Ilice's Review (16)



Keep On Dancin'(Let's Go)


artist:Perpetual Motion
label:POSITIVA



 今回はPerpetual MotionKeep On Dancin'(Let's Go)をご紹介。Perpetual Motionはジュリアン、アンディ、MCロウの三人組で、元はCAPERRAのアレンジやMCで頭角を現してきてた。この曲は元はマイナーレーベルからディストリビュートされPOSITIVAで出し、なんと全英クラブチャートにて六位と躍進、当然日本でもかかりまくった。そんなこの曲も元はDOPの「HERE I GO」を上手くサンプリングしてあり、これに倣い色々なDJが真似したのも面白い現象だった。私もその使いやすさから相当この曲は使った、POSITIVAでは一番使ったはず。そんなMIXらを見ていこう。
 まずはBanging Club Mix。こちらがいわゆるオリジナル、わざわざ「バンギン」というだけあり高音効きまくりのハイテンションな曲だ。オープニングから一分程度はオカズ的な音が続き開始と同時に一気に締まる音使いなので初心者でも非常に使い易い。その後の派手で重いメインフレーズを垂れ流しに出来るので即興でも十分使える。ただ中級以上のDJは確実にこの連続したメインフレーズでフェード、スクラッチ、パン振りなどフロアを盛り上げてくる。要するに使い易いが、そのままではラスまでに飽きが来るので注意して使いたい。次にMr.SpringMix。こちらは派手なクラップが目立つワープハウス風味のMIX。 だが、メインフレーズはある程度変えてあるが実は同時期にPerpetual MotionがREMIXしたCLSのCan You Feel Itを上手く被せており、組み合わせて使うと文句なしに面白い。同時にMaryKianiの100%も被った音のMIXあるので更にまわすのも常套手段であった。次にMANSA REMIX。こちらはBPMも少し落としたブレイクビーツスタイルのMIX。よってハードハウスに絡めることは難しい。しかしながら聴いてみてわかるのはメインフレーズのスライスのタイミングがかっこよく、実際のプレイでも上手くフェード出来れば聞きごたえある。相当感度の高いミキサーでないと難しいが練習すると他でも応用できるので参考にしたい。最後にDub Brothers Remix。のっそりしたビッグビート的なMIX。そのくせメインフレーズをぶち込めばKeep On Dancin'に聞けるのが妙な説得力がある。ただ飛び道具にしても変なのでジャンルの違うDJと打ち合わせしないと使いづらい。私もこのMIXだけは全く使ったことがない・・・。
 さてPOSITIVA10周年ということもあり手持ちのごく一部をご紹介した。そんなこの5曲を使ってDJMIXを作ったので参考にどうぞ。
Do That To Me


artist:The Lisa Marie Experience
label:POSITIVA



 今回はThe Lisa Marie ExperienceDo That To Meをご紹介。The Lisa Marie Experienceについては私も何度か触れたことがあるが「世界一の女性ハウスリミキサー」とも評されることが多く、中でもクラブクラシックスサウンドをハウスにリミックス&リメイクすることに評価は集中している。彼女を世界的に知らしめたのはなんと言ってもMusiqueのKeep On Jampin'をハウススタイルに甦らせヒットさせた所にある。当時の流行のサウンドを上手く取り入れヨーロッパ圏だけでなくUS圏でもHITした。その後もかのI Breave In Miracleのリメイクが日本でも流行ったなど確実な仕事をこなしている。今回のDo That To Meも元々はLoleatta HollowayのHeart Stealerを元に作ってある。最強ディーヴァの一人Loleatta Hollowayのヴォーカルをサンプリングしてあるだけありなかなかの迫力だ!ではMIXを見ていこう。
 まずはThe Lisa Marie Vocal Experience Part1、ソウルに近いアプローチで始まるベースラインにラテンを意識したパーカッション。そこにサンプリングボイスと当時の流行の音をふんだんに使い見事まとめている。少しずつアゲたところで止めとばかりにピアノのバッキングのメロディーが始まり面白くなってくる。セカンドのブレイクでは更にシンセのバッキングで更に盛り上げてくれる。ココまで日本人が持つハウスのイメージを注ぎ込まれるとピークタイムに違和感無しで投入できる。続いてThe Lisa Marie Vocal Experience Part2、こちらはLoleatta Hollowayのヴォーカルを中心に据えたMIX。大体のところはPart1と変わらないはずなのに、ヴォーカルの迫力に圧倒され全く違う意味合いで聞ける。特に後半のブレイク中のヴォーカルとサンプリングとピアノの掛け合いは正に鳥肌物!ハウスDJならいまだに使う人も多いことからその使い勝手は推して知るべし!そしてB B Club Remix、こちらはディープかつハードなREMIX、流石はPOSITIVAというべきか?重いベースとドラム、上手い具合に入るサンプリングと出来自体は全く問題ないどころかハードハウスDJにはマストアイテムとして重宝された。特筆すべきは中盤から入るサイレン風シンセ、非常にトランシーな音でフロアに一発良いのを入れたいときに役に立つ。私も最近自身でのMIXでも使ったが全然現役でいける!
 このDo That To Meは私が使ったPOSITIVAのものでも1999と並んで二番目くらいに使ったと思う。中古に並んでることも多いので探してみてはいかがだろうか?
The Nighttrain


