードハウスに精通していて当然なので問題はない。むしろつなげられるので最高に使い易い。一方ANGELZ MIXは上もののシンセは同じだが、ベースが違いどちらかと言うとディープな感じだ。終わりのほうは妙なピヨピヨ音がこれまた妙にマッチしているので、飛び道具ネタか…。アナログのほうのMAURO PICOTTO MIXはどちらかと言うとオリジナルそっくりな所があり、オリジナルとの二枚使いが基本に忠実ながら盛り上がり必須だ。
 ただ、どんなネタにも言えるが使いすぎは禁物だ。
Children


artist:Robert Miles
label:Ed.Jeity Music



 私のレビューも早いもので(?)第二ステージである。今回はR3嬢とリンクして、現在主流のトランスについて、基礎からレビューしていくつもりです。
 さて、まずはコレ!Robert MilesのChildrenが登場だ。さかのぼること1995年、クラブシーンに颯爽とあらわれた曲だ。当時トランスというと、ゴアトランスやサイケデリックトランスにある凝った打込みではあるがある意味ポップな感じであった。そんななか、もともとピアニストである彼が打ち出したのが、ゴアなどの四つ打ちキックとオープンクローズのハイハットのベーシックなリズムにマイナースケールのピアノやシンセを乗っける“ドリームハウス”というジャンルであった。曲の構成にしても、途中でドラムロールを重ねブレイクを作るなどまさに基本のすべてを網羅している。無論この曲は世界的にヒットし、次回作のDream Land、ヴォーカルを加えたONE & ONE(これもどう考えても今のヴォーカルトランスの原型)など立て続けに出し、日本でもライブをして、その生のピアノに全身総毛立ちだった。だが、ここである問題が起きた!!他のアーチストの曲が出なかったのだ!確かにでてはいたが、どれも酸っぱかった…。結局だれもRobert Milesの才能についていけなかったと見るのが基本か…二年の後に出てくるSystem Fの登場を待つのみだった。

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