Ilice's Review (26)
Superstrings
artist:Cygnus X
label:Radikal Records
今回はCygnus XのSuperstringsをご紹介。仰々しいタイトルだが、当然、Cygnus Xの代表曲でトランスフリークならば決して外してはいけない一曲だ。有名なのはもちろんXtravaganza盤だが、他にも色々出ているのを確認している。こちらは最後発のRadikal盤。曲数も四曲と揃っていて使い易い。では早速MIXを見ていこう。
まずはOriginal Version。BPM150程度のリズミックなバスドラムに少し驚かされる。そう、トランスにしては若干速めだ。展開としては、シンプルなリズムパートに少しづつ音が足されて構築していくというACID初心者的な展開。もちろん軽妙な音の使い方はプロの技である。リズムに慣れてきた所で入る絶妙なシンセのストリングスが当然この曲のキモ!!見事にパン振りされた位相は一瞬でフロアを支配してしまう!しかし、今や全体で見ると簡素な印象が見える。使いどころとしてはバレアリックサウンドを絡ませた、朝系チルアウトなどに力を発揮するだろう。次に、Future
Breeze Remix。最初に言っておくとOriginal Versionのブランシュアップバージョン。展開自体は同じだが、音は俄然派手になっている。シンプルなリズムパートはメリハリが付いてはっきりした。シンセの入りはブレイクを設け壮大になっており、シンセもエフェクトやゲイン調整をつけて押し寄せるトランスサウンドに変化している。こういう風に書くとダメ評価と思われてしまいそうだが、このMIXは非常に使い易い!!実はBPM調整がしっかりなされBPM135程度のMIXとなっている。そう、速いままならいわゆるアゲ系サウンドだが、調整が完璧なためハードダンスの締め際に持ってきてもかなりしっくりくる!Future
Breezeというと派手イメージもかなりあるが、結局は自分のスタイルのバランスを考えて、REMIXしているあたり侮れない。続いて、Rank 1 Remix。やはり有名なのはこれか…。こちらは全体的に飛び音満載のMIX。メインのために生み出されたと思っていい。やっぱり、ブレイク明けなどの派手さはこれが一番ある。なんだかんだで、こういう音はクラブで聞くと映える。私がクラブ行った時もかかっていて、ついついハイになったMIXだったりもする…。Rank
1好きなら是非とも押えて然るべきMIX。最後にRank 1 Deep Dub。実は今聞くとそんなにディープな音ではない。どちらかというとUSハードハウスに近いフィーリング。しかしあくまでメインのシンセをのっける辺りは彼ららしい。これがなんとも悪い…。なければプレイの前半に持ってくるMIXとして使えたのだが、このシンセストリングスが目立って、なんとも演出しがたい空気になる感じだ…。もっとも、これを消したら「Superstrings」というタイトルの意義が怪しいので仕方ないことかもしれない…。
こんな感じで五曲紹介してみた。どれも新譜でも買える時あるし、中古屋にも結構流れているので、最近入った人も逃している人もチェックしてはいかがだろうか?(こればっか…)
Can't Keep Me Silant
artist:Angelic
label:Serious Record
今回はAngelicの代表曲Can't Keep Me Silantをご紹介。AngelicはDarren TateとJudge
Julesのプロジェクト。彼らがイビザのアムクレイドでイベントプレイした際にはSystem Fですら前座を務めたほどのお化けプロジェクトとして知られる。当然、いくつかのレーベルからリリースされているがオリジナルはSerious
Record盤である。何気にそのSerious Record盤が一番充実している気がするのでこちらをメインに見ていこう。
まずは12"Original。静かに始まるのではなく、しっかりと組まれたベースラインが印象的だ。そこから泣きのシンセパッド!出来た構成は正に全部つなげと言わんばかりである。そして、ブレイクと共に入るAmanda
O'Riordanのヴォーカルがまた素晴しい!!フロアを優しく包み込んでくれる。そしてブレイク明けでは、この曲を象徴するあの上モノ飛んでくる辺りも全く隙がない。今聞いても、エピックハウス〜トランスのお手本のような構成。使い方は様々にいけるので前後の選曲が重要になるだろう。続いて、Judge
Jules Remix。オープニングは一転してディープハウスに近い。ベースラインは四つ打ちであるが、ドラムンベースにも通じる重いベースが一種の異次元空間を演出している。しかしこれがOriginalのヴォーカルとメインフレーズに良く合う!!びっくりするくらいしっくりくるのだ。こうなると一気にプログレへの飛び道具として機能する。もちろん、そういうディープな時間から逆に持って帰ってもいい。二枚使いでオリジナルにつなぐなどのテクニックもフィードバックできるアツイMIXだ。そして、Sionix
Remix。一転して無機質な音使いに混乱してしまう。意味合いとしては、ブレイクビーツのDUBと考えたほうが早いかも知れない。それほどまでに性格が違うMIXだ。無機質なブレイクビーツに入るヴォーカルも、タイムスライスによりかなり加工されている。よって、原型は見え隠れするが、全く別物なのでネタとしての意味合いが強い。ブレイクビーツ混同や、テクノ混同のイベントで橋渡しに使うのが安全策か?
実際、中古でも2.3のレーベルで見かけた。そういった意味でもまだまだ中古で抑えやすいのでチェックしてはいかがだろうか?
