Ilice's Review (12)
Answer The Question
artist:Svenson & Gielen
label:ID & T
今回はSvenson & GielenのAnswer The Questionをご紹介。私も前に彼らの代表曲ともいえるThe
Beauty of Silenceを紹介した、しかし余りにミーハーを通りこすくらいの出来で今では正直辟易するのではないだろうか?しかし最近はそういうのではない出来も多い。ではMIXを見ていこう。
まずはJohan Gielen Retrospective Mix。今回はA面がREMIXになっている。当然Johan Gielenによるセルフミックスだが、奥付を見ると制作スタジオなどがSven Maes名義になっているため彼中心で作られたのではないだろうか?まず入りからして今までの彼らとは違う!あくまで重くディープな作りだ、上物もキンキンした音ではなくゆったりした重めのシンセ音。L'esperanzaやThe Beauty of Silenceを期待すると外れることは間違いない。ただ当然意味合いとしては良い意味での期待はずれ、それも最高クラスのだから嬉しい。ブレイク明けも前まで見たいな突発的なシンセ音などなく前半の重めのシンセ音を盛り上げた展開となっている。第二ブレイクもあるためそこまでにつないでもいいしそのまま使ってアウトロからつなぐも良しとはっきり言って実戦仕様の強力トラックだ。次にOriginal Mix。先ほどのと展開自体は変わらないが音自体はこちらの方がブレイク前が少々ミーハー目で上物のシンセ音をアトモスフィア音を使ったりしているのも特徴だ。言ってみれば先ほどのミックスがブレイク後が派手に聞こえる。よって、使い方としてはピーク前に煽りで使ったりするといいと思う。
しかしミーハーというだけでSvenson & Gielenを入れたが中身は結構使える。名前で判断するのはやっぱり悪い癖だ。
A Theme From Banginglobe
artist:Yoji Biomehanika
label:HELLHOUSE
今回はYoji BiomehanikaのA Theme From Banginglobeをご紹介。彼のシングルといえばアルバム「TECHNICOLOR NRG SHOW」からのシングルカットであるDing A Ring、Seduction、そしてR3嬢がレビューしたAnasthasia 2001など出すもの全てがおいしい曲だ。今回はシングルカットではなく新曲、しかもタイトルが「ここまでやるか?」ともいえるくらいの狙い物。ミーハー好きなら是非とも抑えたい一枚となっている。ではMIXを見ていこう。
まずはOriginal Mix。じょっぱなから「Bangin」「globe」と怪しくヴォイスが入り時限音のようなピコピコ音、そして変態サウンドからのハードな入りとツボと使いやすさを両立させたらしいつくりとなっている。そしてブレイクでは「SOMEWHERE OVER THE RAINBOW」に似たシンセパッドから一気に来るのは打って変わったトランスシンセのリフ!!コレはまた良い!ただ、その後に派手なドラムロールがありトランスオンリーのクラウドだと少しタイミングずらされるかもしれない。次にSystem F Remix。System Fと銘うってるだけあり当然派手なミーハートランスとなっている。全体的に作り直されているが、オリジナルの持ち味を確かに残しつつ90度ほど違うMIXに仕上げているのはさすがとしか言いようがない。残している所としては、「Bangin」「globe」と続く怪しいヴォイス、時限音のようなピコピコ音、「SOMEWHERE OVER THE RAINBOW」に似たシンセパッド、そしてブレイク後のトランスシンセのリフ…要は大体残してあるのに全く使用感を違わせている。先ほど指摘したトランスシンセのリフ後のドラムロールでもちゃんとリフを引きずり、トランスのクラウドが手放しで喜ぶ作りに変えてある。ただ使い勝手としてはピークタイムしかないだろう、アウトロもつなげやすいので持続曲を用意した上で使いたい。
YOJIもなんとTIDYに参入し、名実ともに日本人最強のハードトラッカーとなった。よりハードな音作りをしていきそうで目が離せない。
Far From In Love
artist:Above & Beyond
label:BXR
今回はミーハー所の急先鋒、Above & BeyondのFar From In Loveをご紹介。Above & BeyondといえばMadonnaをはじめとしたMIXワークから名は知られ、最近では普通にシングルを出す。そのスタイルはあくまでミーハーなトランスというので買う側も分かって買えるという…そう、昔紹介したLove To Infinityのようなスタイルだ。
BXRレーベルというと昔からのディスコファンにはMEDIAレーベルの傘下といったほうが通りはいいかもしれない。イタリアのダンスレーベルの老舗でUKにもスタジオがあり、あくまで最先端のミーハー色の高い曲やアーティストを出しているので有名だ。イタリアといえばユーロビートだが、むこうの人にはユーロは全く受け入れられていないので、ユーロのレーベルは知られることはないが、MEDIAレーベルというとダンスレーベルということで通じてしまう。ユーロビートをはじめとしたイタリアンダンスの傾向として挙げられるのが哀愁色を押し上げた心震える美しいサウンド。それを根幹として考えるとイタリアでもトランスが発展したのは当然といえる。ではMIXのほうを見ていこう