artist:KADOC
label:POSITIVA



 今回はKADOCThe Nighttrainをご紹介。何を隠そうこの曲が私の初めて買ったPOSITIVAのレコードだ。そしてこの曲によりUKハードハウスに深くのめり込んだといっても過言ではない。これのリリースが1996年初頭なので私などはまだたった8年程度しか聴いてない事になる…そういった未熟さを考えた時は原点に立ち返るのだが通して効くことが多いのが@社の「ハウスレボリューション」シリーズ。特に41〜49の収録曲のレベルはクオリティ高く、ハウステクノシーンの基本を余す所なく網羅!今回のThe Nighttrainは47に収録されてある。さて、このThe NighttrainだがUKのナショナルクラブチャートでランクインしたことあるほどでUKハードハウスの基本ともいえる一曲だ。ではMIXを見ていこう。
 まずはOriginal。ドラム&ベースラインは全体的にトライバルテイスト、シングルもラテン風味で面白い。上物が入ると疾走感が出てくる、リバースドラムも巧みに操り更に増す疾走感はブレイクで小休止。ブレイク空けは今のトランスに近く、ためてためて放つという波動砲的破壊力!ひとつ残念なのは曲時間が5分程度しかないためブレイク空け後はあっさり終わってしまう。使い方は次回作「You Got Be There」においてこのOriginalのフレーズを丸々使ったNighttrain Mixというのがありセットで二枚使いするのが常套且つ最高の選曲だった。次にAquarius Bullet Train MIX。ハウスリミキサーAquariusによるMIXでラテン調の上物をちりばめたハッピーなMIXに仕上がっている。トライバルな要素をラテンに原点回帰させたMIXと取った方がいいだろう。1996年中盤はラテンハウスがブレイクしたためそれと絡めるとおいしく使えた。そしてSil Vocal Remix。こちらはダークなMIXでがらりと雰囲気の変わった暗めの展開が聞く人を選ぶ。特徴としてはVocal Remixと銘打ってあるがヴォーカルは入っていない!Originalのサンプルボイスだけという優しくないMIX。ベースラインは単調なのでプログレやディープハウスの絡みとして使うと面白い。最後にボーナストラックとしてYEAHが入っている。こちらはハッピーなワープハウス。サンプリングボイスも「YEAH!」と繰り返され、盛り上げにはもってこい。TIDY系のハード&ワープと混ぜても全く問題ないので今でも違和感なく使えるだろう。
 また先ほど触れたハウスレボリューションの1995.1996ベスト盤は良曲を完全網羅しつつも非ノンストップで出来ており基本を抑えるという意味でも見つけ出してチェックしてみてはいかがだろうか?
Musak


