Ilice's Review (22)



Sampler 003


artist:V.A
label:A State Of Trance



 今回はA State Of TranceSampler 003をご紹介しよう。レーベルなり、アーティストなりアルバムやMIXからまとめてシングルカットするのは定石。かのTiestoもNyanaで出しており、DJならMIX以上にSamplerの重要度は高い。実は3つのレーベルからディストリビュートされており、三曲タイプ違うのが入ってて面白い。では早速見ていこう。
 まずはWhirlpoolUnder the Sun(Solarstone Remix)。元はUKのDEEP BLUEレーベルから。このレーベルはうつくし系では固定ファンあるので有名だ。もうリミキサー見て解るとおりSolarstoneによる物、私自身これ目当てで買ったのだがやはりいい。オープニングから重い、それでいて美しいウォームパッド。その流れるような旋律は脊髄に沁みこんで来る。特徴的なのは薄く入ってくるヴォーカル。主役ではなくささやきのように入るのだが爽やかな潮風を聴いているみたいだ。そして主役はナイロンギターのストリングス!それにシンセのシンコペーションが上手く絡まり調和されている。盛り上がりでは当然ない。なんせこの水に浮くような心地よさは半端ではない!これについてはもっと新たな使い方を考えるべきではなかろうか?MIXCDの前半やいっそ一曲目みたいに意外な使い方もいいと思う。まだまだ面白さも沸いてくる一曲だ。続いて、Remy & Roland KlinkenbergFearless。Bleeps & Buzzesのディストリビューション。こちらは出入りはリズムこそ変則的だがバスドラムは四つ打ち、変則的なディープハウスだ。ディープハウスだけありシンプルにそして重く進む。曲中は喘ぎ声みたいなサンプリングなどが散りばめられ面白い。ちょっとゲーム的か…?しかしブレイクの上物が入ると思った以上に盛り上がる。終盤は結構渋めのプログレッシブハウスに化けてたりするのでもちろん転換飛び道具。こちら系のプレイなら持っておきたい所。そして、Mark DttenTranquility。Armadaからのカットとなっている。最後にしてA State Of Tranceを十分に堪能できる。前半一瞬の無音からの飛ぶ音で一気にテンション上がる。そうかと思うとブレイクはあまりに美しい…うねるようなシンセのリードが正直たまらない!!そこから一歩づつ段を上がるように展開する。上がりすぎるでなくダンサブルかつ美しい展開。聞いてて自然に首でリズムがとれる。上がったりもあり持続もある。よって、使い方もかなりオールマイティに使えるのではなかろうか?
 ぶっちゃけ、2004のトランスで最強の一枚ともいえる!確実なチェックをしたいところだ。
New Horizon


artist:Absolute
label:A State Of Trance



 今回はAbsoluteNew Horizonをご紹介。M.I.K.E.のプロジェクトで、数あるA State Of Tranceの中でも個人的お気に入りとしてズバリこれを挙げたい!私がトランスで特に好きなのは歌無しのインストものだ。絡み合うフレーズと位相のマジックはクラシックにも通じていると思う。そうそう、誤解されると困るのだが歌物が嫌いではない。歌は説得力がありすぎるのでベクトルを変えて最近は考えている。少し話はずれたが、こちらはどうにしても今の構成に食い込むような一曲、早速MIXを見ていこう。
 まずはOriginal。単純な四つ打ちに絡むベースとシンコペーションが曲を通して使われる。そこに目立つのはインベーダー打つようなピコピコ音。怪しいようでこれが凄く良い!!全体通して目立つので継ぎに絡めやすくロングミックスの時武器になるだろう。ブレイクは繊細な音使いでアゲに行くというのではなく、本当に一拍置くような仕様なので一曲丸々使っても違和感はない。ど真ん中に使うわけには行かないが、それ以外ならどこにおいても良い具合で使えるだろう。ラストに持ってきても、アウトロがしっくりしてるので問題なく使える。続いて、Electrique Remix。セルフREMIXなのだが本当にエレクトロニカになっているわけでなく、綺麗系トランス。実際の所ピコピコした音が全体に散りばめられただけで展開もほぼ同じ。だが実際の所、結構音が硬くなっておりハードトランスに向かうような場面では俄然使い易い!その逆、ハードトランスからトランスに行くという時も勿論使い易い。そうこちらは継ぎの飛び道具として使うと面白く使える。つまり、この一枚はピーク以外どこに使っても良い物!!困った時の一曲として重宝する。
 意味合いとしてはかなり実践的な一枚。MIX練習用としても押えてはいかがだろうか?
Forbidden Colours


