Ilice's Review (19)



Scream & Shout


artist:Stimulant DJS
label:Stimulant Records



 今回はStimulant DJSScream & Shoutをご紹介。最近のレビューを読んで下さった諸兄は少し首を傾げてしまうかもしれない。そう、これは完全にハードトランスである!そもそもStimulant RecordsはNext Generationの傘下である。ライターもBrisk & HAMであるのでハピコアとトランスの親和性をしっかり証明してくれている。では早速MIXの方を見ていこう。
 まずはOriginal Mix。このハードコアに侵食されたページではBPM140でも遅く感じるかもしれない。だがトランス、ハードハウスではほとんどデフォルトなのは最早常識!前半の展開自体はオーソドックス。面白いのはブレイク、妙に長ったらしい。ブレイクパートからシンセが入りそしてハードなブレイク明け、そしてその後はハードすぎず爽やかな展開がハードトランス同士の継ぎとしてとにかく使い易い。セカンドブレイクはないし、アウトロもシンプルなので一本ゆうゆうと使える。続いて、Guyver Remix。Tidy Traxのクリエイターの一人GuyverがNext Generationの曲をMIXするだけで個人的に鼻血が出る!どれだけ凄いかというと…実は初聞きではパッとしなかった。だが実際はとにかく重いアシッドベースと「Scream & Shout」のシャウトが延々くり返される感じ。使い方としては正に持続にぴったりだ!レビュー済みのPaul Maddox feat. Niki MakのSynthosaurusと同じように使えるMIX。この辺にTidy Trax所属のクリエイターのフロア中心の考えに唸らされる。今回はOriginal Mixの試聴を作ったので参考にどうぞ。
 もはや完全にUKシーンに入り込んでいるNext Generation。これからもチェックは外せない!!
Angel Eyes / Gettin Down


artist:Brisk & HAM
label:Next Generation



 今回はBrisk & HAMAngel Eyes / Gettin Downをご紹介。Brisk & HAMはNext Generationのリーダー二人組みでかなり組んでリリースしている。こちらは二曲入りのEPとなっていてやはりタイプの違う二曲が入った使い易い一枚となっている。では早速見ていこう。
 まずはAngel Eyes。言ってしまえば染み渡るような哀愁のトランスコア。オープニングはドラムンベースのようなサウンド、四つ打ちのイントロが入ると共にかわいらしいヴォーカルが哀愁サウンドと相まってぴっしりはまる。ブレイクでまた最初のサウンドに戻り後半は変態サウンドにピアノブレイクビーツとおいしいところ総取りの構成だ。BPMは普段は170、ブレイクの所は160程度なのでうまく調整するとハードトランスとうまく組み合わされる。哀愁、Angel、ネタモノは誰かさんのツボなので試聴を作ってみた。参考にどうぞ。もう一つはGettin Down。昔からこの手のタイトルは実によくあるタイトルであるが、こんかいのこちらはクールなハードコア。哀愁サウンドを取り入れつつハードな展開がアツイ!ベースラインはハードハウス的だがBPMは168程度のハードコア、この辺のBPM調整うまくすればどんなシーンにも使えるだろう。シンセリフこそ最近風だが根幹はドラムロールバキバキのハードスタイルなので昔の物とも合わせ易いというようにとにかく使い勝手に特化しMIXと仕上がっている。後先になってしまったがAngel Eyesの試聴を作ったので参考にどうぞ。
 ハードコアに特化した一枚、食わず嫌いをせずに、是非食指を動かしてみてはいかがだろうか?
Believe In Me


artist:DJ FADE feat.Kelly
label:Blatant Beats



 今回はちょっと古めでDJ FADE feat.KellyBelieve In Meをご紹介。リリースは2000年でBlatant Beatsから。Blatant BeatsはNextGenerationの兄弟レーベルでこの頃は特に哀愁色の強い突き抜けるようなハードコアが多く、ユーロビートから乗り換える人が多かった。そんなこれも哀愁ユーロに突き抜けるようなハードコアの要素を持った哀愁好きには避けて通れない一枚だ。ではMIXを見ていこう。
 まずはBelieve In Me。某音ゲーで大人気のハピコアでも使われているハピコアの基本の四つ打ち+三連のキックは忠実なのでとにかく使い易い。だがなんといっても目立つのは爽やかなヴォーカル!それにまた爽やかなピアノブレイクビーツが合いまり、心のそこから開放感が味わえる正にハッピーなトラックとなっている。使い方としてはハードコアのパーティーであっても明け方の方がしっくり来るだろう。次にB面のVortex。こちらは音が硬くハードな展開。先ほどのBelieve In Meが開放感ならばこちらは緊張感が味わえる!それほどまでに意味合いは違う。ベースラインもどちらかというと今で言うトランスコアのようなキックとハイハット。そして絶妙なフランジャーが更なる緊張感を醸し出してくれる。ハードコアのピッチアップしてテンポを上げるプレイにも文句なく使える。正直全く古い感じがしなく今的な音、是非とも体感していただきたく試聴を作ってみた。ハピコアの面白さを更にわかっていただければ幸いだ。
 ちなみにDJ FADEはこの頃を境にトランスを作り始めたが、最近はまたハードコアに戻ってきている。「トランスコア」という新たな活路を持って…。
Remembering The Time