artist:TRISCO
label:POSITIVA



 今回はTRISCOMusakをご紹介。TRISCOはDAWSONとBROWSKIの二人によるプロジェクトでこの曲はTRISCOといえばMusakといわれるくらいに知れ渡った曲だ。日本にもこの曲を引っさげ来日、かのサンコレでゲストとしてきたのを我々も行ってきた。プレイはプログレよりだったがハードな選曲で面白かった。二人でDJブースに入りミーティングしながらやってたのも印象に残った。実際はあるプロモーションできたのだがそちらのプロモーション側ははっきり行ってショボショボ!TRISCOのハードさだけが目立ってしまった。ではMusakのMIXを見ていこう。
 まずはORIGINAL MIX。癖のないドラムに古臭いシンセリードが入り曲が始まる。展開自体はメインフレーズの繰り返しだが音全体は少し軽いのでライトなプログレととってもいいと思う。注目は非常にダークなブレイク。怪しい男性ヴォイスも面白くからみ、ブレイク空けは音が十分に足されなかなかすっきり抜ける。しかしながら総じて聞くと使い勝手は少し難しい、前半と使い回しの効く後半ではどっちかに絞った方がいいからだ。だが他の良質なMIXを考えると素材と取った方が早いかもしれない。次にMr.DJ Audio Drive MIX。こちらは音全体にメリハリがついてハードハウス的なアプローチになっている。展開やベースラインは殆ど変わらないのにメロにハリを持たせるだけでココまでダンサブルにするのには驚きの一言!特にブレイク空けに加えられる音が良い!昔のPOSITIVAはこういう音の作品をまずディストリビュートしてたので往年のファンも納得の行くMIXだ。そしてSteve Lawler Remix。この盤においてはどう考えてもこれが最強のMIX、TRISCOも使っていたあたりで最強さが伺える。まず音自体は一気に重く派手になっているのにこれがMusakとわかるのはMusakのメインフレーズをとにかくタイミングよく挿入してくるからにある。そして特筆すべきはブレイク空けの音が押し寄せる感覚。トランスシンセリフとは違いジャングル的な押し寄せ方だ。過去紹介した中ではPraha Presents XineのPachinkoがそれに近い。後半のブレイク後ではデジタルコア的な音もあり、ビッグビートなどとも組み合わせても面白い。色々なスタイルでハードなフロアを演出するには是非とも組み込みたいMIXだ。
 しかしこのMusak、渋谷の某中古レコード屋でやたらに落ちてる。実売¥400なら持っておいて損はない曲だ。持ってない人は渋谷の某中古レコード屋三階に走ろう。
TIMERIDER


artist:DJ QUICKSILVER
label:POSITIVA



 今回からはDJ、クラバー、リスナーに絶対的な支持を持つレーベル「POSITIVA」の曲を紹介しよう。「POSITIVA」というとクラブミュージックシーンにおいてはあまりにメジャーであり、特にハウスに足を踏み入れた人は一度は手に取るレーベルかもしれない。今回はその初回ということもあり外せない一曲を選んでみた!DJ QUICKSILVERTIMERIDERを満を持してのご紹介!今回のこれはプロモ盤でありREMIXのみの二曲入りとなっている。ORIGINALの入った正規盤も出ているのでチェックしてみてはいかがだろうか?ではMIXを見ていこう。
 まずはLange Remix。非常にミニマルの要素の強いオープニングで始まり、ベースが入るだけで重いハウスになる。そこから丁寧なトランスリフの上物少しづつ盛り上がりリバースシンバルと共にブレイクへと抜ける王道的展開!ブレイクでは原曲のサンプリングも顔出し音は荘厳な抜け方をする。わかっててはいても盛り上がる王道サウンドの代名詞といえる。曲自体も8分と長く第二ブレイクもあるので使い勝手は非常に良い。無駄に派手だけのサウンドでない辺りはLangeの真骨頂!是非ともファンなら抑えたいMIXだ。次にKnuckleheadz Remix。こちらは打って変わってハードワープハウスのREMIX。全然違うREMIXが入っていることが多いのもPOSITIVAのレーベルカラーともいえるのではないだろうか?はっきりとした四つ打ちにハードなクラップ、TIDY系の音といえばわかり易いのではなかろうか?展開で注目は妙に変な上音が途中から原曲のサンプリングボイスと絡むのだがこれが妙に合う!どちらも単体だと気持ち悪いのだが合わさると面白く化けるのはさすが!ブレイク以降はサンプリングボイスと新たなグネグネした変態サウンドが絡まり更にハードに展開して本気で盛り上がれる!こちらもハードハウサーには外せない一曲だろう。
 プロモ盤にもかかわらずスタイルの合わせて使えるというDJには嬉しいアイテム。POSITIVAのすばらしさが見える一枚だ。
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