artist:True Form
label:A State Of Trance



 今回はTrue FormForbidden Coloursをご紹介。ベーシックながらも手放せないそんな一枚を今回チョイスしてみた。ベーシックながらも、ドロップされるような重い音が特徴的だ。もっとも超泣きや派手なのだけでは構成できないのは最早常識!早速MIXを見ていこう。
 まずはOriginal Mix。四つ打ちキックにみょうなアシッドシンセが面白いオープニングだ。そこからは子気味良く音が絡まり進んでいく…だが実際の所は結構古臭く、98年くらいのトランスの構成だ。原点回帰がテーマと見える感じだが広大な盛り上がりはなくシンプルに収まっている。よって、やっぱりプレイの前半に持ってくるのが丁度いいだろう。そこから少しずつ盛り上げていくのがいいだろう。続いて、Tomas Datt Remix。こちらは一転して今の音。シンプルなシンコペーションを絡めメインフレーズをつづる展開。A State Of Tranceらしいトランスにバレアリックテイストを加えた流れるようなメロディーは哀愁好きにはもってこいだ。歌のないインスト物というのもポイント高い。Voice Of An Angelなどの浸りの歌からの持続、そして締めというような要所と要所を支える連結器のようにして使うのがいいだろう。
 古さと新しさが去来する一枚、大局的にトランスを見据えていれば面白く使える一曲 だ。
Somewhere / Clear Blue


artist:Markus Schulz presents Elevation
label:A State Of Trance



 今回はMarkus Schulz presents ElevationのEP、Somewhere / Clear Blueをご紹介。A State Of Tranceの中でも青い盤は哀愁色が強くツボにはまることが多い(なんとなくだが…)。今回もタイトル負けしてない泣きの良質トラックだ。早速MIXを見ていこう。
 まずはSomewhere[Clear Blue]。ハイハットとシンセパッドのか細いシンプルなリズムのオープニングからの重いキックのイントロにまず驚かされる。驚かされるといっても染み入るような美しいリズムにすぐにはまれる。そして一体になれるようなパッドのブレイクで入るのはJustin Suissaによる透明感のあるヴォーカル。冷えた水晶を玩ぶ様な心地よさがありブレイク明けもすんなりおとなしく入れる。更にMatt DareyのNocturnal Delightをサンプリングした様な心地よい上物にそのまま入り込んでしまう。いい曲を聴くと時間の流れを忘れる物だ。時と一体になる心地よさを知りたいなら迷わずお勧めだ。使い方としてはバレアリックハウス、アンビエントに絡めるのが通例だろう。ボーカルのよさからバレアリックアンセム的に捉えることが出来ればこの曲に朝方は任せていいと思う。続いてClear Blue[Airwave Remix]。前者の曲のヴォーカルを抜いてAirwaveがMIXをしたものだ。当然であるが派手になっているがド派手ではないのでそこそこ使い易い。オープニングはトランスらしく簡素。イントロにはフランジャーとパン振りが多用されている。ユーズにはこの辺ちょっと使いづらい…だが、エフェクターない場合はいいので、初心者は使い方を教授してもらうつもりで流してもかまわないだろう。だんだん上がってきてブレイク、そして「彼らしい」ブレイク明けは予想どうりの期待。その後の展開もシンプルな構成なのでAirwaveやFire & Iceとかが好きな人は選曲に違和感が無いはずだ。
 表と裏では随分感じが違うのでユーザーによっては大きく評価が分かれるところ。しかしSomewhere[Clear Blue]に関してはかなり良い!!私の中ではCome Around Againと共にA State Of Trance屈指の名曲だと思う。
Time To Say Goodbye


artist:ENVIO
label:A State Of Trance



 今回からはA State Of Tranceに絞ってご紹介していこう。ARMADAの傘下において抜群の人気を誇るレーベル、美しいトランスを出すことにおいては最早他の追随を許さないとも思える。このサイトに来る方にもファンは多いだろう。全体的に使いやすく、それでいて浸れる曲がそろっているため私も既に構成になくてはならないレーベルになっている。毎回の如く五曲では説明しきれない気もするのだが、2004辺りの最近のものを中心にレビューしていこう。
 初めの今回はENVIOTime To Say Goodbye。タイトルからしてARMADA総統の超有名曲「The Sound Of Goodbye」がよぎる。それのアンサーソングとしてもとれそうな感じだ。そんな魅惑の一曲を見ていこう。
 まずはOriginal Mix。先に言っておくと歌のないインスト物だである。オープニングこそ正直ありきたりなのだが、イントロはよく聴くとある音が入っているのがわかる。メロのパートにギターが使われている。ありそうであまりなかったが哀愁のバレアリックサウンドに泣きのギターのリフが美しくマッチする!ブレイク明けはそのままシンセとギターリフが絡み合い本気で泣ける!繰り返しが多いので上手く途中でエフェクトかけたりすると可なり締まる。フロアに泣きを入れたいならオススメだ!続いて、Passiva Remix。こちらはアッパーバージョン。全体的にアップリフティングな雰囲気だ。ブレイク明けまではいいテンポで進みブレイクは長めに浸らせる。しかし、イマイチ全体を聞くと残らない…それはブレイクには先ほどの泣きのギターがあるのだが、ブレイクが空けると一切なくなり、やらなきゃいいのに派手に展開してしまう。結構食傷な展開で残念だ。ただ、前半の出来は秀逸なのだから、トランス→朝系の切り替えで使ってみてはいかがだろうか?ブレイクで切り替えてバレアリックハウスなど…いや、むしろOriginal Mixに切り替えればいいのではないだろうか?
 何にせよ、朝系で攻めたい人は抑えたい一枚である。
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