Ilice's Review (24)



Are You Serious


artist:Stimulant DJs
label:Tidy Trax



 今回はStimulant DJsAre You Setiousをご紹介しよう。こちらは2001年の曲なのだが、買い逃しに買い逃した末、今年最後に遂に入手!!今年中盤に手に入れたリメイク「Serious Hardcore」とで嬉しい拾い物であった。Stimulant DJsは前も書いたが正体はBliskとHamの黄金コンビ。Serious Hardcoreは元名義にしている所がハードハウスとハッピーハードコアで名義住み分けしているのが見える。正直今更レビューするの?というくらいの有名曲なのだがMIXを見ていこう。
 まずはOriginal Mix。非常にTIDYのサウンドらしいオープニング、そこからネタ満載のサウンドのアホ系NU-NRGとなっていく。しかしそれらはブレイク開けに来る一度聞いたら忘れないメインフレーズと「Are You Serious!!」のシャウトの添え物!それほどまでに強烈なワンフレーズの破壊力は凄まじいのだ…。他にも上手すぎるBPM変化やつなぎやすいアウトロなど、どこをとってもフロアユースの一曲だ。続いて、Paul Glazby Remix。こちらは更にTIDYのスタッフが手をいれた激ヤバトラック!Original Mixとはベクトルの違うハードワープ、もちろんメインフレーズと「Are You Serious!!」のシャウトを中心に取り入れて面白くREMIXしてある。特筆すべきは強烈にアレンジされたブレイク。押し寄せるような手法に変えられたメインフレーズがフロアを直撃する!全体的に更にこってりコテコテの一曲になっているので場合によって使い分けたい。
 ちなみにSerious HardcoreはOriginal Mixのハードコアリメイク。展開や上物は同じだがBPMはもちろんベースラインもエッジの強さも全てハードコア!!当然単なるBPM上げての収録ではないので使い方は全然異なるので注意。
 なんせ欲しい曲が最後に手に入ったのはただただ嬉しい。欲しい物を手に入れた時の醍醐味を知るからアナログ収集はやめられない…。

CQ / So Please


artist:Enmass
label:A State Of Trance



 今回はEnmassのEP、CQ / So Pleaseをご紹介。2004年はA State Of Tranceを大分買った…基本的にどれも外れなしだったが前回紹介しきれなかったこちらもご紹介。A State Of Tranceの28番は両面でインストと歌物の使い易い構成で、どちらもバランスが取れてて非常によく作られている。早速MIXを見ていこう。
 まずはCQ(Seek You)。お得意のおとなし目のインストトランス。一見聞くと今ひとつだが、実際は音が複雑に絡み合わさり一見しただけではそのよさは解らない。日本産トランスだと、派手な音を重ねすぎて悲惨な出来になっているのが大半だ…。しかしここはさすがA State Of Trance!主眼の音に綺麗に絡みつく…そうスピーカーによって大きく印象が変わる。ミニラジカセ程度のスピーカーだと微妙だがクラブなどの大型スピーカーで上手くパン振りしたりするとフロアに独特の浮揚感を演出できる。試聴したときは良かったが家で聞いてショボい時はこういうパターンなので気をつけるべきだろう。
 続いて、So Please。こちらは伸びやかなヴォーカルトランス。主役をヴォーカルに絞り全面に展開している。構成としてはLangeのDrifting Awayのような感じ、ブレイク&サビでシンセサウンドがメインになるあたりも思い浮かべてくれると話は早い。音自体はもっと寂しげなバレアリック的展開になる。哀愁サウンドはブルーのイメージから冬に合うサウンド、冬のフロアだと強烈な曲だ。また、非常にヴォーカルが伸びやかで後半ソロまである、よってピッチシフトでトーン変えてしまうとせっかくのヴォーカルがショボく聞こえたので注意したい。
 どちらも環境によって癖があるので注意したいところだ。
Stranded In Paradise


artist:Alex Gold
label:Xtravaganza



 今回はAlex GoldStranded In Paradiseをご紹介。最近になって精力的にリリースを続けるXtravaganza総帥に注目していこう。LA Todayがイマイチでそれ以降滞っていたがこのところは勢いが戻っている、いや増している。2004年になって面白くなったレーベルとして更にマークしたい所。では早速MIXを見ていこう。
 まずは12"CLUB MIX。バレアリックハウスというよりは音が派手、だがトランスとしては非常に心地いい。130BPMのミドルテンポなので実際は少しピッチアップするべきだろう。実はここがキモ!ヴォーカルは低い男性声なのだが、少しくらいピッチアップしても全然フラット!私などみたいになるべくバレアリックハウスで締めたいDJは、(仕方ないとはいえ)派手なピッチアップを嫌う所だろう。そういったところで上げ調整したトランスセクションをこの曲を入れて締める。その際にブレイク辺りでそっとデフォルトBPMに戻せば驚くほどあっさりバレアリックハウスなどの朝系の展開に持ってこれる。これは展開として嬉しい。もちろんトランスのおとなし目の持続としても使える。非常に実践的なMIXだ。次にAgnelli & Nelson Mix。こちらはオープニングはまんまChicane。ニヤリとしそうだが、始まるドラムは結構はっきりしている。派手な音ではないがアシッドサウンドも入り最初聞いたときは戸惑った。よって、バレアリックハウスの中でも少し派手な部類。ダウナーから盛り上げていく時はもちろんだが、オープニングや盛り上げ前なども結構しっくり来る。決して主役には持ってこれないが持っていると役に立つ一枚といえる。
 しかしジャケが…どうも再生紙っぽい安ジャケになってしまった…。毎度ながらなんともいえずこれは悲しい。
Travels


