Ilice's Review (13)
THE Colours EP
artist:Untidy Trax Presents
label:UN TIDY
今回はUntidy Traxの同テーマによるコンピレーションTHE Colours EPをご紹介。実はとんでもない問題作でUNTIDYのレーベルの中ではもっとも有名かもしれない。ジャケの方より目立つのはレコードの盤面、曲のタイトルによって色分けされた盤面はどうにも目立つ。上のジャケでは真ん中のラベルしか映してないが一度見る価値はある。不思議と渋谷のSレコードに落ちてる。また次の年にはTHE Colours EP2と銘打ち続編が出ている所も面白い。では曲の方を見ていこう。
まずはBlue。これは割合スタンダードなハードハウス。全体的に派手さはないが安定的に使えるのが売りだろう。中盤にハードトランス系の音、後半にはNu-NRG的な音があるので繋ぎどころに注意したい。お次はRed、こちらは若干派手目になり今回の四曲の中では最も使い易い。随所にブレイクも挿入されているのでハードトランス系とも問題なく使えるのでプレイのメインのつなぎとして使うのもいいだろう。そしてYellowはハッピー系のハードハウス。日本では「Happy」というパラトーンレーベルが定着させたジャンルそのもののようなトラック。ハードハウス的なフレーズでミニマル的な繰り返しをするような感じでどこからでも繋ぎ易く切りどころが難しい。こちらも当然全体的にハイテンションで展開するので盛り上がりだした頃に使うと効果は絶大!だが、場合によっては全く使えないので注意は必要だ。最後にGreenだがこちらはハードハウスの土台にネオディスコ的なラップが加わり、一種の異様な感じを出している。よって古くからのクラバーには面白くもあり使い易いが、最近のトランスクラバーには受け入れがつらい物があるのが現状だ。それを差し引いても中盤のパーカションとラップのブレイクなどトラックとしては使い易い。
今回はこの四曲をひとまとめにしてMIXしてみた。参考になれば幸いだ。
Calling For You / Emotion
artist:Lee Pasch
label:TIDY TWO
今回はLee Paschの二曲入りのEPを紹介しよう。この前ご紹介したTIDY TWOの物とやはり被る音なのだがやはり最強クラスのハードトランスとなると紹介しないわけには行かない。ハードワープと非常に相性のいいTIDY TWOはどうにも私らのツボをくすぐる。今回は二曲入りのEPなので一曲づつ紹介していこう。
まずはCalling For You。導入は高速Nu-NRGの音だがブレイクが近づくにつれ徐々にTIDY TWOお得意の音が入ってくる。しかも今回は哀愁色の非常に高い音なのでハードなフロアを演出しつつクラウドを曲に浸らせることの出来る音だ。マイナースケール調の哀愁色の強い曲は疲れたフロアでお酒を飲んだりする時とかでも印象に残ることが多い。ぶっちゃけ言ってしまうとクラウドがまったり引いている時にフロアに投入するといいだろう。次にEmotion。こちらも同じような高速Nu-NRGの音であるがCalling For Youに比べ少々ハードになっている。メインフレーズは単調かつ印象的というワープハウスの基本を忠実に作られている。その中でも目立つのはブレイクでしっかりとわかる無音!ここから押し寄せる音はフロアを持ち上げることは間違いない。ただどちらかというと経験上ピークタイムで使う音より自分のプレイの締めに使うと収まる音だ。程よい持続とつなぎ易さがあるのでDJライクな曲だ。今回はこちらの試聴を作ったので参考にどうぞ。
私のレコード棚に随分TIDY TWOが増えてきた。確かに出来がいいもの多いのだが一辺倒になりそうで怖い…。
Coming On Strong
artist:Signum feat.Scott Mac
label:TIDY TRAX
今回はSignum feat.Scott MacのComing On Strongをご紹介。TIDY TRAXには二年に一回出るアルバム「KEEP IT TIDY」シリーズがある。現在3まで出ているが中でも2の出来が凄まじくトランスとハードハウスを中心とした曲ぞろえは是非ともチェックしていただきたい一品だ。その“2”のなかでTIDYフリークならずともトランスフリークにも納得の大ヒット曲が三曲もある。ひとつはThe GeneratorのWhere Are You Now?。二つ目はTony De VitのThe Dawn。そしてこのSignum feat.Scott MacのComing On Strongである。当方ではThe GeneratorのWhere
Are You Now?は紹介済みであるので今回はこちらを(Tony De VitのThe Dawnについてもいずれご紹介する予定)。上のジャケはDISC1のものでDISC2は所持していないのだが、手持ちの「KEEP IT TIDY 2」にもMIXが完全な形で収録されているので併せて見ていこう。
まずはORIGINAL MIX。TIDYの音の基本ともいえる重いけど単純なキックにディープ系ハードハウスではよく使われるワープ音とぶつ切りにしたヴォーカルが入る。最初は「余りブッ飛んでないなぁ」と思ったがブレイク付近でシンセが入ってくると一気に雰囲気は変わり正統かつハードなトランスとなる。シンセ以上に美しく響くのはScott Macのヴォーカル。それにかけてあるエフェクトも秀逸!この二つの要素を中心にしてあるのだがシンプル且つ濃厚な曲に仕上げるのはさすがSignumとしかいえない。今回はこちらの試聴を作ったので参考にして頂きたい。次にUNTIDY DUB。ある意味もっともTIDYらしいMIXだ。 先ほどのシリアスな展開からは一転アホ度数の高いハードトラックになっている。どう考えてもジュリアナ時代のL.A.STYLEの名曲をスライスサンプリングして作ったと思うのだがこれまた秀逸な出来。Scott Macのヴォーカルは一瞬しか使われず、そこだけうまく飛んだ風になるのも面白い。また、このMIXは「KEEP IT TIDY 2」ではかの天才女性DJ、LISA LASHESがMIXで使っている。しかも前後は彼女を中心に主催されたMIX集である「TIDY GIRLS EP」の収録曲の間にうまく使われている。彼女としてはその辺を生かそうと思ったのかは知らないが全体の構成にもマッチした見本のような使い方だ。そして、「KEEP IT TIDY 2」に入っているHyperlogic Remix。昔にR3嬢が紹介したTIDY VISIONにおいても使われたので実はもっともメジャーなMIXともいえる。曲展開自体はORIGINAL
MIXなのだがORIGINAL MIXの前半にあったようなワープ音などを排除し全体的な美しさだけを残したトランスアンセムと姿を変えている。つまり、ORIGINAL MIXはハードハウスからのつなぎの展開として使い、Hyperlogic Remixはトランス同士の展開として使うのがベターではなかろうか?