artist:DJ HAM
label:Next Generation



 今回はDJ HAMRemembering The Timeをご紹介。DJ HAMはNext Generationの双璧とも二台巨頭ともいえるハピコア界の重要人物である。ダンスマニアスピードシリーズの曲紹介にもたびたび出てきているのでライト層でも知られている名前だろう。ただハピコアも彼の一面でしかないのは今回の一枚を見ればわかるだろう。ではMIXを見ていこう。
 まずはRemembering The Time。ハピコアであるのだが今やこの系列の音は「トランスコア」と呼ばれる。ハードコアのリズムにトランス的上物が乗った物で、トランス畑の人間を上手くハードコアに引き込む原因となっている注目の音だ。展開はトランス的でもちろんブレイクもある。そう!このブレイク開けの音が凄い!音自体は三連のアルペジオなのだがシンプル且つ断続的に続き、高速BPMで正に音が押し寄せる感覚を存分に味わえる。トランスでも無理やりピッチアップして調子に乗らせる某イベントのDJとは違い、高速BPMに併せて調整してあるのでそのままでも更にピッチアップしてもおいしく使える。次にB面のLet Them Know。こちらは変わってドラムンベースのトラックとなっている。割かし基本に忠実でドラムンベースを知らない人には「これがドラムンベース」と指示できる。またコレを33RPMでかけるとかなりカッコいいビッグビートとしても面白く使える。言ってしまえばこれまたBPMをどう幅つけても使える曲と思ってよい!実に実践的な一枚だ。
See Me Climb


artist:Stealth
label:Next Generation



 今回のセクションではハッピーハードコアを紹介しよう。その中でも特に日本において人気の高いNext Generationに絞ってみていこう。Next Generationを知るのに最もいいと思うのはこの前R3嬢の紹介した「Happy Ravers」がいいだろう。いいとこ取りで28曲入っている。今回のコレはNext Generationとその兄弟レーベルBltant Beatsのダブルネームでの作成となっておりハピコアファンなら外せない一曲といえるだろう。ではMIXをみていこう。
 まずはStealthSee Me Climb(DNA MIX)。一般的にハッピーハードコアの持つ高速BPMとピアノブレイクビーツをしっかりとフューチャーしたMIXだ。しかし途中、ピアノの心地よい音に混じってグネグネした変態サウンドも上手く混ざってるので使い方には気をつけたい。考え無しにつなぐとMAKINAにもってく他なく一気にフロアが転換するので注意が必要だ。次にB面はHam & DevastateSwing & Shout。こちらはハイスピードのドラムンベースとなっている。基本的にハッピーハードコアをするDJはドラムンベースもすることが多い。一見違うように見えるがハッピーハードコアもドラムンベースも元は同じハードコアテクノを親を持つのでそこから両方やる人も多いのだろう。またどちらもクラブミュージックの中では高速BPMのジャンルの代表格なので単純に捉え易いのも見逃せないだろう。どちらのジャンルもフロアではもう少しピッチアップするのが定石、テンポは速ければ適当やっても違和感なくいけるときあるのだ。そんなでこちらの曲だが前半はダーク且つ不規則なテンポ…単純にカッコいい!ドラムンベースはリズム取るのが何より楽しいのがわかる一曲だ。ふと、心地よく楽しんでいると突如四つ打ちのレイヴサウンドがいきなり出てきて戸惑ってしまう。だがそれに上物が加わりいつしか元のサウンドに戻る…不思議な感覚であるが納得してしまう。ドラムンベースの自由な魅力に引き込まれるのには十分なサウンドだと思う。
 ハードハウスにハードトランスが好きなら間違いなくはまるハッピーハードコア…私も更にはまりそうだ。
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