Ilice's Review (28)



Abs0lut1on


artist:Wid & Ben
label:tidy two



 今回はWid & BenのAbs0lut1onをご紹介。私が痛恨に買い逃したこちら…2年の時を越え手中に収めたのは素直に嬉しい。元々は当時のTidyのサイトでメインテーマとして使われていた。日本でも少ない入荷が超スピードに売れたようで、私を含め買い逃した人も多いと聞く。では早速Mixをみていこう。
 まずは、Abs0lut1on。コンピレーション「Resonaite 3」にも入ったが、初回は約2分という歯がゆさだった。その後の「Keep It Tidy 4」では4分と満足だったが、アナログは7分38秒というサイズ!コレは使用はもちろん、アレンジにも耐える仕様で嬉しい!高速なハードハウスのイントロは癖がなく持続にもってこい。そこからメロディフレーズが見事にはまる!Wid & Ben特有のMCも混ざって、テンションあがるところでブレイク!!そのブレイクからは、ドラムロールを取り入れたパフォーマンス重視の強烈ブレイク明け!!ハードトランスの一番旬のtidy twoの破壊力を見せ付けてくれた!!正直個人的ハードトランスNo1の傑作!まだまだTIDYのサイトで試聴できるので、存分に味わっていただきたい。続いて、F0r N1ne。こちらはユーロトランスの一曲。イントロのベースラインはTidyらしいハードなライン。しかし、Wid & Benの作風であるMCも入りつつどんどん盛り上がり、ブレイク明けからはマジ泣きのメロディーが沁みる!!音としては収束向きなので、ハードトランスからバレアリック系に締めていくのにはもってこいの出来だ。
 両面でタイプが違い、どちらも十分な戦力になる。かつ、ジャケもショッキングでインパクトあるという当たりの全てを持つ一枚。これは正にマストアイテム!手に入れてなかったことに「懺悔」したい…。
Intoxicating Rhythm


artist:Anne Savage,Vinylgroover & The Red Hed
label:tidy



 今回はAnne Savage,Vinylgroover & The Red HedIntoxicating Rhythmをご紹介。Anne Savageを筆頭に三人競作となっている。2004あたりからこういったハードハウスアーティストのコラボレーションが多く見られた。やはりいち早く目をつけたのはtidyだろう。そこに同じカラー持つレーベルも追随したと見ていいだろう。このページの「Rock That Target」も同類と考えて差し支えない。では早速MIXを見ていこう。
 まずはOriginal Mix。とにかくはどこかで聞いたことある進行…それもそのはず、あの「Out of Blue」のイントロをゴリゴリ持続にした感じだ。複雑に絡み合うハードなノリだが、起伏自体は薄い。よって、使いどころは持続の構成がメインだ。リスニングには辛いが、使用にはよい感じというDJユースだ。続いて、Big Drum Dub Mix。ほとんどはOriginal Mixと変わらないが、名前の通りドラムとパーカッションが派手になっている。当然派手な分ピーク持続には使いやすい。今更ながらだが試したところ、Safri Duoの曲と組み合わせやすかった…。
 地味ではあるが使いやすい…しかしコラボレーションする必要はあったか謎なので紹介した。
El Diablo Adentro


artist:Lee Haslam
label:tidy



 今回はLee HaslamEl Diablo Adentroをご紹介。最近、個人サイトも立ち上げたLee Haslamが2005年リリースした一曲。ジャケはインパクト抜群の般若!!曲自体もハードな攻撃を見せてくれる。早速MIXを見ていこう。
 まずはEl Diablo Adentro [The Devil Inside]。その昔もEl Diabloという強烈なイタリアンダンスがあったが、こちらも相当にヤバイ!!ジャンル的なことを言えばゴアトランスの雰囲気を持ったハードトランス。最近はSynapseでこういう音使いを出していたのが記憶に新しい。重いハードハウスのベースラインなのだが、それにゴアトランスのような上モノがMIXされるとこうなった感じ。ハードトランスのブレイクの後にこうこられると全て吹き飛ばす勢いがある!このスタイルはこなれてきたハードダンス&トランスシーンを引っ張るのではないだろうか?続いて、Equilibrium。こちらは久々にユーロトランスのアプローチをした仕上がり。しかしそこはLee Haslam、音はハード目になっている。それをかいま見るのはブレイク。ブレイクのベースラインがブレイクビーツになっておりハードな浮揚感を演出してくれる。そしてそこから、ハードなベースラインに上がるようなトランスシンセ…これは踊り狂うのも道理!!!さすがにLee Haslam、職人芸である。
 どちらもトランスの今を見せてくれる極上の一枚。今回はEl Diablo Adentro [The Devil Inside]の試聴を用意した。参考にどうぞ。
Rock That Target