この曲を始めハードトランスはTIDYのお家芸と化している。ワープハウスの創始がTIDYであるならハードトランスの創始もTIDYといえるだろう。
Fullmatrix
artist:JEZ & CHARLIE
label:SUNDISSENTIAL
今回はJEZ & CHARLIEのFullmatrixをご紹介。SUNDISSENTIALというレーベルは1999年ごろTIDYのパーティーのEPから始まり、枝分かれして出来たレーベル。いつものTIDYさんのジャケではなく男女のカップルさんが特徴。…まぁ言ってしまえばいつもの音は展開してくれるので普通どうりに使える。ではMIXを見ていこう。
まずはORIGINALMIX。まずオープニングの非常に短く切ったドラムが印象的、そこから少しずつ少しずつ音が足されるという正にハード&ワープ、NU-NRGの基本的な展開だ。ドラムロールの後は変なラップとあほな風船系のぷっぷく音などワープハウスのなかでも「HAPPY」といわれる類のキモチイイ音なのでそれ系のパーティーならいつ投入してもよい。次にFASTFLOOREMIX。Rがなぜか回文になっているがなぜだろう…こちらは更に強烈になったフロア仕様のMIXだ!先ほどの特徴だったラップをサンプリングメインにした変態サウンドを展開する一方ブレイク前後ではトランス風のシンセが入りシリアスな一面も見せる。この辺のブレイクを重ねられるとフロアは一気にヒートアップするという名前負けしないMIXだ。今回はこのFASTFLOOREMIXの試聴を作ったので参考にどうぞ。
このレーベルはパーティーから出たのだが、裏面を見るとこのレコード持ってけばフライヤー割引が受けられると書いてある…でも、こんなかさばる物もってけないよ…。
Such A Good Feelin
artist:Miss Behavin
label:tidy two
UKハードハウスの最重要レーベルとの呼び声も高いTIDY TRAX。今回のセクションではTIDYの曲をご紹介しよう。その一回目はこちらMiss BehavinのSuch A Good Feelin。とはいってもこちらはtidy twoからのREMIX盤、tidy twoはハードトランスを中心とする傾向でハード&ワープにトランスを混ぜるDJにはマストアイテムとなりつつある。最近はtidy twoで絞ったレーベルコンピも出ておりその完成度は全身の毛穴が開ききる程の凄まじい出来なのでチェックしてはいかがだろうか?そんな中こちらのSuch A Good Feelinだがジャケからすると…やはりエグイいがその中身は鳥肌物のハードトランス!ではMIXのほうを見ていこう。
まずはLee Haslam vs.Guyver Remix。基幹はハードワープだけありキックが重い、すぐにスクラッチ的なアホ系の音が来るがそれもTIDYならでは!見ていくと前半は実にハードワープの基本を抑えたトラックになっているが、恐ろしいのはピタリと終わるブレイクから。ズーン!と響くベースドラムにヴォーカルが乗り、言わばCarte Blancheクラスの押し寄せるような上物が襲い掛かる!そして前半のハードワープのラインと合いまり圧倒的な存在感を演出する。今回はこちらの試聴を作ったので参考にどうぞ。続いてBarely Legal Remix。こちらはある意味基本に忠実なハードハウス、最初から全開で飛ばせる疾走感あふれるトラックだ。やはり聴き所はブレイク周辺だろう、突然アンビエント調のクラビが入ったと思うと一転してバキバキの変態サウンドが襲ってくる!しかしコレこそがTIDYがTIDYであるサウンドなので全く問題ない。むしろこういう音が好きな人がTIDYを求めるのだ。
関係ないが今回のコレ、盤面が妙に反っていて普通にかけて針飛びしました…保存状態悪い店はかなりタチわるい…。
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