Love Will Come
artist:Tomiski feat.Jan Johnston
label:Xtravaganza
今回はTomiski feat.Jan JohnstonのLove Will Comeをご紹介。2000年の哀愁トランスの大本命として知られる本作、天才ヴォーカリストJan
Johnstonとの協力コラボにより未だに他の追随を許さない。王道コンピレーション「Trance Nation 3」でも大きく時間をとられていたのでも有名だ。先ごろR3嬢が状態のいいのを譲ってくれたためレビューしておこう。
まずはAirscape Dub Mix。なぜかアナログでは表記が先に来ている。オープニングは結構シンプル。そこから入ってくる上物がどことなくCarte
Blancheのイントロを意識した音になっている。ブレイクはそんなに目立たないのでこの音が繰り返される感じ、疾走感はたまらないものがある。実際Carte Blancheとつないでも持続として効果は高い。セカンドブレイクで切り返して更なる揺り返しを図りたい。また、本音としてトランスに特化したDubmixも割と少ないので押えておきたい所だ。続いてOriginal
mix。やはりメインはこれだろう!納得いく究極の完成度を誇るOriginal mixだ。オープニングから少しづつ音が絡んで上がってくる…そしてJan
Johnstonのヴォーカルが絡んでくる!その一度聞いたら忘れないサビは圧巻!特別盛り上がる音ではないのに耳に残る…一つのストーリーを表現しているのだろうか…。かと浸っていると絶妙なリバースドラムでリフレッシュされもう一度サビに揺り動かせられる。エピックハウスとバレアリックハウスの良いとこ取りかつ完全昇華させられた一曲はフロアだけでなく、リスナーにも指示されるのもわかる。是非とも良さを再確認していただきたい一曲だ。
意味深なタイトルにはまらない程度にはまっていただきたい。愛情はいずれは来ない…得て与えるものだからだ。
Someone
artist:Ascension
label:CODEBLUE
続いてAscensionのSomeoneをご紹介。CODEBLUEはジャケのよさからも人気が高い。そのCODEBLUEより2000年のリリースしたのがこちら。この辺のCODEBLUE発はほとんどが押えて然るべき曲ばかりだ。無論こちらもそう。そのジャケットは海辺を歩く子供と月が神秘的な印象を与える。内容はもちろんしみいるバレアリックサウンド!どちらもRemixだが、どちらも隙のない内容だ。では早速見ていこう。
まずはThrillseekers Remix。オープニングからクラップが入りかなり凝っている。そしてすぐに始まるメロディーはまさにバレアリックサウンドの王道かつ真骨頂!そしてそこにKate
Cameronの艶っぽく透き通る声が見事にマッチしている。フロアに朝の息吹を入れ込むようなサウンド…正に朝にはぴったり!程よくチルアウトできるだろう。続いてBinary
Finary Remix。この時は1998、1999、2000と立て続けにヒットし最も脂の乗っていたときであった。バレアリックサウンドよりトランスの要素が強くなっているのが特徴。中でも注目なのがDarudeのSandstormをサンプリングしたようなサウンド。これが妙に透き通るヴォーカルと合っている!正にMIXの妙技といえる技だ。明らかに前者とは使い道が違うので当然研究が必要だ。場合的にはダウナーに落としていくのがいいのではないだろうか?
どちらにしてもバレアリックサウンドを主とするなら絶対に抑えておくべき一枚だろう。
Liberation(Temptation-Fly Like An Angel)
artist:Matt Darey presents Mash Up
label:Incentive
実はこのサイト開設して三年以上経過している!!三年というと高校生活が終わっている計算だ!!よって、今回からは初心に帰るつもりでトランスの中でも名曲中の超名曲をご紹介していこう。これから興味を持った方にはもちろん知って欲しい曲であり、反面トランスフリークは知ってて当たり前の曲ばかりということだ。どちらの方々にも頷いて読んでいただければ光栄の至りである。さてその一回目はMatt
Darey presents Mash UpのLiberation(Temptation-Fly Like An Angel)。発表は1999年!!今でも使用に耐える出来なのに、もう十分にクラシックというのも驚きだ!では早速MIXを見ていこう。
まずはOriginal Mix。音がバスドラムにベース、リードと少しづつからまっていくトランスの原点ともいえる展開にすぐに浸ることが出来る。こういった構築性が今までクラブミュージックを聞かなかった人がリスナーとして増やしたのを改めて納得させられる。ブレイク後も構築されたフレーズが気持ちよく流れていく。今でも十分持続で使えるサウンドだ。続いてMatt
Darey Remix。こちらは本人によるセルフリミックスと取ってもらってよい。Original Mixを中心に構成してMarcella Woodsのヴォーカルが加わっている。更に重要なのは全体も調整して7分前後のクラブ仕様に姿を変えている。こうなると一気に評価が違う!Original
Mixが霞んで来る。ブレイクのところでMarcella Woodsの力強いヴォイスからのブレイク明けは開放感を通り超え解脱感すら感じる!まさに隙のない仕上がりだ。使い方はメインでもオリジナルと二枚使いで持続させても良い。持って然るべきMIXだ。こちらと比べてみるのも当然面白い。そしてFerry
Corsten Remix。System Fの出現である。今でも凄いが、いかに当時から彼が先を行っていたのが判るMIXだ。もう文句の付け所のないオープニングからしてヤバイ!!テクノ的なベースでありつつ突き抜けるキック。当時あまりのイントロのカッコよさにここだけ試聴してレジに持っていった覚えがある。そしてヴォーカルとシンセパッドが絡む極上のブレイクから当時最先端の三連シンセアルペが乗る。果たして何百人がこの手法を取り入れただろうか??しかし彼の場合は作りこまれたベースラインによって安っぽさが一切ない!こちらも今だ現役でいけるMIXだ。今だと盛り上げまでの布石に使えるのではないだろうか?
やはり間違えのない一枚。持っている方は再チェック、持ってない方は探してみてはいかがだろうか?
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