artist:Chris C & Madam Zu Weet Ben Kaye
label:Synapse



 今回はChris C & Madam Zu Weet Ben KayeRock That Targetをご紹介。サブレーベルSynapseだが、毎回色々な手段で我々を楽しませてくれる。今回のこちらも手がこんであり、やっぱり楽しむしかないハッピーな出来だ。早速MIXを見ていこう。
 まずはOriginal Mix。ジャンル的にはUKハードハウスではある。しかし、その飛び道具的展開にはただただ感心させられる!序盤はトランス的なベースのシンコペーションにハードハウスの上モノが入る。最初のブレイクで更に合成されたハードトランスとなる。そしてライムのはいったブレイク明けでは驚きのハードダンスと昇華を遂げる。ここに来るまでなかなか焦らしてくれたため、この音明けは間違いなく来る一発!!音運び自体もトリルの多様で起伏のお手本を見せてくれる。ハードダンス研究するにももってこいの一曲だ。続いて、Barely Legal Remix。オリジナルからはスネアのシンコペーションとライムを持ち出し、バランスのよいハードハウスに仕上げている。音的にはカタログナンバー50〜70辺りのTripoli Traxに近い。往年(そうは言ってもちょっと前)のハードハウスの追加みたいな感じだ。使い易いけれど目立たない。そう取った方がかえって「前半の流しに使う曲」という使い方が見えてくると思う。
 一言で言えば、Original Mixにいいところ持って行かれた一枚といえるだろう。
Mastermind


artist:Enermatic
label:tidy two



 今回からは恒例の特集して行こうと思う。ネタは溜まるばっかりなのでモノによっては通販のご用意を!!手抜きではないが、レーベルに関しての説明は最早不要だろう。そういうわけで、まずはEnermaticMastermindをご紹介。この後あたりからTIDYがジャケを変えて、スタイルがまた変化して来ているのはファンならば知る所だろう。曲自体もハードトランスも隆盛を越え、円熟期が見えたのを実感できる。ブームが去ったようでなんとも寂しい所だが、面白くなるところでもある。テクノにしろユーロビートにしろの例よろしく、ここからは好きな奴しか聞かないからごまかしの効かないステージとなってきたのだ!ではMIXの方を見ていこう。
 まずはWid & Ben Remix。オリジナルの音を使った上で、彼らお得意のシンコペーションを多用したハードトランスに仕上がっている。言ってしまうと当人の超アンセム「Absolution」と曲の質感はほぼ同じ。しかし、これは褒め言葉である。聴いた瞬間「あぁ!あいつらだ」というMIX作りをするのは往々にして名を上げている。Love To Infinity、Tony Moran、そして当然Ferry Corstenなど…どんな曲でも自分のカラーに染め上げてしまうのは正に!使い方は盛り上げタイムに迷彩として使ってフェイントかけるほか、普通に他の曲と組み合わせてもいい。過去レビューしたこちらとも使い方は被るといえる。そして、Original Mix。こちらは前述のMIXに比べると、最初はおとなし目の入りだ。しかし、見え隠れするのはシンコペーションサウンドを絡めた変態サウンド…。これがブレイクに入ってメインフレーズと絡まりあうのは見事!!音の塊に包まれるような浮揚感を演出してくれる。ブレイクもまだまだ表現方法があるものだと感心させられる!そのブレイク明けはすんなりとリズムに入れる。盛り上げにはパンチ足りないが、むしろこういった浮揚感を大事にしたい。例えば次のDJにタッチする時など、新たなミステリアスを期待させる演出が面白いだろう。
 ちなみにジャケ…脳みそネタだが同時期の釣り針に脳みそ挿したアレよりもインパクトは断然上だと思う。デザイナーのセンスか!!
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