artist:Estuera
label:Black Hole



 今回はEstueraTravels(EP)をご紹介。そういえば、Black Holeご紹介するのも久々になってしまった。もちろん嫌いな訳ではないのだが機会がなくて…まぁこう出したので許していただきたい。Estueraの正体はJonas Steur。私も全くノーマークであったのだが、2001より活動始め、Ian Van DarlのアルバムACEの参加してたりとこつこつとリリースするタイプのようだ。こちらも公式サイトで機材紹介しているが、一般人でも下手すると持っている程度の構成で曲作るあたり、かなりのテクニシャンともいえる。今回のアナログは二曲組み、では早速曲の方を見ていこう。
 まずはTravels。びっくりするのは一瞬Safriduoのような怪しいオープニングクラップ。戸惑うがイントロ行くまでには収まってBlack Holeレーベルらしい落ち着いたベースになる。そこから入るのはホーンアルペといきなりの2STEPサウンドにトランス系シンコペーション。それがブレイクとなりその後はバレアリックテイストのサウンドで進んでいく。セカンドブレイクの明けはどちらかというとダッチトランスに近い。さて、こう書くと取り留めない構成のようだが、実は曲が12分近くと長く最初から聞くとさながらDJプレイのようだ。Travelsの名の如くスカンジナビアからロンドンまで旅行したようなサウンドは面白い試みだ。ただ使うのは少し骨が折れる。バレアリックから締めのような感じなら上手くいきそうだが…。続いて、裏面は7 Clouds。「7 Clores」のパクリか?とも思うがちゃんとしたオリジナルだ。一見すると、曲自体は割と普通のトランスでそんなに派手でもない。しかし試聴の段階で聞いていくうちにこれをレジに運んでいた…実はこの曲後に行くにしたがって少しづつ少しづつ上がってくるのだ!するめがかんでいくと味が出てくるようにこれはあとから効いて来る!!つまりおとなし目のバレアリックからトランスにもって行きたいときに重宝する一曲。ケース的にこういうDJプレイはやったことなかったので新たな布石として買ってみた一枚だ。
 そういうわけで今回の一枚は現場的見地でもひねくれた一枚。CDSでは出そうにないなぁ…売れる気がしません(面白いけどね…)
Possibly // Carte Blanche


artist:Guyver // Euphony
label:tidy two



 今回からは2004後半(9月以降)の購入の中でも特にオススメなのを独断であげていこうと思う。この当たりで私が買っているのはハードハウス、ユーロトランス、ハードトランス、ハッピーハードコアといった所。まず勢いのあったのはやっぱりtidy two!29番のTake Offを皮切りに全く勢いが衰えなかった!!実際の所は初頭に出したMIXアルバムResonate 4の収録曲を小出しにした感じでもあるのだが、ここまでヤバイの多いとそういう手抜き論もバカバカしくなってくる。@社のサイバートランスでも収録される事からビギナーにも人気が高く、アナログは奪い合いの感が強かった。なかでも待ちどうしかったのが今回のこちら!そうあのCarte Blancheのカバーである。奥付見ても正式にMoor Musicがクレジットされているので正式なREMIX扱いで問題ないだろう。今回は二曲入りのEPとなっている。一曲づつ見ていこう。
 まずはPossibly。Guyverによるおとなし目のハードトランス、BPMも135程度で最近のハードなのに慣れていると遅く感じてしまうかもしれない。音自体は四つ打ちに綺麗目のシンセが乗っかる感じ。おとなし目といっても音自体はバレアリックサウンドに近くブレイクもブレイク明けもおとなし目…そう音の転換にはぴったりの一曲だ。でもハードトランスからバレアリックサウンドは少し難しい気が…。続いてCarte Blanche。EuphonyというのはGuyverとLee Haslamの強烈ユニット。最近はレーベルパーティーでもメインをはるという…一度見てみたいものだ!実を言うと、作り自体はほとんどオリジナルと変わらない。但し音が重い!!そしてあの泣きのフレーズとブレイク明けもオリジナルの良さを全く損なうことなく音は重く作り変えている!更に追加要素としてハードコア的なフレーズが追加されている、これがマジでカッコいい!!しかもそこにあのイントロが絡んでセカンドブレイクへ移行という怒涛の展開。正に究極の2004版Carte Blanche!オリジナルが好きな人もハードハウス&トランスが好きな人もハードコア好きもチェックすべき!とりあえずは公式サイトで試聴可能なのでチェックしてはいかがだろうか?
 しかしジャケが綺麗な白で上手く取り込めませんでした…。
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