まずはOriginal Mix。Above & Beyondというとどうしても派手派手のイメージを 持ってしまうが今回はバレアリックよりのサウンドでなかなか浸れる。ブレイクでは切ない系のヴォーカルのコーラスと相まってシンセパッドも入り盛り上がってくる。そう、大体7:3でバレアリックサウンドなのだが、その割合で上げるトランスも入っているので切り替え時には十分気をつけたい。次にAirbase Mix。San Francisco Mixと記載されているが、正式にはこちらのMIXのようだ。こちらは正真正銘のミーハートランス。Original Mixに比べてかなり音が重ねられており、大概はビ○ト○ニ○のトランスよろしく重ねすぎてしょぼい出来になるのがオチなのだが…これがうまく出来ている!!詳しく展開を見ていこう。序盤の展開は速くセオリーどうり音が重なっていく、前半にまず目立つのは二分前後に入るフィドルの音だ。ケルト系の音でインパクトはあるのだが「この音が目立つといやだなぁ」と思っていた所でブレイクですっぱり無くなりもう使われない!ブレイクではもちろんヴォーカルが入り、いい具合で浸れる。そしてお得意の押し寄せるようなシンセ、これは来ると分かっていても盛り上がれる!そしてアウトロも長めに取ってあり使い勝手もいい。無論アウトロにしてもブレイク明けのシンセを引きずらないのがいい感じだ。全体的にFragma/Everytime You Need Meの彼らのMIXの展開にも似ており、アンサーソングとして取ってみるのも面白いと思う。
哀愁色の強さと言う所でユーロビートとトランスは似ている所がある。色々似ている所もあるので機会があれば聞き比べてみるといいでしょう。ただどちらにもいえることはカバー済みの日本語詩はマイナースケールにとにかく合わないというのが実感できます。
Sunset On Ibiza
artist:Three Drives
label:Xtravaganza
今回はクラバーの聖地の銘を背負った曲のひとつThree DrivesのSunset On Ibizaをご紹介。こちらのリリースは2001でちょうどトランスブームの真っ只中にリリースされ、クラブチャートの上位にも入ったのでご存知の方も多いだろう。レーベルもXtravaganzaだけあり即刻で売れたお店もあるようだ。ではMIXを見ていこう。
まずはOriginal Mix。実は当サイトでは久々にプログレッシブハウスを紹介することになる。特徴としては実に音が重い!プログレの定理となりつつあるがこの系の曲は軽いスピーカーで聞いても良さの全ては語れない。クラブの重いスピーカーで聞いてこそその真価を発揮する。それでいてプログレはつなぎ易く、単一プロデューサーでも変化が富んでいるのも最近の人気の秘密だ。テクノ、ミニマルとの相性もいいのでレコード屋としても入れやすい。この曲もそれに漏れずしょぼいスピーカーと良いスピーカーとでは音自体が全く違う。ブレイクの音までは重いベースラインが中心、目だつ上ものもほとんどない。しかし、ブレイクに出てくる単打ちのシンセリードが一気に盛り上がる!それと先ほどのベースラインが相まって強烈なフロアを作り上げられる。よっていきなり持ってくると引いてしまうので、ここぞでもって来たい。そしてAA面のAbove & Beyond Mix。ミーハーなトランスのレビューだけあり彼らを出さないわけには行かない。こちらはOriginal Mixのシンセリードを巧みに使ったトランスになっている。ブレイクの入りは同じなのだがブレイク明けの音の緩急などは職人技だ。またAbove & BeyondのMIXにありがちなただ上げるだけの展開ではなく、どちらかというと持続系の使い方が出来る良質のトランスなのでブレイク後だけ使うという使い方も当然アリだ。
今回久々に試聴作ろうとしたのだが、PCのスピーカーではちょっとつらい曲なので見逃しました…。
Together
artist:System F
label:@trance
今回は魔が差して買っちゃった@社盤のSystem FのTogetherをご紹介。もうご存知の通りかもしれないがSystem Fのセカンドアルバムからのシングルカット。本国ではSolsticeが先行シングルカットされたが日本では同名の曲をゴリ押しで出すあたりが@社らしい。ではMixを見ていこう。
まずは表題のTogether。オープニングはミニマル的なベースライン。意外と思ったらすぐに普通の四つ打ちのリズムが始まる。DJユーズには必要ないと切るのも手だ。オープニングはブレイク前でも来るので、フロアにちょっとした違和感を出すためにもネタばらしをしないように気をつけたい。ブレイク明けはさすがのつくりだ!今回は明るめのシンセで全体的にコマーシャル要素が強いのでバレアリックハウスを中心にやる人はつらいかもしれない…。次にIgnition, Sequence, Start!。タイトルの方がなんとなく三流ハードコアっぽい(何で…)がこちらははっきりいっていい!メインのベースラインが始まる前にシンセリフの一部が表しスタート。こういうのは使いやすい典型、上物だけフェードで入れて最初からつなげてそのまま使っていきたい。Togetherでもあったようにブレイク前ではオープニングのフレーズが入ってきてブレイク前に絶妙な違和感を出してくれる。おかげでブレイク明けは十分に発散できる。よって是非とも盛り上がりに使っていきたい。やはりはSystem F、この手のサウンドは飽和状態ながらもしっかりとしたものを作ってくれる。
しかし毎度ながら@社のアナログは製品としてみると実に良質。粗悪なCDを作る@社だがプロモ盤をはじめアナログは評判高い。盤面は厚めで余りゆがまないしプレスも丁寧でノイズは少ない。耐性も高く頭だしなども安心して出来る。値段は高いが見返りは確かにある。
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